平成18年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

2 情報通信ベンチャーの創業・成長を促進するための環境整備

 我が国の産業が継続して発展し、経済が活性化していくためには、新規事業の創出が重要であるとされている。他方、創業後間もない情報通信ベンチャーは、事業実績が乏しい、技術的評価が確立されていない、物的担保や信用力が不足しているなどの状況にあり、資金調達、人材確保、販路開拓等が難しく、優れた技術が新規事業化に結びつきにくいなどの課題を抱えている場合が多い。こうした状況を踏まえ、総務省では、関係省庁と連携しつつ、資金供給、人材・ノウハウ等の面において、情報通信ベンチャーの創業・成長を促進するための支援措置を講じている。

1 情報通信ベンチャーと他の企業との連携の促進

 情報通信ベンチャーが資金調達や販路開拓を円滑に進めるためには、ベンチャーキャピタルや事業会社との連携が重要となっていることを踏まえ、総務省では、これらの企業間の交流・連携を一層促進すること等を目的とした措置を講じている(下表参照)。

地域における交流イベントの充実 独立行政法人情報通信研究機構において情報通信ベンチャーによるビジネスプラン発表会や企業経営に関するセミナー等を東京以外の地域にも拡大して開催
情報通信ベンチャーに関する情報提供の充実 独立行政法人情報通信研究機構において情報通信ベンチャーの決算状況、事業概要、政府調達実績、公的機関からの助成金交付実績等のデータベースを一般に公開
(URL:)

 具体的には、情報通信ベンチャー支援センター内に、情報通信ベンチャーの販路の拡大のために、大手企業・ベンチャーキャピタル等(サポーター)とベンチャー企業等が交流できる会員制(無料)の「情報通信ベンチャー交流ネットワーク」を設けるとともに、ビジネスプランの発表の場等を設け、技術提携・資金提供・事業提携・人材交流・情報交換等ができる機会を提供している。また、ITベンチャー知的財産戦略セミナー等を通じた情報通信ベンチャーの経営を支援するための各種情報提供を行っている。
 さらに、平成18年度以降の新たな取組として、情報通信ベンチャーの成長段階に応じた人材確保の方策等に関する検討を行うとともに、各種イベント等を通じた支援、普及啓発活動を行う予定である。

2 情報通信ベンチャーからの政府調達の拡大

 情報通信ベンチャーにとって、自らの提供するサービスが公的機関によって調達され、正常に稼動しているという実績は、その情報通信ベンチャーの社会的認知・信用を高める上で極めて重要である。このため、総務省では、関係省庁と連携しつつ、技術力の高いベンチャー企業からの政府調達の拡大を図ることを目的として、「ベンチャー企業からのIT関連政府調達の拡大方策について」(平成16年3月IT関係省庁連絡会議申合せ)に基づき、競争参加資格に係る「予定価格の範囲」の運用弾力化、再委託に係る発注者側の承諾の運用基準の明確化等の取りまとめを行った。

3 ICTベンチャー支援のための連携施策の実施

 総務省、独立行政法人情報通信研究機構は京都大学と連携して平成17年度から、産業投資特別会計を活用した新たなICTベンチャー振興策を開始し、平成18年度には連携大学を北海道大学、東北大学、京都大学、徳島大学に増やし、制度の拡充を図った。
 これは、独立行政法人情報通信研究機構が産業投資特別会計から出資を受けて実施している民間基盤技術研究促進事業1の資金の一部を、地域のICTベンチャー・中小企業が行う研究開発に重点的に配分するものである。

4 情報フロンティア研究会

 総務省では、ユビキタスネット社会の実現を見据え、創意あるICTの利活用やサービス・ビジネスの最新動向を踏まえつつ、その普及展開に向けた幅広い意見交換等を行うため、平成17年3月より「情報フロンティア研究会」を開催し、同年6月に報告書を取りまとめ公表した。
 報告書では、ICTを利活用した個と個の連携を通じて知識創造プロセスの進化がもたらされる社会を形成するために、ICTを最も効率的に活用できる自律分散型ネットワーク環境の構築及びICTの利活用に関する社会文化的な環境の整備とを一体として捉えた提言を盛り込み、[1]安心してICTが使える社会づくり、[2]自律・分散・協調的な連携を支える情報通信基盤の構築、[3]水平型ビジネスモデルの展開の三つを提案した。総務省では、同報告書の内容を踏まえ、ICTの高度利活用による新しい価値の創造に向けた各種取組を進めている。

5 情報通信ベンチャー企業をサポートする主な施策―助成金・出資・融資・債務保証・税制、法律

 総務省では、上記の取組以外にも、先進技術型研究開発助成金(テレコム・インキュベーション)等の助成金、テレコム・ベンチャー投資事業組合からの出資、日本政策投資銀行等による低利融資、独立行政法人情報通信研究機構による債務保証、中小企業投資促進税制等の税制、特定通信・放送開発事業実施円滑化法、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律、等により情報通信ベンチャー企業をサポートしている2


1  基盤技術研究円滑化法に基づく制度で、広く民間企業等から研究開発課題を公募し、その中から優れた案件を選び出して委託契約を結び、研究開発の委託を行うもの
2  詳細は資料編データ19「主な情報通信ベンチャー支援施策」を参照

 第5節 コンテンツ流通の促進と情報通信ベンチャーの創業・成長を促進するための取組

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