平成19年版 情報通信白書

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第1章 ユビキタスエコノミーの進展とグローバル展開

6 地域情報通信産業の分析

(1)地域別情報通信産業の動向

 情報通信産業を地域ごとに見て、各地域における特徴及び各地域の情報通信産業が地域間でどのように関連しているのかについて分析を行う26
 平成12年の情報通信産業の実質国内生産額は、製造部門で約56兆円、サービス部門で約71兆円であった。これを地域別に見ると、関東の製造部門生産額が約29兆円、サービス部門生産額が約42兆円とともに最も大きく、情報通信産業は関東への依存度が高いことが分かる。この傾向は平成2年と平成12年を比較してもほぼ変化していない(図表1-1-66、1-1-67)。
 
図表1-1-66 地域別実質国内生産額(平成2年)
図表1-1-66 地域別実質国内生産額(平成2年)
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図表1-1-67 地域別実質国内生産額(平成12年)
図表1-1-67 地域別実質国内生産額(平成12年)
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 実質国内生産額の成長率を見ると、平成2年から平成7年までの5年間では、産業全体の成長率が6.2%であるのに対して、情報通信産業製造部門は10.1%、サービス部門は5.7%、情報通信以外の産業は6.0%の成長であった。一方、平成7年から平成12年までの5年間では、産業全体の成長率は4.0%で、前の5年間より低下している。同期間の成長率を部門別に見ると、情報通信産業製造部門は29.9%、サービス部門は35.1%と非常に高い成長率を記録する一方で、情報通信以外の産業は0.6%とほぼゼロ成長であった。
 以上のことより、特に、1990年代後半において、情報通信産業は急速な成長を遂げたことが分かる。経済全体の成長が鈍化し、情報通信以外の産業がほぼゼロ成長であったこの時期に、情報通信産業は日本経済のけん引役としての役割を担うようになってきたといえる27(図表1-1-68)。
 
図表1-1-68 実質国内生産額成長率の推移
図表1-1-68 実質国内生産額成長率の推移
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 全産業の実質国内生産額に対する情報通信産業の割合を地域別に見ると、平成2年から平成12年までの間に、沖縄を除くすべての地域においてその割合が高まっている。これを製造部門とサービス部門に分けて見ると、製造部門については、東北で2.9ポイント、中国で2.2ポイント、九州で2.0ポイントそれぞれ増加しているのに対し、関東では0.8ポイントの増加とわずかな変化にとどまっている。またサービス部門については、関東で7.2%から10.3%と3.1ポイント増加しているのに対し、近畿及び中部を除く他の地域ではほとんど変化が見られない。このことから、平成2年から平成12年までの間に、サービス部門が関東等の都市圏を中心に集積する一方、製造部門は関東以外の地域での生産に比重を移してきたと見ることができる(図表1-1-69)。
 
図表1-1-69 全産業の実質国内生産額に対する情報通信産業の実質国内生産額の割合の推移(地域別)(平成2年、平成12年)
図表1-1-69 全産業の実質国内生産額に対する情報通信産業の実質国内生産額の割合の推移(地域別)(平成2年、平成12年)
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 次に、情報通信産業製造部門について、全国の実質国内生産額に対する各地域の実質国内生産額の構成比率を見る。平成2年、平成12年ともに関東が最も大きい割合を占めているものの、そのシェアは平成2年から平成12年までの間に6.9ポイント低下している。一方、中部が2.4ポイント、九州が2.0ポイント、東北が1.8ポイントそれぞれ上昇しており、製造部門は関東からそれ以外の地域へと生産の比重を移していることが分かる(図表1-1-70)。
 
図表1-1-70 情報通信産業製造部門の実質国内生産額に占める地域別同生産額の割合(平成2年、平成12年)
図表1-1-70 情報通信産業製造部門の実質国内生産額に占める地域別同生産額の割合(平成2年、平成12年)
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 一方、サービス部門については、平成2年、平成12年ともに関東がやはり最も大きな割合を占めており、そのシェアは、平成2年の52.2%から、平成12年には59.0%へ拡大している。これに対して、その他の地域におけるシェアは減少又は横ばいで推移しており、関東へのサービス部門の集積が進んでいることが分かる(図表1-1-71)。
 
図表1-1-71 情報通信産業サービス部門の実質国内生産額に占める各地域別同生産額の割合(平成2年、平成12年)
図表1-1-71 情報通信産業サービス部門の実質国内生産額に占める各地域別同生産額の割合(平成2年、平成12年)
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 以上の結果から、情報通信産業においては、サービス部門は関東、製造部門は関東以外の8地域にそれぞれ活動拠点が移りつつあることが分かった。それでは、関東の情報通信産業サービス部門と関東以外の8地域の情報通信産業製造部門はどのような関係にあるのであろうか。


26 部門の詳細及び実質表と地域間表の作成方法については、付注10を参照
27 ここでの成長率は、総務省編『平成2-7-12年接続産業連関表』より作成したインフレーターを用いて実質化したデータによる計算であるが、情報通信産業の製造部門は製品性能の向上が著しい産業であり、この影響を調整すれば成長率はより高く計算されると考えられる

 第1節 情報通信と経済成長

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