平成19年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

コラム 生体認証の利用の拡大

 近年、本人確認の有力な手段として、生体認証(バイオメトリクス。人間の指紋、静脈、虹彩、眼底網膜のパターン等の生体情報をキーとして行う認証)が注目されている。これまでも、企業における入退室管理等に用いられていたが、最近では、キャッシュカード等金融関係における利用が進んでいるほか、住民の個人情報を取り扱う地方公共団体においても、情報システムへのアクセスキーに生体認証を利用する動きが出てきている。
 生体認証の方法については、指紋(一時ゼラチン製人工指による偽造もあったが、最近では偽造を識別できるようになってきているとされる)のほか、最近では偽造に強い静脈認証が多く用いられるようになってきている。静脈認証は、近赤外光を指又は手の平に透過させ、静脈中のヘモグロビンが近赤外光を吸収する性質を利用して、その静脈パターンを読み取って認証するものである。
 金融機関において、預金者の本人確認手段として生体認証を採用する動きが広がった背景として、スキミング(カードデータの盗み取り)等により作成された偽造キャッシュカードによる預貯金詐取が組織的に行われた事例が多数発生したことを受けて「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(平成17年法律第94号)が制定され、金融機関が本人認証の強化に取り組んだことが挙げられる。
 具体的な方法としては、ICキャッシュカードに静脈パターンのデータを登録し(金融機関側はデータを保持しない)、ATM操作の際、操作者が指又は手の平を静脈パターン読取機器にかざし、カード内のデータとの照合により本人確認が行われる仕組みが採用されている。平成16年7月にスルガ銀行が手の平静脈認証の利用を開始したのが、世界で最初の金融取引における静脈認証利用とされている。静脈認証の際、指静脈と手の平静脈のどちらを利用するのかは、銀行等によって異なっている。
 また、地方公共団体の動きとしては、
[1] 佐賀県庁:全職員のPCに指紋認証システム(周波数解析法)を採用
[2] 三重県度会町:住民情報を扱う窓口の端末すべてに指静脈認証を採用
した例がある。

 第5節 研究開発

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