平成20年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 活力あるユビキタスネット社会の実現

(2)世界の情報通信市場における我が国企業のプレゼンス

ア 通信関連市場
(ア)通信サービス
 通信サービス事業の展開に当たっては、各国における免許取得が必要であること等の理由から、どの国あるいは地域の市場においても自地域内キャリアが大半のシェアを占めている。ただし、携帯電話サービスについては、旧宗主国である西欧の事業者が各地域キャリアへの出資等を通じて比較的積極的に事業展開を行っている。

A 携帯電話サービス
 2006年における携帯電話ユーザー契約数の国・地域別企業シェアを地域市場別に見ると、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域のいずれの地域においても自地域内キャリアが70%以上のシェアを占めるが、アジア太平洋、北米及びその他地域市場においては、西欧キャリアがそれぞれ4.6%、20.7%、26.3%を占めており、世界市場に占めるシェアも29.2%となっている(図表1-2-2-16)。世界全体の契約数に対する西欧市場の割合は16.3%と見られるため、自地域外への進出によるシェア増加分が約13%程度に上っていることになる。
 
図表1-2-2-16 世界地域別携帯電話ユーザー契約数の地域別企業シェア(2006年末)
図表1-2-2-16 世界地域別携帯電話ユーザー契約数の地域別企業シェア(2006年末)

 主要キャリアの携帯電話ユーザー契約数を見ると、世界で最も契約数が多いキャリアは、自国に多数のユーザーを有する中国のChina Mobileであり、2007年末において3億6,934万人となっている(図表1-2-2-17)。さらに、Vodafone、Telef溶ica、Deutsche Telekom、France Telecomといった西欧キャリアも契約数で上位に並んでおり、2007年末における契約数は、それぞれ2億2,116万人、1億6,778万人、1億2,080万人、1億966万人となっている。日本においては、NTT docomo、KDDI、ソフトバンクがそれぞれ5,315万人、2,956万人、1,761万人であり、日本の3社合計契約数よりも中国及び西欧キャリア1社の契約数が多いという状況にある。
 
図表1-2-2-17 世界の主要携帯電話キャリアのユーザー契約数(2007年末)
図表1-2-2-17 世界の主要携帯電話キャリアのユーザー契約数(2007年末)
Excel形式のファイルはこちら

 主要携帯電話キャリアの売上高を見ると、イギリスのVodafoneが610億ドルで世界一である。中国のChina Mobileはユーザー契約数では世界一であるが、売上高では欧米主要キャリアや日本のNTT docomoよりも低くなっている(図表1-2-2-18)。
 
図表1-2-2-18 世界の主要携帯電話キャリアの売上高(2006年度)
図表1-2-2-18 世界の主要携帯電話キャリアの売上高(2006年度)
Excel形式のファイルはこちら

B ブロードバンドサービス
 主要ブロードバンド通信キャリアのユーザー契約数を見ると、世界で最も契約数が多いのは、携帯電話サービスと同じく自国に多数のユーザーを有するChina Telecomであり、2007年末におけるユーザー契約数は3,565万人となっている(図表1-2-2-19)。日本のNTT、ソフトバンク、KDDIの契約数がそれぞれ1,296万人、494万人、397万人であるから、ここでも日本の3社合計契約数よりChina Telecom1社の方が多くの契約数を有する状況となっている。
 
図表1-2-2-19 世界の主要ブロードバンド通信キャリアのユーザー契約数(2007年末)
図表1-2-2-19 世界の主要ブロードバンド通信キャリアのユーザー契約数(2007年末)
Excel形式のファイルはこちら

(イ)通信関連端末・機器
 主要通信端末・機器市場における地域別企業シェアを見ると、携帯電話機、PDA、モバイルインフラ、光伝送システム、LANスイッチ及び企業向けルーターの各市場における日本企業のシェアは、それぞれ14.9%、9.0%、3.9%、13.4%、2.0%、2.4%となっている(図表1-2-2-20)。
 
図表1-2-2-20 世界通信端末・機器市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-20 世界通信端末・機器市場における地域別企業シェア

 携帯電話機及びモバイルインフラ市場で最も高いシェアを占めるのは西欧企業であり、それぞれ41.8%、62.1%を占めている。PDA、光伝送システム、LANスイッチ、企業向けルーターの各市場については、北米企業が最も高いシェアを占めており、それぞれ49.7%、39.2%、91.6%、94.1%を占める。アジア太平洋企業も携帯電話機及びPDAではそれぞれ26.3%、29.6%と、1/4以上のシェアを獲得している。
 
図表1-2-2-21 世界通信端末・機器市場における地域別主要企業
図表1-2-2-21 世界通信端末・機器市場における地域別主要企業

A 携帯電話機
 2007年の携帯電話機の出荷台数は、約11億5,000万台と見られる。携帯電話機には、高価格端末から低価格端末まで、機能に応じた様々な製品ラインナップがあるが、世界市場で高いシェアを獲得するためには、新興国における低価格モデルの端末で販売量を確保することにより生産コストを低下させる必要がある。しかしながら、ソニーエリクソン以外の日本企業は世界の上位企業に比べて生産台数が圧倒的に少なく、スケールメリットを享受しにくい状況となっている。
 携帯電話機市場においては、Nokia、Motorola、Samsung、ソニーエリクソン、LG電子の上位5社グループによる寡占化の傾向が強まっており、2007年における出荷台数ベースのシェアは、5社合計で80%以上を占める。日本市場においては、日本企業が90%以上のシェアを占めているが、海外におけるシェアはほとんど獲得できておらず、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場におけるシェアは、それぞれ7.2%、9.3%、16.6%、12.7%となっている(図表1-2-2-22)。
 
図表1-2-2-22 世界地域別携帯電話機市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-22 世界地域別携帯電話機市場における地域別企業シェア(2006年)

B PDA
 PDAには、通信機能を有しない旧来型のスタンドアローン製品とWAN機能内蔵型製品とがあるが、旧来型製品については市場が縮小しており、通信機能内蔵型のPDAが現在世界で主流となっている。日本においては、市場自体が小さいものの、欧米においては企業内業務用途で活用されている。2007年上期の出荷台数は約1,100万台と見られる。
 PDA市場において世界で最も高いシェアを有するのは、カナダのResearch In Motion(RIM)である。他にもMotorola、HP、Palmといった北米企業が上位を占めており、2007年上期の世界市場における北米企業のシェアは出荷台数ベースで49.7%となっている。日本企業は、シャープ、富士通、東芝、キヤノン等が事業展開を行っており、日本市場で61.9%と半分以上のシェアを有しているものの、日本以外の市場におけるシェアは低い。北米企業以外では、Mio Technology、Samsung、HTC、Acer等のアジア太平洋企業が地元アジア太平洋市場において48.7%と半分近いシェアを獲得しているだけでなく、西欧及びその他地域市場においてもそれぞれ39.8%、51.6%と、欧米企業よりも高いシェアを獲得しており、世界全体で29.6%のシェアを占めている(図表1-2-2-23)。
 
図表1-2-2-23 世界地域別PDA市場における地域別企業シェア(2007年上期)
図表1-2-2-23 世界地域別PDA市場における地域別企業シェア(2007年上期)

C モバイルインフラ市場
 モバイルインフラ市場は、世界的なモバイルネットワークの拡大に伴って拡大しており、2006年における市場規模は、約600億ドルとなっている。モバイルインフラ市場では、2005年以降に大型合併が相次ぎ、寡占化が進んだ。西欧のEricsson、Alcatel-Lucent、Nokia Siemens Networks、カナダのNortel、中国のHuaweiとZTE及び日本のNEC、富士通、日立製作所の9社が主要企業であり、これら企業で世界市場のほとんどを独占している状況にある。
 地域別企業シェアを見ると、西欧企業がアジア太平洋、西欧及びその他地域市場においてトップシェアを占め、2006年の世界市場におけるシェアは62.1%と半分を超えている。日本企業は、日本市場では80.1%と独占的シェアを占めているものの、海外ではほとんどシェアを獲得できておらず、世界市場に占めるシェアは3.9%となっている(図表1-2-2-24)。
 
図表1-2-2-24 世界地域別モバイルインフラ市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-24 世界地域別モバイルインフラ市場における地域別企業シェア(2006年)

D 光伝送システム
 光伝送システムは、通信サービスの基幹インフラとして重要な装置であり、モバイルネットワークやブロードバンドの普及に伴って市場が拡大している。2006年における世界市場規模は約130億ドルとなっている。光伝送システム市場における主要企業は、モバイルインフラ市場と同様に、西欧のEricsson、Alcatel-Lucent、Nokia Siemens Networks、カナダのNortel、中国のHuaweiとZTE及び日本のNEC、富士通、日立製作所等であるが、モバイルインフラ市場よりは若干参入企業数は多い。
 光伝送システム市場では、日本、アジア太平洋、北米、西欧における自地域企業のシェアが、それぞれ82.6%、50.6%、67.8%、61.1%と、いずれも半分を超えている。特に日本市場では日本企業のシェアが高くなっているが、この背景として、世界と異なる日本独自の仕様が多く存在していることが影響していると見られる。その他地域市場においては、西欧企業とアジア太平洋企業がそれぞれ49.6%、30.3%のシェアを占めており、競争を激化させている(図表1-2-2-25)。
 
図表1-2-2-25 世界地域別光伝送システム市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-25 世界地域別光伝送システム市場における地域別企業シェア(2006年)

E LANスイッチ
 LANスイッチ市場では、Ciscoを始めとする北米企業が世界のいずれの地域においても圧倒的なシェアを占めており、世界市場における北米企業のシェアは、91.6%である。日本市場においては、日本企業が28.5%のシェアを占めており、北米企業のシェアは、70.0%となっている。主要な日本企業としては、アライドテレシス、日立ケーブル、アラクサラ、富士通、NEC等が挙げられる。北米以外の企業としては、Huawei等のアジア太平洋企業がわずかずつながら競争力を伸ばしてきており、アジア太平洋市場において24.3%のシェアを占めるほか、欧州・中東・アフリカ市場及び中南米市場においてそれぞれ3.2%、5.3%を占めている(図表1-2-2-26)。
 
図表1-2-2-26 世界地域別LANスイッチ市場における地域別企業シェア(2007年上期)
図表1-2-2-26 世界地域別LANスイッチ市場における地域別企業シェア(2007年上期)

F 企業向けルーター
 企業向けルーター市場においても、LANスイッチと同様に、Ciscoを始めとする北米企業が独占的シェアを占めており、世界市場におけるシェアは94.1%となっている。日本市場においては、日本企業が35.8%のシェアを占めており、LANスイッチと同様に北米企業のシェアが相対的に低くなっている。また、アジア太平洋企業のシェアは、アジア太平洋市場において20.6%を占めるが、それ以外の地域においてはいずれも3%に満たない(図表1-2-2-27)。
 
図表1-2-2-27 世界地域別企業向けルーター市場における地域別企業シェア(2007年上期)
図表1-2-2-27 世界地域別企業向けルーター市場における地域別企業シェア(2007年上期)

イ 放送/メディア関連市場
(ア)放送サービス及びコンテンツ
 世界の主要な放送/メディア事業者の売上高を比較すると、欧米のメディアコングロマリット型企業が世界の売上高上位を占めている(図表1-2-2-28)。また、放送関連事業の売上高のみを見ても、自国内に大規模な市場を有する米国企業が大きな売上高を上げている。また、米国事業者は、いずれも地上波、ケーブル等の複数のチャンネルを抱えて多角的な事業展開を行っているのが特徴である。
 
図表1-2-2-28 世界の主要放送/メディア事業者の売上高(2006年度)
図表1-2-2-28 世界の主要放送/メディア事業者の売上高(2006年度)
Excel形式のファイルはこちら

 放送事業の展開のためには各国の免許を必要とするため、メディアサービスの国際競争という点では映画や放送番組等のコンテンツ分野が中心であると想定される。
 ただし、米国のNews Corp.やLiberty Globalといった事業者は、海外の放送事業者への出資を通した国際展開に積極的である。Liberty Globalは日本最大のケーブル事業者であるジュピターテレコムの連結親会社となっており、日本での事業展開にも積極的である。また、Time Warner、Walt Disney、CBS等の米国トップメディア事業者も、国際放送等を通した海外事業を展開している。
 コンテンツ事業の国際展開の状況を見るために、2004年の欧州における地上波放送番組の放送時間と映画観客動員数に占める国別シェアを見ると、いずれも米国製コンテンツの進出度が高くなっている。日本のシェアは、外国製地上波番組の放送時間に占める割合では2.4%を占める6が、映画の観客動員数に占める割合では、イギリス、ドイツ、フランスにおいていずれも1%未満となっている(図表1-2-2-29)。
 
図表1-2-2-29 欧州の映像コンテンツ市場における国別製作者シェア(2004年)
図表1-2-2-29 欧州の映像コンテンツ市場における国別製作者シェア(2004年)
Excel形式のファイルはこちら

(イ)インターネットメディア
 メディアとしてのインターネットの重要性の高まりとともに、インターネット上でグローバルに事業展開を行う企業が世界におけるプレゼンスを高めている。インターネット企業としてグローバル展開を行っている主要企業として、Google、Yahoo!、Microsoft、Amazon、eBay等が挙げられるが、これらの企業の特徴として、いずれも国別ドメインの取得と国別言語によるサイト構築を行い、グローバルに事業展開を行っている点が挙げられる。一方、日本のインターネット企業で、海外のドメインを取得して大規模な外国語サイトの構築を行っている企業は、ほぼ皆無といえる状況である。以下では日米の主要インターネットサイトの日本、米国及び欧州3箇国(ドイツ、フランス、イギリス)における利用者数を比較し、日米インターネット企業の国際展開の状況の違いを見る。

A ポータル及び検索サイト
 ポータル及び検索サイトとしては、米国のGoogle、MSN/Windows Live、Yahoo!、AOLの利用者数が日本の主要サイトに比べて多くの利用者数を獲得している。2008年1月における各サイトの日米欧5箇国における家庭のパソコンからの利用者数は、それぞれ1億8,822万人、1億3,510万人、1億2,953万人、1億49万人となっている。いずれのサイトも地元米国のみならず、日本及び欧州での事業展開にも積極的であり、日米欧5箇国において一定以上の利用者7を獲得している(図表1-2-2-30)。
 
図表1-2-2-30 日米主要ポータル及び検索サイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
図表1-2-2-30 日米主要ポータル及び検索サイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
Excel形式のファイルはこちら

 利用者数から見た日本企業による主要ポータル及び検索サイトとしては、Yahoo!Japan、goo、@nifty及びlivedoorが挙げられる。いずれも海外向けサイトの構築は行っておらず、海外からの利用者はほとんど無い。2008年1月における各サイトの家庭のパソコンからの利用者数は、それぞれ4,202万人、1,831万人、1,829万人、1,715万人となっている。

B ブログ及びSNSサイト
 ブログサイトにおいてはGoogle傘下のBlogger、SNSサイトにおいては米国News Corp.傘下のMySpaceが他の日米サイトに比べて圧倒的多数の利用者8を獲得している状況にある。
 日本企業による主要ブログサイトとしては、FC2ブログ、livedoor Blog、アメーバブログ、Yahoo! Japanブログ、@niftyココログ、Seasaaブログが挙げられる。これらのサイトも海外向けサイトの構築は行っておらず、海外からの利用者はほとんど無い。2008年1月における各サイトの家庭のパソコンからの利用者数は、それぞれ1,831万人、1,431万人、1,186万人、1,099万人、939万人、917万人となっている(図表1-2-2-31)。
 
図表1-2-2-31 日米主要ブログ及びSNSサイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
図表1-2-2-31 日米主要ブログ及びSNSサイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
Excel形式のファイルはこちら

 米国企業によるBlogger以外の主要ブログサイトとしては、Windows Live Spaces、WordPress.com、SixApart TypePadが挙げられる。日本におけるブログ利用者は海外に比べて多いといわれており、FC2ブログ及びlivedoor Blogの利用者数は、Blogger以外の米国サイトの日米欧5箇国の合計利用者を上回る。しかしながら、米国サイトはいずれも米国外サイトの構築を行っており、グローバルな事業展開に積極的である。
 日本企業による主要SNSサイトとしては、mixi及びGREEが挙げられるが、いずれも米国サイトに比べると利用数は少なく、利用者層も国内に限定されている。MySpace以外の米国主要SNSサイトとしては、Facebook、Classmates Onlineが挙げられる。

C 動画共有/配信及び情報共有サイト
 動画共有/配信サイトにおいては、Google傘下のYouTubeが圧倒的多数の利用者を獲得しており、情報共有サイトについては、非営利のWikipediaが企業サイトよりも多くの利用者を有している(図表1-2-2-32)。2008年1月における各サイトの日米欧5箇国における家庭のパソコンからの利用者数は、YouTubeが8,689万人、Wikipediaが8,291万人となっている9
 
図表1-2-2-32 日米主要動画共有/配信及び情報共有サイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
図表1-2-2-32 日米主要動画共有/配信及び情報共有サイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
Excel形式のファイルはこちら

 日本企業による主要動画共有/配信サイトとしては、GyaO、ニコニコ動画、Yahoo!動画、BIGLOBE Streamが挙げられるが、いずれも海外利用者はほとんど無い。利用者を見ても、それぞれ537万人、448万人、308万人、97万人となっており、日本国内だけで比べてもYouTubeの利用者数を超えるサイトは無い。
 Wikipedia以外の主要情報共有サイトとしては、米国のYahoo!Answersが一定の利用者数を獲得している10

D ショッピング及びオークションサイト
 ショッピングサイトにおいてはAmazon、オークションサイトにおいてはeBayの利用者数が圧倒的に多く、また、国別サイトの構築を行っており、グローバル展開にも積極的である(図表1-2-2-33)。2008年1月における各サイトの日米欧5箇国における家庭のパソコンからの利用者数は、Amazonが7,249万人、eBayが7,981万人となっている11
 
図表1-2-2-33 日米主要ショッピング及びオークションサイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
図表1-2-2-33 日米主要ショッピング及びオークションサイトの日米欧における利用者数(2008年1月)
Excel形式のファイルはこちら

 日本企業が運営するサイトとしては、ショッピングでは楽天、オークションではYahoo! オークションがあり、2008年1月の利用者数は、それぞれ2,159万人、1,592万人となっている。楽天については、台湾や欧州への進出計画を発表しており、Yahoo! オークションについては、eBayとの提携による海外市場への進出を図っているが、いずれも2008年1月時点では海外向けのサイト構築は行っておらず、日本国内からの利用がほとんどとなっている。米国主要サイトでも、Amazon及びeBay以外に大規模なグローバルな事業展開を行っているサイトは見当たらない。

(ウ)放送/メディア関連端末・機器
 放送/メディア関連端末・機器市場における地域別企業シェアを見ると、液晶テレビ、プラズマテレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラ市場において、日本企業はそれぞれ43.9%、51.3%、55.4%、72.9%となっており、いずれも他地域の企業に比べて高いシェアを有している。日本企業以外では、アジア太平洋企業が、液晶テレビ、プラズマテレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラ市場においてそれぞれ38.3%、40.1%、34.2%、12.2%と高いシェアを占めている。特に液晶テレビ市場とプラズマテレビ市場で日本企業とシェアを分け合い、激しい競争状況にある(図表1-2-2-34)。
 
図表1-2-2-34 世界放送/メディア関連端末・機器市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-34 世界放送/メディア関連端末・機器市場における地域別企業シェア
 
図表1-2-2-35 世界放送/メディア関連端末・機器市場における地域別主要企業
図表1-2-2-35 世界放送/メディア関連端末・機器市場における地域別主要企業

A 液晶テレビ
 各国における放送のデジタル化の進展とともに、液晶テレビ市場は急速に拡大しており、2007年における世界市場規模は約680億ドルである。液晶テレビ市場においては、日本のソニー、シャープ、東芝、韓国のSamsung、LG電子及びオランダのPhillipsがトップ企業グループに位置付けられ、2006年以降、トップ6位を独占している。特に日本のソニーと韓国Samsungがトップシェアを争っており、2006年にはソニーがトップ、2007年にはSamsungが逆転するなど、激しいシェア争いを展開している。このほか上位グループに続く松下電器産業、三洋電機、船井電機、日本ビクター、日立製作所等も一定のシェアを有していることから、世界市場におけるシェアでは日本企業が最も高くなっている。
 地域別企業シェアを見ると、日本及び北米市場では日本企業がそれぞれ99.0%、47.7%を占めており、トップシェアを占めている(図表1-2-2-36)。特に日本市場においては、ブランドや販売チャネル等の面で日本企業の競争力が圧倒的に高く、海外企業の進出は極めて難しくなっている。一方、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場においては、アジア太平洋企業が66.3%、42.6%、50.6%を占めており、トップシェアを占めている。アジア太平洋、西欧及びその他地域市場における日本企業のシェアは、それぞれ25.8%、36.9%、31.5%となっており、特にアジア太平洋及びその他地域市場におけるシェアの差が大きい。今後はアジア太平洋及びその他地域市場においてデジタルテレビの普及が本格化すると見られていることから、世界市場全体においてはアジア太平洋企業に有利な状況と考えられる。
 
図表1-2-2-36 世界地域別液晶テレビ市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-36 世界地域別液晶テレビ市場における地域別企業シェア(2007年)

B プラズマテレビ
 プラズマテレビは、従来から大画面になると液晶テレビよりも低コストでの生産が可能であるといわれてきた。そのため、特に40型以上の大型テレビではプラズマテレビ、それ以下のサイズでは液晶テレビ、という薄型テレビ間のすみ分けがされていたが、液晶テレビ市場の競争激化に伴う価格の急落とともに、大画面の液晶テレビにおいても低価格化が進み、従来プラズマテレビの領域と言われる市場にも液晶テレビが浸透しつつある。2007年における世界市場規模は、約150億ドルであるが、前年比ではマイナスとなっている。主要企業としては、日本の松下電器産業がトップで30%以上のシェアを占めており、2位以下の企業に大きく差をつけている。液晶テレビにも参入している韓国のSamsung、LG電子、日本の日立製作所、オランダのPhillipsの他、日本のパイオニアも上位を占めている。
 地域別企業シェアを見ると、液晶テレビと同様、日本及び北米市場においては日本企業がそれぞれ100.0%、55.4%とトップシェアを占めているが、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場においては、アジア太平洋企業がそれぞれ62.4%、46.7%、50.7%と、トップシェアを占めている(図表1-2-2-37)。
 
図表1-2-2-37 世界地域別プラズマテレビ市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-37 世界地域別プラズマテレビ市場における地域別企業シェア(2007年)

ウ 情報システム/サービス関連市場
(ア)情報サービス及びソフトウェア
 世界の情報サービス市場における企業シェアを見ると、2006年において日本企業は、システム開発、システム運用管理においてはそれぞれ13.3%、13.8%と10%以上のシェアを占めているが、コンサルティング、BPO、ハードウェア製品サポート、ソフトウェア製品サポートにおいてはそれぞれ7.5%、8.5%、9.5%、7.3%となっており、いずれも10%を下回る(図表1-2-2-38)。いずれの市場においても、世界で最も高いシェアを有するのは北米企業であり、システム開発、コンサルティング、システム運用管理、BPO、ハードウェア製品サポート、ソフトウェア製品サポートにおいてそれぞれ48.3%、58.0%、53.2%、68.0%、53.3%、48.9%のシェアを占めている。
 
図表1-2-2-38 世界情報サービス及びソフトウェア市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-38 世界情報サービス及びソフトウェア市場における地域別企業シェア

 ソフトウェア市場では北米企業のシェアが更に高く、2006年のアプリケーションソフトウェア、インフラソフトウェア市場においてそれぞれ71.3%、93.6%を占めている。アプリケーションソフトウェアとは、ERP、CRMソフトウェア等、主に企業のエンドユーザーが業務において利用するソフトウェアを指し、インフラソフトウェアとは、DBMS、ミドルウェア、セキュリティソフト等、主にシステムエンジニアがシステム開発の際に利用するソフトウェアを指す。日本企業のシェアはそれぞれ0.4%、2.5%となっており、いずれも3%に満たない。
 
図表1-2-2-39 世界情報サービス及びソフトウェア市場における地域別主要企業
図表1-2-2-39 世界情報サービス及びソフトウェア市場における地域別主要企業

A システム開発
 システム開発は、ハードウェア及びソフトウェアを組み合わせてユーザー企業の要望に応じたシステムの開発を行う情報サービスである。2006年における市場規模は、約2,000億ドルとなっている。
 各地域市場とも自地域内企業のシェアが最も高くなっており、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアはそれぞれ81.8%、63.2%、86.1%、67.9%、51.9%となっている(図表1-2-2-40)。北米企業以外の企業は、いずれもほとんどが自地域内市場中心の事業展開となっているのに対し、北米企業は、世界トップのIBMをはじめとしてAccenture、EDS等の企業が自地域外でも積極的な事業展開を行っており、日本、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場でそれぞれ15.1%、23.6%、25.4%、24.3%と一定のシェアを占める。日本では、富士通、NEC、日立製作所等が主要企業として挙げられ、日本市場では圧倒的なシェアを占めているが、日本以外の市場におけるシェアは低い。
 
図表1-2-2-40 世界地域別システム開発市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-40 世界地域別システム開発市場における地域別企業シェア(2006年)

B コンサルティング
 コンサルティングサービスは、主にシステム開発の上流工程として、ユーザー企業がどのようなシステム導入を行うべきかについての検討をサポートするサービスであり、ユーザー企業のビジネス面から検討するビジネスコンサルティングと、必要な機能に応じた最適なシステム仕様の検討が中心となるシステムコンサルティングとがある。ユーザー企業の事業環境変化が速くなるに伴い、ユーザー企業の要望に対応したシステム提供にとどまらず、最新技術等を踏まえた最適なソリューション提案を行うことが重要となっていると見られ、2006年における世界市場規模は、約550億ドルとなっている。
 コンサルティング市場においてもシステム開発市場と同様、各地域の自地域内企業のシェアが最も高く、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアはそれぞれ75.0%、52.1%、88.1%、58.3%、48.5%となっている(図表1-2-2-41)。各地域における主要企業もシステム開発市場と同様、日本企業では富士通、NEC、日立製作所、北米企業ではIBM、Accenture等が挙げられる。なお、北米企業の自地域外市場での事業展開状況を見ると、日本、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場におけるシェアは20.6%、38.3%、36.3%、36.0%と、いずれもシステム開発におけるシェアよりも高くなっている。
 
図表1-2-2-41 世界地域別コンサルティング市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-41 世界地域別コンサルティング市場における地域別企業シェア(2006年)

C システム運用管理
 システム運用管理は、ユーザー企業が利用する情報システムの運用管理を、製品別ではなくシステムとして一括して請け負うサービスである。2006年における世界市場規模は約1,700億ドルである。ユーザー企業が自社の強みに資源を集中投資し、情報システム関連の業務についてはシステム専門企業に業務委託を行うという考え方が浸透するに伴い、システム運用管理サービスの重要性は高まっていると見られる。
 システム運用管理市場でも、主要事業者は各市場における自地域内企業のシェアが最も高く、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアは、それぞれ83.6%、60.4%、91.9%、59.0%、50.9%となっている(図表1-2-2-42)。サービス提供は、システム開発企業がシステム開発から一貫して行うケースが多くなっていると見られ、主要企業もシステム開発と同様の企業名が挙げられる。自地域外市場への事業展開の状況について見ると、北米企業がアジア太平洋、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ30.2%、33.3%、36.4%といずれも30%以上のシェアを占めているが、日本市場においては13.6%となっており、日本国内における日本企業の競争力の高さを示す結果となっている。
 
図表1-2-2-42 世界地域別システム運用管理市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-42 世界地域別システム運用管理市場における地域別企業シェア(2006年)

D BPO(Business Process Outsourcing)
 BPOは、ユーザー企業が通常情報システムを用いて行う社内管理等の業務を業務ごと請け負うサービスである。特に北米地域では、BPOが積極的に活用されており、システム運用管理とBPO市場の大きさがほぼ同程度である。2006年における世界市場規模は、約1,000億ドルとなっているが、北米市場が6割以上を占める。
 BPOにおいては、業務処理用のシステム開発や運用管理等に加えて、業務処理にかかる人員を多く抱える必要があるため、システム開発やシステム運用管理サービスを主として提供する企業とは異なる企業のシェアが高くなっている。日本で最も高いシェアを占めているのはトランスコスモスである。また、北米企業としては、Automatic Data Processing、Affiliated Computer Services、First Dataといった企業が上位シェアを占めている。
 一方、地域別企業シェアを見ると、システム開発やシステム運用管理市場と同様、各地域市場においては自地域内企業が最も高いシェアを有する傾向にある。日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアは、それぞれ98.4%、60.0%、94.2%、66.7%、54.3%となっている(図表1-2-2-43)。特に日本においては日本企業のシェアが圧倒的である。自地域以外の企業として大きなシェアを占めるのは、いずれの地域においても北米企業であり、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ31.8%、29.1%、38.6%のシェアを占めている。
 
図表1-2-2-43 世界地域別BPO市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-43 世界地域別BPO市場における地域別企業シェア(2006年)

E ハードウェア製品サポート
 ハードウェア製品サポートは、情報システム関連のハードウェア製品の保守管理を請け負うサービスである。他の情報サービスと同様に、各地域とも自地域内企業のシェアが高くなっている。ただし、アジア太平洋市場においては、北米企業のシェアが自地域内企業のシェアを上回っている。日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアは、それぞれ73.2%、39.8%、90.7%、61.1%、50.8%となっている(図表1-2-2-44)。北米企業は、IBM、HP、Dellといった端末・機器分野の主要企業がサポートサービス市場でも大きなシェアを占めており、日本、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ23.8%、49.8%、33.1%、27.4%のシェアを占めている。
 
図表1-2-2-44 世界地域別ハードウェア製品サポート市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-44 世界地域別ハードウェア製品サポート市場における地域別企業シェア(2006年)

F ソフトウェア製品サポート
 ソフトウェア製品サポートサービスにおいても、各地域で最も高いシェアを占めるのは自地域内企業であり、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアはそれぞれ75.3%、52.2%、84.0%、68.7%、56.0%となっている(図表1-2-2-45)。自地域外企業としてはいずれの地域においても北米企業のシェアが高く、日本、アジア太平洋、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ19.0%、36.6%、24.4%、27.0%となっている。
 
図表1-2-2-45 世界地域別ソフトウェア製品サポート市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-45 世界地域別ソフトウェア製品サポート市場における地域別企業シェア(2006年)

G アプリケーションソフトウェア
 アプリケーションソフトウェアにおいては、米国のMicrosoft、Oracle及びドイツのSAPが3大ベンダーであり、2006年における3社合計の世界シェアは50%を超える。世界市場におけるシェアは、これらの企業を中心とする欧米企業によってほとんどが占められている状況と見られ、北米企業及び西欧企業の世界市場シェアはそれぞれ71.3%、27.1%となっている(図表1-2-2-46)。また、日本国内においても、欧米企業のシェアが高くなっている。
 
図表1-2-2-46 世界地域別アプリケーションソフトウェア市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-46 世界地域別アプリケーションソフトウェア市場における地域別企業シェア(2006年)

H インフラソフトウェア
 インフラソフトウェアとしては、データベース製品が大きな割合を占めており、データベース製品で高いシェアを占める米国のIBM、Oracle、Microsoftが3大企業となっている。IBMは、データベースのみならず、ミドルウェア等でも上位シェアを占めており、インフラソフトウェア市場におけるトップシェアを有している。3大企業に次ぐ企業としては、セキュリティソフトに強みを有するSymantecや、システム運用管理用ソフトウェアで強みを有するCA等が挙げられ、2006年の世界市場における5社合計シェアは50%を超えている(図表1-2-2-47)。
 
図表1-2-2-47 世界地域別インフラソフトウェア市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-47 世界地域別インフラソフトウェア市場における地域別企業シェア(2006年)

(イ)情報システム関連端末・機器
 世界の主要情報システム関連端末・機器市場における企業シェアを見ると、日本企業は、コピー機市場において63.3%と圧倒的なシェアを占める。また、ノートパソコン及びプリンターについても、それぞれ23.8%、32.1%となっており、一定のシェアを占めている。一方で、デスクトップパソコン、ワークステーション、サーバーについては、それぞれ6.1%、3.6%、6.8%となっており、日本企業のシェアは10%未満である。ストレージ市場においては、13.0%のシェアを占める(図表1-2-2-48)。
 
図表1-2-2-48 世界情報システム関連端末・機器市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-48 世界情報システム関連端末・機器市場における地域別企業シェア

 コピー機以外の市場においては、北米企業のシェアがいずれも高くなっている。特にワークステーション、サーバー、ストレージといった企業内情報システムインフラ用の端末・機器においてはそれぞれ92.8%、91.2%、86.1%と、いずれも8割以上のシェアを占める。
 
図表1-2-2-49 世界情報システム関連端末・機器市場における地域別主要企業
図表1-2-2-49 世界情報システム関連端末・機器市場における地域別主要企業

A デスクトップパソコン
 デスクトップパソコンについては、台数ベースではアジア太平洋をはじめとする新興市場で成長を示しているものの、価格低下に伴って金額ベースでの市場はそれほど伸びていない。2007年の世界市場規模は約1,000億ドルとなっている。ただし、購入からメンテナンスまでを含めたトータルコストの面ではノートパソコンに比べてメリットが大きいことから、大量にパソコンを保有する大企業での需要は依然高いといわれている。企業シェアでは、米国のDell及びHPの2社がトップ企業であり、規模のメリットを生かした低価格化やサポート体制の充実によって他の企業に大きく差をつけている。一方で、中国のLenovoや台湾のAcerも、近年欧米大手企業の買収を行うなど、積極的なシェア拡大を図っており、今後は一層の競争激化が予想される。
 地域別企業シェアを見ると、いずれの地域においてもサポート体制等の強みを有する企業が高いシェアを有する傾向にあり、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場における自地域内企業のシェアはそれぞれ63.1%、79.2%、93.4%、34.8%、70.6%となっている。ただし、北米企業は、自地域外市場での事業展開にも積極的であり、西欧市場においては42.1%と、地元西欧企業以上のシェアを占める。また、日本、アジア太平洋及びその他地域市場においてもそれぞれ32.7%、20.6%、21.1%と一定のシェアを占めている。日本企業では、富士通、NECが事業展開を行っているが、国外市場でのプレゼンスは低い(図表1-2-2-50)。
 
図表1-2-2-50 世界地域別デスクトップパソコン市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-50 世界地域別デスクトップパソコン市場における地域別企業シェア(2007年)

B ノートパソコン
 ノートパソコンについては、インターネットの普及等に伴い、個人や中小企業向けの需要が大きく伸びており、2007年における世界市場規模約1,100億ドルは、デスクトップパソコン市場を上回る規模となっている。市場シェアでは、デスクトップパソコンと同様、米国のHP及びDellと中国Lenovo及び台湾Acerが上位を占めるが、更に日本の東芝を加えた5社が上位グループシェアを競っている。また、ソニーや富士通も、世界市場における一定のシェアを占めている。しかしながら、デスクトップパソコンと同様、LenovoとAcerは欧米企業を買収して更に競争力を高めており、日本企業にとって大きな脅威である。
 地域別企業シェアを見ると、日本、北米及びアジア太平洋市場ではそれぞれ自地域内企業の市場シェアが79.1%、67.1%、56.8%と、自地域外企業を抑えている。一方で、西欧市場においては、北米、アジア太平洋、日本の企業がそれぞれ33.4%、29.6%、25.0%、その他地域市場においてはそれぞれ35.4%、36.0%、19.6%のシェアを占めており、3地域の企業間でシェア争いが激化している(図表1-2-2-51)。
 
図表1-2-2-51 世界地域別ノートパソコン市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-51 世界地域別ノートパソコン市場における地域別企業シェア(2007年)

C ワークステーション
 ワークステーションは、大規模な事務処理やグラフィック処理等に利用される、パソコンに比べて高性能な情報処理端末である。パソコンの低価格化と高性能化により、日本では市場は縮小傾向にあるが、世界市場は依然拡大傾向にある。2007年における世界市場規模は約60億ドルであるが、地域別に見ると、北米市場が約4割、西欧市場が約3割を占める。
 世界市場の約8割は米国のDellとHPの2社で占められている。日本では富士通とNECが市場に参入しているが、いずれも国内市場における事業展開にとどまっており、海外市場には進出できていない(図表1-2-2-52)。
 
図表1-2-2-52 世界地域別ワークステーション市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-52 世界地域別ワークステーション市場における地域別企業シェア(2007年)

D サーバー
 サーバーには、高度なメインフレームから、低価格のローエンドサーバーまで、幅広い製品が含まれる。半導体製品の高性能化によって単位当たりの処理性能が向上していることから、全体としては価格低下が進んでいるものの、グローバルな事業展開を行う企業においては超高性能のメインフレームに対するニーズも高い。2007年におけるサーバー市場規模は約550億ドルである。しかしながら、日本市場においてはユーザー企業におけるサーバー投資が停滞しており、2007年においては台数ベース、金額ベースともに市場はマイナス成長、世界市場に占める割合も年々低下している。
 世界市場においては、米国のIBM、HPの2社がトップ企業であり、2社の合計シェアは50%を超える。トップ2社の次には、同じく米国のDellとSun Microsystemsが続いており、米国トップ4社で7割程度の世界シェアを占めている状況である。なお、トップ企業の強みはそれぞれ異なっており、IBMとSun Microsystemsは比較的ハイエンド製品に強く、Dellはローエンド製品に強い。HPは両者の中間である。日本企業としては、富士通、NEC、日立製作所等がトップ企業であるが、いずれも日本国内中心の事業展開にとどまっている。
 地域別企業シェアを見ると、いずれの市場においても北米企業が圧倒的なシェアを占めており、日本、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ54.5%、92.4%、99.5%、88.4%、96.2%となっている。日本企業は、日本市場におけるシェアが45.5%と、自地域内の市場でも米国企業のシェアに及ばない。北米企業と日本企業以外の企業は、ほとんどシェアを獲得できていない(図表1-2-2-53)。
 
図表1-2-2-53 世界地域別サーバー市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-53 世界地域別サーバー市場における地域別企業シェア(2007年)

E ストレージ(RAID)
 情報システムの大規模化とともに、システムが扱うデータ量も年々増加しており、大量のデータを効率的かつ安定的に扱うことのできるストレージの重要性は高まっている。企業の情報システムにおいては、複数のハードディスクを組み合わせて1セットの記憶装置として利用するRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)と呼ばれる形態のストレージが一般的に利用されており、市場において重要な位置を占める。2006年における市場規模は約150億ドルである。
 世界のトップ企業は、米国のEMC、IBM、HPの3社であり、その合計シェアは50%を超える。日本企業では、日立製作所が国内外において積極的に事業展開を行っており、一定のシェアを占めている。
 地域別企業シェアを見ると、日本市場以外では北米企業のシェアが圧倒的に高く、アジア太平洋、北米、西欧及びその他地域市場においてそれぞれ89.0%、93.2%、89.2%、91.7%となっている。日本市場においては、日本企業が62.5%のシェアを占め、北米企業を上回っている(図表1-2-2-54)。
 
図表1-2-2-54 世界地域別ストレージ(RAID)市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-54 世界地域別ストレージ(RAID)市場における地域別企業シェア(2006年)

F コピー機
 コピー機市場においては、プリンター、スキャナー、ファクシミリ等の多機能を備えた複合機の割合が高まっており、プリンターからの置換えも進展している。2007年における世界市場は約400億ドルであり、その他地域市場を中心に市場が拡大している。世界市場においては、キヤノン、リコー、コニカミノルタ、シャープ、富士ゼロックスといった日本企業が海外にも積極的に進出し、高い市場シェアを獲得している。日本企業以外では、米国のHP、Xerox、Lexmarkといった企業が高いシェアを有している。HPとLexmarkは、複合機投入によるプリンター市場からの参入である。
 地域別企業シェアを見ると、日本企業は、日本市場において99.0%のシェアを有しており、海外企業の参入を抑えている。アジア太平洋、北米及び西欧市場においてもそれぞれ73.8%、63.7%、54.4%となっており、各地域内の企業よりも高いシェアを有している。北米企業のシェアは、日本市場では1.0%に過ぎないが、アジア太平洋、北米及び西欧市場においては17.5%、35.7%、30.1%となっており、さらに、その他地域市場においては49.8%と、日本企業のシェアを上回っている(図表1-2-2-55)。
 
図表1-2-2-55 世界地域別コピー機市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-55 世界地域別コピー機市場における地域別企業シェア(2007年)

G プリンター
 プリンター市場は、複合機への置き換わりとともに、日本及び欧米市場ではマイナス成長となっており、成長の中心はアジア太平洋及びその他地域市場である。世界のトップ企業はHPであり、日本以外の市場ではいずれもトップシェアを占めている。
 地域別企業シェアを見ると、日本市場では日本企業が93.9%を占めており、海外企業はほとんど参入できていない。アジア太平洋市場では、日本企業が40.0%、北米企業が42.2%と、ほぼ同等のシェアを占めているほか、アジア太平洋企業も16.2%のシェアを占めており、最も競争の激しい市場となっている。北米、西欧及びその他地域市場においては、北米企業がそれぞれ70.2%、61.1%、71.3%となっており、市場における優位を確立している(図表1-2-2-56)。
 
図表1-2-2-56 世界地域別プリンター市場における地域別企業シェア(2007年)
図表1-2-2-56 世界地域別プリンター市場における地域別企業シェア(2007年)

エ 情報通信関連デバイス市場
(ア)半導体デバイス
 世界の半導体デバイス市場における地域別の企業シェアを見ると、日本企業は、映像・画像系の機器等に用いられるオプトエレクトロニクスデバイスや、トランジスタ・ダイオード等の電子回路素子であるディスクリート半導体においてそれぞれ53.8%、43.0%と他地域に比べて高いシェアを占めている。一方、特定用途半導体デバイス、メモリーについてはそれぞれ18.9%、15.3%のシェアであり、プロセッサーでは1.6%のシェアを占めるに過ぎない(図表1-2-2-57)。
 
図表1-2-2-57 世界半導体デバイス市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-57 世界半導体デバイス市場における地域別企業シェア

 特定用途半導体デバイス及びプロセッサーについては、米州企業のシェアが最も高く、それぞれ57.4%、98.3%と半分以上のシェアを占める。米州企業のほとんどは米国企業である。メモリーについてはアジア太平洋企業が51.8%と、半分以上のシェアを占めている。
 
図表1-2-2-58 世界半導体デバイス市場における地域別主要企業
図表1-2-2-58 世界半導体デバイス市場における地域別主要企業

A 特定用途半導体デバイス
 特定用途半導体デバイスは、ASIC(Application Specific IC)やASSP(Application Specific Standardized Product)ともいわれ、端末・機器の機能を実現しやすくするために、半導体デバイスレベルで機能の実装を行うデバイスである。前者は特定製品に特化して生産される半導体デバイス、後者は特定用途に特化しながら製品間の標準化が図られた半導体デバイスである。2006年の市場規模は872億ドルとなっており、半導体デバイス市場全体の1/3以上を占める。企業シェアで上位を占めるのは、米国のTexas Instruments、Qualcomm、欧州のSTMicroelectronics等であるが、多数の企業が参入しており、上位企業による寡占化の傾向は見られない。
 地域別の企業シェアを見ると、日本企業は、日本市場においては64.5%と半分以上のシェアを占めるが、アジア太平洋、米州及び欧州・中東・アフリカ市場においてはそれぞれ9.8%、5.2%、4.8%となっている。一方、米国を中心とする米州企業は、日本市場では29.6%のシェアであるが、アジア太平洋、米州及び欧州・中東・アフリカ市場においてそれぞれ64.0%、78.1%、47.6%となっており、いずれの地域においても最大のシェアを占めている(図表1-2-2-59)。半導体デバイスで海外市場に進出するためには、多数の顧客に対してデバイス提供を行う必要があることから、特定製品ではなく、特定用途向けの標準品で強みを発揮することが重要と考えられる。しかしながら、日本企業は標準型製品であるASSPよりもASICに強みがある企業が多くなっており、これが、米国企業との差の一因となっていると考えられる。
 
図表1-2-2-59 世界地域別特定用途半導体デバイス市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-59 世界地域別特定用途半導体デバイス市場における地域別企業シェア(2006年)

B プロセッサー
 プロセッサーは、パソコンのCPU等、コンピュータ機器や組込み機器における演算処理装置として用いられる製品である。2006年の世界市場規模は323億ドルと、半導体デバイス市場の約1/8を占める。企業シェアでは、米国のIntelとAMDの2社がほぼ市場を独占している。
 地域別企業シェアでは、米州企業が日本以外の市場でいずれも99%以上のシェアを占めるが、日本市場においてはルネサステクノロジ、NECエレクトロニクス、東芝等の日本企業が13.5%のシェアを占めており、米州企業のシェアは86.5%となっている(図表1-2-2-60)。
 
図表1-2-2-60 世界地域別プロセッサー市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-60 世界地域別プロセッサー市場における地域別企業シェア(2006年)

C メモリー
 メモリー市場には、パソコン等のコンピュータ機器で用いられるDRAMや、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ等での需要が伸びているフラッシュメモリー等が含まれ、2006年の世界市場規模は608億ドルで半導体デバイス市場の約1/4を占める。企業シェアでは、韓国のSamsungがトップシェアを占め、同じく韓国のHynix Semiconductorが続いている。日本企業では、フラッシュメモリーで東芝、DRAMでエルピーダメモリが上位に入っている。
 地域別企業シェアを見ると、韓国企業を中心とするアジア太平洋企業のシェアが日本、アジア太平洋、米州及び欧州・中東・アフリカ市場においてそれぞれ35.9%、59.5%、49.5%、52.0%と、いずれの地域においても最も高いシェアを占めている。日本企業は、日本市場では35.6%とアジア太平洋企業とほぼ同等のシェアを占めているが、アジア太平洋、米州及び欧州・中東・アフリカ市場における市場シェアはそれぞれ10.4%、13.7%、9.7%と、アジア太平洋企業のシェアに及ばない(図表1-2-2-61)。
 
図表1-2-2-61 世界地域別メモリー市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-61 世界地域別メモリー市場における地域別企業シェア(2006年)

D オプトエレクトロニクスデバイス
 オプトエレクトロニクスデバイスは、カメラ等の受光処理を行うイメージセンサー、半導体レーザー等に応用されるLED等、光学を応用した半導体デバイス製品である。2006年における世界市場規模は204億ドルと、メモリーやプロセッサー市場に比べて市場規模は小さいものの、カメラ付携帯電話やカラー液晶ディスプレイ、太陽電池等の需要の高まりから、半導体デバイス製品の中でも伸び率が高い分野であり、今後一層の市場拡大が期待されている。企業シェアでは、シャープ、ソニー、日亜化学、東芝等の日本企業が上位グループを占める。
 地域別企業シェアを見ると、日本企業は、日本、アジア太平洋、米州市場においてそれぞれ85.2%、38.6%、41.1%と最も高いシェアを占めている。欧州・中東・アフリカ市場においても32.7%のシェアを占め、欧州・中東・アフリカ企業とほぼ同等のシェアとなっている(図表1-2-2-62)。
 
図表1-2-2-62 世界地域別オプトエレクトロニクスデバイス市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-62 世界地域別オプトエレクトロニクスデバイス市場における地域別企業シェア(2006年)

E ディスクリート半導体
 ディスクリート半導体は、トランジスタ、ダイオード等の電子回路素子となる半導体デバイスであり、2006年の市場規模は164億ドルとなっている。市場の中心は、電子回路製品の生産が多い日本とアジア太平洋であり、合計で117億ドルと、世界市場の7割以上を占める。
 企業シェアを見ると、日本市場とアジア太平洋市場においては日本企業が88.6%、35.3%と最も高いシェアを占めている。米州及び欧州・中東・アフリカ市場においては、欧米企業のシェアが高いが、市場の中心が日本とアジア太平洋であることから、世界市場全体としては日本企業がトップシェアを占めている(図表1-2-2-63)。
 
図表1-2-2-63 世界地域別ディスクリート半導体市場における地域別企業シェア(2006年)
図表1-2-2-63 世界地域別ディスクリート半導体市場における地域別企業シェア(2006年)

(イ)ディスプレイデバイス市場
 ディスプレイデバイス市場では、日本企業とアジア太平洋企業が世界市場をほぼ独占している。携帯電話用液晶デバイスとプラズマデバイスでは日本企業がそれぞれ51.1%、49.8%のシェアを占め、アジア太平洋企業とシェアを二分しているが、ボリュームゾーンであるテレビ用とパソコン用の液晶デバイスでは、日本企業のシェアはそれぞれ15.7%、2.3%となっており、アジア太平洋企業がシェアの大半を占める(図表1-2-2-64)。
 
図表1-2-2-64 世界ディスプレイデバイス市場における地域別企業シェア
図表1-2-2-64 世界ディスプレイデバイス市場における地域別企業シェア

 ディスプレイデバイスの分野では、投資競争の激化から企業淘汰が進み、市場の寡占化が進んでいる。価格低下の圧力も高いことから、今後も一定量の生産規模を確保できない企業にとっては厳しい事業展開が強いられると想定される。
 
図表1-2-2-65 世界ディスプレイデバイス市場における地域別主要企業
図表1-2-2-65 世界ディスプレイデバイス市場における地域別主要企業


6 欧州ではEU製番組の放送時間のシェアを50%以上とするように規定されているため、外国製地上波番組のシェアについて、イギリス、ドイツ、フランス等のEU諸国と単純比較することはできない
7 中でも各国で最も利用者数の多いGoogleは、2008年1月において日本、米国、ドイツ、フランス、イギリスにおいてそれぞれ2,156万人、9,839万人、2,674万人、1,996万人、2,158万人の利用者があり、これは、各国の家庭のパソコンからのインターネット利用者のそれぞれ45.1%、65.2%、75.5%、83.1%、83.0%に当たる
8 2008年1月における各サイトの日米欧5箇国における家庭のパソコンからの利用者数は、Bloggerが、3,675万人、MySpaceが、5,692万人となっている
9 YouTubeは日本で1,591万人、米国で4,860万人、ドイツで677万人、フランスで729万人、イギリスで832万人の利用者数があり、利用率はそれぞれ33.3%、32.2%、19.1%、30.4%、32.0%。Wikipediaは日本で1,881万人、米国で3,683万人、ドイツで1,146万人、フランスで880万人、イギリスで701万人の利用者数があり、利用率はそれぞれ39.4%、24.4%、32.3%、36.6%、27.0%
10 2008年1月のYahoo!Answersの利用者は、米国、ドイツ、フランス、イギリスにおいてそれぞれ1,415万人、176万人、271万人、267万人で、利用率はそれぞれ9.4%、5.0%、11.3%、10.3%
11 Amazonは日本で1,519万人、米国で3,343万人、ドイツで1,033万人、フランスで514万人、イギリスで841万人の利用者数があり、利用率はそれぞれ31.8%、22.1%、29.2%、21.4%、32.4%。eBayは日本で26万人、米国で4,287万人、ドイツで1,705万人、フランスで882万人、イギリスで1,082万人の利用者があり、利用率はそれぞれ0.6%、28.4%、48.1%、36.7%、41.6%

 第2節 情報通信産業の成長と国際競争力の強化

テキスト形式のファイルはこちら

コラム 中東・アフリカ、東欧、中南米における情報通信関連市場の成長性 に戻る (3)世界の情報通信関連輸出における我が国のプレゼンス に進む