平成19年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(2)電子自治体の推進

 電子自治体は、地方公共団体におけるICTの活用により、住民の満足度の向上、簡素で効率的な行政運営の実現、地域の活性化・地域ICT産業の振興を図ることを目的とするものであり、総務省では、平成15年8月に、「電子自治体推進指針」を策定し、電子自治体の基盤整備と行政手続のオンライン化等を推進してきた。また、近年の地方公共団体を取り巻く情報通信環境の変化等を踏まえ、「2010年度(平成22年度)までに利便・効率・活力を実現できる電子自治体を実現すること」を目標とした「新電子自治体推進指針」を策定したところであり、同指針においては、目標実現に向けた取組方針に加え、推進状況を把握するためのベンチマーク等を記載しており、毎年度実施状況をフォローアップすることとしている。

ア 電子自治体の進ちょく状況
(ア)地方公共団体における行政サービスの電子化の状況
 申請・届出等手続の汎用受付システムの導入状況は、平成18年4月時点で、都道府県で42団体(89.4%)、市町村では571団体(31.0%)となっている(図表3-4-5)。ホームページについては、都道府県で全団体、市町村で1,837団体(99.7%)とほぼすべての団体で開設している。
 
図表3-4-5 汎用受付システムの導入率の推移(都道府県、市町村)
図表3-4-5 汎用受付システムの導入率の推移(都道府県、市町村)
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 地域住民・企業が利用可能なシステムとしては、都道府県、市町村共に「ネットワークを活用した図書館蔵書検索」の実施率が最も高く、都道府県では実施率は100%、市町村では54.7%となっている。「公共施設予約のオンライン化」、「公共事業に係る電子入札」も導入率が高くなっている。
 
図表3-4-6 業務別の実施率(都道府県、市町村)
図表3-4-6 業務別の実施率(都道府県、市町村)
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(イ)地方公共団体における情報システムの構築状況
 本庁の知事・市長部局において、一人一台パソコンが整備されている団体は、都道府県は全団体、市町村は1,513団体(82.1%)となっている。情報システムの導入状況については、都道府県においては「人事・給与システム」、「法人都道府県民税システム」、「法人事業税システム」、「自動車税システム」、「軽油引取税システム」、「不動産取得税システム」、「予算執行システム」及び「工事設計・進行管理システム」が全団体で導入されており、市町村においては「個人市町村民税システム」が1,798団体(97.6%)と最も多くなっている。
 また、庁内LANの構築は、都道府県においては全団体、市町村においては1,827団体(99.1%)となっている。
 
図表3-4-7 都道府県における電子自治体の推進状況
図表3-4-7 都道府県における電子自治体の推進状況
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(ウ)地方公共団体における情報化推進体制等の状況
 地方公共団体における情報化推進のための体制としては、専門の課又は係が担当しているのは、都道府県で全団体、市町村で965団体(52.4%)であり、既存の課又は係が担当しているのは、市町村で866団体(47.0%)となっている。また、庁内横断的な情報化推進委員会等を設置している団体は、都道府県において39団体(83.0%)、市町村において947団体(51.4%)となっている。なお、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)の任命状況については、都道府県で31団体(66.0%)、市町村で1,225団体(66.5%)である。
 電子自治体を総合的に推進するための電子自治体構築計画を策定しているのは、都道府県で43団体(91.5%)、市町村で568団体(30.8%)となっている。また、条例、規則等において書面による手続に限定している場合には、書面に加えオンラインで行うことも可能とするための特例を通則条例として定める必要があるが、当該条例を既に制定している団体は、都道府県において42団体(89.4%)、市町村において460団体(25.0%)となっている(図表3-4-8)。
 
図表3-4-8 通則条例の制定状況(都道府県、市町村)
図表3-4-8 通則条例の制定状況(都道府県、市町村)
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イ 国による電子自治体構築支援
 総務省では、平成16年4月から「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」での検討などを通じて、電子自治体の構築を推進しており、今後も、「IT新改革戦略」(平成18年1月IT戦略本部)や、「第1次情報セキュリティ基本計画「セキュア・ジャパン」の実現に向けて」(平成18年2月情報セキュリティ政策会議)を踏まえ、電子自治体システムの効率的な構築、住民の利便性向上や業務改革、地方公共団体における情報セキュリティの確保等に向けた取組を行っている。
 具体的には、財政的・人材的に単独でのシステム運用が困難な小規模団体も含め、すべての市町村において電子自治体を推進していくために、複数の地方公共団体が共同で情報システムを構築し、運用を外部委託する「共同アウトソーシング」の推進や、組織全体を通じた業務・システムの最適化を図る設計手法であるEA(エンタープライズ・アーキテクチャー)を活用した効率的な電子自治体構築の推進、情報セキュリティ確保に係るガイドラインの見直し等を行っている。
 また、IT新改革戦略において、「国・地方公共団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を2010年(平成22年)までに50%以上とする」とされていることを受けて、地方公共団体におけるオンライン利用を促進するため、オンライン利用促進指針、オンライン利用促進マニュアルを策定し、地方公共団体に助言・情報提供を行っている。
 このほか、ICTを活用した住民参画を促進するため、「ICTを活用した地域社会への住民参画のあり方に関する研究会」を開催するとともに、地域SNSや公的個人認証対応電子アンケートシステムの開発実証事業を実施し、地域SNS等を活用した自治体による地域コミュニティの活性化を支援している。
 
図表3-4-9 電子自治体の推進
図表3-4-9 電子自治体の推進

ウ 電子自治体における情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底
 電子自治体の推進において、個人情報の保護と情報セキュリティ対策が重要な課題となっている。
 平成18年4月現在、個人情報保護条例はすべての都道府県・市町村で制定済みであり、情報セキュリティポリシーは都道府県で全団体、市町村で1,773団体(96.2%)が策定している。総務省では、すべての地方公共団体が情報セキュリティ監査を実施するよう地方財政措置等の支援を行うとともに、地方公共団体の情報セキュリティに関する情報や対策を地方公共団体間で共有する機能等を有する「自治体CEPTOAR(セプター)」(平成19年3月創設)に対し、必要な助言等の支援を行うこととしている。
 なお、総務省では、平成13年3月に「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を策定(平成15年3月に一部改定)しているが、情報セキュリティ政策会議が決定した「第1次情報セキュリティ基本計画」を受け、情報セキュリティに関する技術や環境の変化等を踏まえて、平成18年度に全部改定を行った。

 第4節 豊かで活力あるユビキタスネット社会の構築

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