平成19年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(8)リモートセンシング技術の研究開発

ア センシングネットワーク技術の研究開発
 現在、都市スケールでの気象災害や環境問題、局所的に発生するダウンバーストや竜巻のような突発的災害の予測等の迅速化と精度向上のため、都市上空の気温、水蒸気、雲、風向、風速等を、高速で高分解能3次元計測するシステムの構築が必要となっている。
 総務省では、これらの要素を計測するための新技術として、平成18年度から上空の風向風速を高精度、高分解能で計測するドップラーライダーやウィンドプロファイラ等の研究開発を推進している。

イ グローバル環境計測技術の研究開発
 総務省では、温暖化や水循環等の地球環境をグローバルに高精度で観測する技術の高度化のため、衛星搭載型の次世代地球観測センサーの開発を行っている。平成13年度に開始した、日米協力によるGPM計画(=Global Precipitation Measurement。全球降水観測計画)の観測衛星(平成25年打上げ予定)で利用される2周波降水レーダーの研究開発では、グローバルな降水システムの観測を行い、地球規模の水循環の状況を的確に把握するシステムの実現を目指している。
 日欧協力によるEarthCARE計画(全球の雲観測)の観測衛星(平成24年打上予定)に搭載される雲レーダーの研究開発についても平成13年度から推進しており、欧州が担当開発をするエーロゾル計測センサーと統合することで、グローバルな雲・エーロゾル分布を高精度で同時計測するシステムの構築を目指している。これにより、地球温暖化への雲・エーロゾルの効果見積りの精度が飛躍的に向上することが期待されている。
 また、地球温暖化に最も大きな効果を及ぼしている炭酸ガスの地球規模の分布状況を高精度で3次元計測するシステムに対するニーズも高まっており、総務省では、衛星搭載型の炭酸ガス計測ライダー実現のための基盤技術として高出力の赤外線(波長2ミクロン)レーザーの開発を行っている。
 電波と光の境界領域の周波数帯であるテラヘルツ帯を利用したセンシング技術においては、将来のグローバル水蒸気計測センサーを実現するための基盤となる水蒸気吸収線のデータ測定を実施した。

ウ 電波による地球表面可視化技術の研究開発
 大規模災害発生時には、被災地の状況を広範囲にかつ詳細に把握する必要があるが、悪天候時や夜間には、ヘリコプター・航空機によるカメラ撮影が困難である。こうした場合は、高高度から天候や日射に無関係に地表面を高精度で撮像できる合成開口レーダーの技術が有効であり、総務省ではこれまでにも航空機搭載合成開口レーダーの開発・実証を行ってきている。今後は、災害時および復興計画立案等の実用化に際してより高精度な撮像を行うレーダー技術が重要とされる。
 総務省では平成18年度から、1m以下の分解能を持つ高性能航空機搭載合成開口レーダーの研究開発を開始し、平成21年度からの試験観測を目指している。

 第5節 研究開発の推進

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