平成20年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 活力あるユビキタスネット社会の実現

(4)消費行動におけるインターネット利用の課題と対策

ア 安心・安全な商品購入
 インターネットを利用した消費行動が広がるのに伴い、安心・安全な商品購入に対する重要性は一層高まりつつある。ICTを利用した商品購入に対して不安な点を消費者に尋ねたところ、「個人情報が漏えいする」が74.4%、「入力したクレジットカード情報が不正に使用される」が74.1%といずれも7割を超える回答があり、ネットワークの利用に伴う不安の割合が高くなっている(図表1-3-3-23)。次いで「思っていた商品と違う商品が届く」との回答が51.5%、「入金しても商品が届かない」との回答が50.7%、「問い合わせ、苦情、アフターサービスへの対応が十分でない」との回答が40.1%と続いており、これらの項目については、ネットワークの利用に特有の不安というよりも、店頭以外で購入する際に生じる不安であるととらえることができる。
 
図表1-3-3-23 ICTを利用した商品購入に対して不安な点(複数回答)
図表1-3-3-23 ICTを利用した商品購入に対して不安な点(複数回答)
Excel形式のファイルはこちら

 インターネットによる商品購入にかかわるトラブル対策の実施状況について見ると、最も回答が多かったのが「購入者の口コミや評価を確認する」で53.7%、次いで「過去の販売実績を確認する」との回答が38.9%で、店頭で購入しない代わりに、購入者の情報や過去の情報から購入先や購入する商品の信頼性を確認する対策を取っている人の割合が高くなっている(図表1-3-3-24)。また、ICTを利用した商品購入に対する不安で回答が多かった個人情報の漏えい、入力したクレジットカード情報の不正使用への対策であると考えられる「サイトが暗号化技術を採用していることを確認する」の回答が37.6%、「商品到着後に支払う決済方法を選択する」の回答が35.1%となっている。これらの対策は、技術的な知識を必要とする専門的な対策ではないが、消費者が自分でも講じることのできる容易な対策を取ることによって不安の解消に努めていることがうかがえる。
 
図表1-3-3-24 インターネットによる商品購入にかかわるトラブル対策の実施状況(複数回答)
図表1-3-3-24 インターネットによる商品購入にかかわるトラブル対策の実施状況(複数回答)
Excel形式のファイルはこちら

イ 地域間格差の解消
 ICTを利用すれば、時間や空間等の制約を克服することが可能となる。したがって、消費行動においても、インターネットの利用がより進めば、例えば、これまでは周辺地域に店舗がなかったために消費をためらっていた消費者の消費行動を促し、わざわざ遠くの店舗に出向かなければ購入できない商品に対する新たな需要を喚起する可能性がある。またこのことは、とりわけ地理的に不利な条件に置かれている地域の利便性を飛躍的に向上させるとともに、マクロ的に見れば、我が国の消費を拡大し、経済活動の活性化につながることも期待される。
 それでは、消費行動におけるインターネット利用について地域ごとにどのような特徴があるのだろうか。それを見るために、情報収集、評価及び購入において、メーカーサイトを利用すると回答した人の割合を地域別に見たものが図表1-3-3-25である。これを見ると、東北では情報収集、選択肢評価、購入のすべてのプロセスにおいて、メーカーサイトの利用が少ない傾向にある一方、中国では、すべてのプロセスにおいて、メーカーサイトの利用が多いことが分かる。第1節の2でも見たように、東北においてはブロードバンド利用率が全国で最も低くなっており、これが、消費行動においてインターネットの利用が進んでいない要因の一つである可能性も指摘できる。
 
図表1-3-3-25 地域別に見た消費行動におけるインターネット利用
図表1-3-3-25 地域別に見た消費行動におけるインターネット利用
Excel形式のファイルはこちら

 ICTの持つ潜在的な可能性と併せて考えると、インターネットの利用促進を図ることは、店舗に出向かなくても商品やサービスを購入できるという消費者の利便性を向上させるだけでなく、消費機会の拡大や新たな需要喚起等、我が国の経済全体に対する影響も大きく、非常に意義深いものであるといえる。したがって、例えば条件不利地域等、ブロードバンド環境が十分整っていない地域における情報通信インフラの整備は、引き続き重要な課題であり、地理的デジタル・ディバイドの解消を図ることによって、経済の活性化、さらには、活力ある地域社会の創出へとつなげていくことが期待される。

 第3節 ユビキタス化がもたらす新たな国民生活

テキスト形式のファイルはこちら

コラム インターネットを利用した消費者と企業の橋渡しビジネス「ドロップシッピング」 に戻る 第1章第3節4(1)インターネット利用で感じる不安や情報通信ネットワーク利用上の問題点 に進む