平成19年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(1)インターネット上の違法・有害情報対策

ア インターネット上の違法・有害情報への対応
 インターネット上を流通する情報のうち、
[1] 違法な情報(児童ポルノ、麻薬売買等)
[2] 特定の者にとって有害と受け止められる情報(アダルト画像、暴力的画像等)
[3] 公共の危険や生命に対する危険を引き起こす原因となる情報(爆発物の製造・使用、自殺等を誘発する情報等)
等が近年大きな社会問題となっている。
 総務省では、平成17年8月から、有識者及び電気通信事業者団体等で構成される「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」を開催し、同研究会は、インターネット上の違法・有害情報へのプロバイダ等による自主的対応及びこれを効果的に支援する制度・方策について検討を行い、平成18年1月に中間取りまとめを、続いて同年8月に最終報告書を、それぞれ取りまとめた。
 最終報告書においては、
[1] プロバイダや電子掲示板の管理者等が他人の掲載する違法な情報を放置した場合の刑事責任
[2] インターネット上の違法な情報に対するプロバイダや電子掲示板の管理者等による自主的対応及びこれを支援する方策
[3] インターネット上の有害情報に対するプロバイダや電子掲示板の管理者等による自主的対応及びこれを支援する方策
[4] 「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律第137号。以下「プロバイダ責任制限法」という。)における発信者情報開示の運用
等の論点について、提言を行っている。
 総務省では、同研究会の提言等を踏まえ、インターネット上の違法・有害情報に対して、行政の支援の下、電気通信事業者及び利用者による自主的な対応が促進され、表現の自由に最大限配慮しつつ、利用者各人がインターネットの利便性を享受できるような環境の整備に引き続き取り組んでいくこととしている。

イ プロバイダ責任制限法関係ガイドラインの策定・改定の支援
 ウェブページや電子掲示板等における他人の権利を侵害する情報の増加への対策として、平成14年5月に、
[1] 他人の権利が侵害された場合におけるプロバイダ等の損害賠償責任の制限・明確化
[2] 権利侵害を受けた者のプロバイダに対する発信者情報の開示請求権
を規定するプロバイダ責任制限法が施行されたことを受けて、総務省では、同法が適切に運用されるよう、業界団体による同法のガイドラインの策定に対する支援や周知を行ってきている。
 なお、ガイドラインについては、業界団体等により、社団法人テレコムサービス協会内に「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」が組織されており、これまでに、
[1] プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン(平成14年5月。平成16年10月改定)
[2] プロバイダ責任制限法著作権関係ガイドライン(平成15年11月)
[3] プロバイダ責任制限法商標権関係ガイドライン(平成17年7月)
が策定されているほか、今般、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」最終報告書(平成18年8月)の提言を受けて、
[4] プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン(平成19年2月)
が策定されたところである。

ウ インターネット上の違法・有害情報に対するプロバイダ等の自主的対応に関する支援
 政府は、「IT安心会議」(インターネット上の違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議)において、平成17年6月に「インターネット上における違法・有害情報対策について」を取りまとめるなど、インターネット上の違法・有害情報対策を推進しているところである。
 総務省においても、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」最終報告書(平成18年8月)の提言を踏まえ、平成18年9月から、社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会及び社団法人日本ケーブルテレビ連盟とともに、インターネット上の違法な情報及び公序良俗に反する情報に対するプロバイダ等による適切かつ迅速な対応を促進するための方策について検討を行った。
 その検討結果を踏まえ、上記4団体は、平成18年11月に、インターネット上に掲載された情報の違法性の判断基準及び送信防止措置等の手続を定めた「インターネット上の違法情報への対応に関するガイドライン」並びにプロバイダ等が違法・有害情報に対して契約約款に基づく自主的な対応を行うための「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」を策定した。これにより、プロバイダ等によるインターネット上の違法・有害情報への適切かつ迅速な対応が促進されることが期待される。

エ フィルタリングの普及促進
 近年、未成年者がいわゆる出会い系サイト等インターネット上の有害な情報にアクセスし、事件に巻き込まれるケースが多発しており、社会的な問題となっている。インターネット上の有害情報への対応については、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリングが有効な対策であり、総務省では、平成16年度から、携帯電話事業者と連携して、携帯電話向けのフィルタリングの研究開発を行い、携帯電話事業者は、この研究成果を活かして、平成17年7月からフィルタリングサービスの提供を開始している。
 また、平成18年3月、フィルタリングに関係する業界団体1は、フィルタリングの一層の普及を図るため、総務省及び経済産業省と連携して「フィルタリングの普及啓発アクションプラン」を公表し、普及啓発活動に努めているところである。
 しかしながら、フィルタリングの認知率及び普及率は低水準にとどまっており、特に、保護者の目が届きにくい携帯電話からのアクセスについては、未成年者を保護する観点から早急な対策が必要となっていたことから、平成18年11月、総務省は携帯電話事業者等に対し、フィルタリングサービスの普及促進に向けた自主的取組を強化するよう要請した。
 さらに、フィルタリングの普及には、草の根的な周知啓発が重要であるため、平成19年2月、総務省は、警察庁及び文部科学省と合同で、都道府県知事、教育委員会及び都道府県警察等に対し、携帯電話のフィルタリングについて学校関係者や保護者をはじめとする地域住民への周知啓発活動に取り組むよう要請を行ったところである。
 総務省では、今後も引き続き業界や関係省庁等と連携し、未成年者が安心してインターネットに接続できる環境の整備に取り組んでいくこととしている。


1 社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会、社団法人日本ケーブルテレビ連盟、社団法人電子情報技術産業協会及び財団法人インターネット協会の6団体

 第3節 安心・安全なユビキタスネット社会の構築

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