平成18年版 情報通信白書

(2)衛星放送を取り巻く環境変化への取組

1　電気通信役務利用放送法施行規則の一部改正

　平成17年3月に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画（改定）」において、平成17年度内に「東経110度を軌道位置とするCSに関し、現在通信用に割り当てられている左旋円偏波の周波数を放送に使用できるようにすること及びその際電気通信役務利用放送法を適用することについて検討した結果を踏まえ、所要の措置を講ずる」こととされた。このため、総務省では、平成17年2月に取りまとめられた「放送分野における個人情報保護及びIT時代の衛星放送に関する検討会」の報告書を踏まえ、平成17年6月に電気通信役務利用放送法施行規則を一部を改正し、東経110度CSにおける左旋円偏波を利用して行う放送について、電気通信役務利用放送法の適用対象とした。

2　BS第9チャンネルのデジタル化

　平成16年4月の放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の変更により、平成19年以降のBS第9チャンネルをデジタル放送で使用することが決定されている。これを受けて、BS第9チャンネルの周波数の使用期限を平成19年11月30日までとするため、平成18年3月に放送用周波数使用計画の変更を行った。
　また、BS第9チャンネルを使用するデジタル放送を行う事業者について、平成17年12月15日、委託放送業務の認定を行った。認定を受けたのは、日本ビーエス放送、スター・チャンネル、ワールド・ハイビジョン・チャンネル（設立中）3社であり、いずれも高精細度テレビジョン放送1番組の認定を受け、平成19年12月1日から放送を開始する予定である。
　さらに、NHK及びWOWOWのBSアナログ放送は、平成19年以降、平成19年春に打ち上げられるBSAT−3aを使用して行われる予定である。
　なお、これらのデジタル放送及びBSアナログ放送は、受託委託放送制度のもと放送される予定であり、BSアナログ放送は平成23年までに終了し、その後の周波数はデジタル放送で使用することとしている。

3　衛星放送の将来像に関する研究会の開催

　総務省では、衛星放送の将来像を展望する中で、衛星放送事業の競争環境整備や利用者利益の向上等を図るための方策を検討すると共に、放送の国際展開の在り方について広く検討を行うため、平成17年10月から「衛星放送の将来像に関する研究会」を開催している。
　本研究会では、平成23年（2011年）までに終了することとされているBSアナログ放送に利用されている3チャンネル、そして、平成12年に我が国に追加割当てされた4チャンネルの利用の在り方等、衛星放送の発展に向けた総合的方策について検討を行っている。

4　BSアナログ・ハイビジョン放送の終了及び新たなデジタル放送の開始に係る連絡会の開催

　放送普及基本計画では、BSアナログ・ハイビジョン放送について、「平成19年に終了すること」とされ、新しいデジタル放送を平成19年に開始することが定められている。この移行及びこれらについての視聴者への周知活動を円滑に進めるために、総務省では、平成17年9月に連絡会を設置し、準備作業等を行っている。

5　CSデジタル放送高度化委員会

　12.2GHzを超え12.75GHz以下の周波数の電波を使用する衛星デジタル放送（CSデジタル放送）は、1996年に国内初のデジタル放送サービスとして開始されて以来、標準画質による多チャンネルサービス等が視聴者に受け入れられ、着実に加入者数を伸ばしてきた。
　一方、情報通信技術の進展により、デジタル信号をより効率良く伝送可能とする方式や、映像情報の画質を維持した上でより圧縮率を高める方式が実用化されつつあり、これらの最新技術を導入した衛星デジタル放送サービスが、欧米において開始されようとしており、また、我が国においても、CSデジタル放送におけるより高品質な映像に対する需要が高まっており、それにこたえる視聴者サービスの向上が期待されている。
　このような状況を踏まえ、総務省では、CSデジタル放送（「標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式」第三節に規定する広帯域伝送方式を除く）について、高精細度テレビジョン放送による多チャンネルサービスを推進し視聴者サービスの向上を図るため、平成17年10月に当該放送方式の高度化のための技術的条件について情報通信審議会に諮問した。平成18年内に答申（必要に応じて一部答申）を受け、関連規定の整備を行う予定である。