平成20年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(2)ネットワークの高度化等

ア ネットワークの高度化の推進
(ア)IPv6の推進
 ネットワークに接続されるコンピュータ等を識別する「IPアドレス」には、これまでIPv4(Internet Protocol Version4)が利用されてきているが、近年、今後想定されるIPアドレス数の不足に対応すべくIPv6(Internet Protocol Version6)への移行が求められているところである。
 このような状況を受け、総務省では、インターネット基盤全体のIPv6への円滑かつ着実な移行を実現するため、実証実験を通じてIPv6を導入する上での技術的な導入ガイドラインを国内の様々な業界や海外のIPv6普及・推進団体向けに策定してきたほか、それらで得られた知見を踏まえ、平成19年3月に電子政府システムのIPv6対応に向けたガイドラインを策定した。
 さらに、今後の国内インターネット網の在り方を技術的な観点から検討することを目的に、同年8月から、「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」を開催し、IPv6移行に係る我が国全体として取り組むべきアクションプランを含めた報告書を平成20年5月に公表する予定である。

(イ)ネットワークのオールIP化に向けた技術基準の見直し
 我が国では、技術革新やこれまでの競争政策等の推進により、世界で最も安くて速いブロードバンド環境が実現し、インターネット上で提供されるIP電話等の新しいサービスが急速に普及・拡大している。このような中、国内外の主要な電気通信事業者が固定電話網のIP化に向けた計画を打ち出すなど、ネットワークのIP化に向けた動きが活発化している。
 このような状況を受け、総務省では、平成17年10月にネットワークのIP化に対応した電気通信設備に係る技術的条件について情報通信審議会に諮問し、平成19年1月、「0AB〜J番号を使用するIP電話の基本的事項に関する技術的条件」について一部答申を受け、関係規定の整備を行った。
 さらに、平成20年3月、情報通信審議会から「050−IP電話等の基本的事項に関する技術的条件」について一部答申を受けたため、総務省では、今後、この一部答申を踏まえ、関係規定の整備等を速やかに進めていく予定である。

(ウ)新世代ネットワークの推進
 昨今のネットワークのIP化やホームネットワーク、ユビキタスネットワークの進展等の大きな変化を踏まえ、総務省では、次世代ネットワークの次の世代を見据えた新たなネットワークの検討を行うことを目的として、平成19年1月から「ネットワークアーキテクチャに関する調査研究会」を開催し、同年8月に報告書の取りまとめを行った。
 同報告書では、新世代ネットワークのコンセプト、技術課題、推進方策等について検討がなされ、新世代ネットワークを世界に先駆けて実現し国際競争力を確保するため、新世代ネットワークの研究開発の推進、産学官連携のためのフォーラム設立の必要性が示された。
 これを受け、総務省は新世代ネットワーク基盤技術に関する研究開発を最重要なテーマとして中長期的な視点で推進している。また、産学官の連携による「新世代ネットワーク推進フォーラム」(平成19年11月設立)等を通じて我が国の英知を結集し、新世代ネットワーク実現に向けた取組を戦略的・統合的に実施している。
 
図表3-2-1-2 新世代ネットワークの推進
図表3-2-1-2 新世代ネットワークの推進

イ 電気通信番号に係る規定の整備
(ア)FMC(Fixed-Mobile Convergence)サービス導入に向けた電気通信番号に係る規定の整備
 FMCサービスは、固定網や移動網などの「ネットワークの融合」による新たなサービスと位置付けられ、様々なシステム形態やサービス形態が想定されている。
 平成19年3月30日に情報通信審議会から受けた「FMC(Fixed-Mobile Convergence)サービス導入に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」についての答申においては、「網形態、通話料金、通話品質などを問わず、既存番号の指定を受けている移動網や固定網を複数組み合わせて、1ナンバーでかつ1コールで提供されるサービス(ただし、品質については、電話として最低限の通話品質は確保していることが必要)」を提供可能とするための制度整備について提言がなされ、これを踏まえて同年6月21日に「電気通信番号規則の一部を改正する省令案」について情報通信審議会に諮問し、同年10月26日に答申を受けて「電気通信番号規則の一部を改正する省令」を制定した(同年11月21日に施行)。
 省令の一部改正の概要は次のとおり。
[1] FMCサービス(利用者からの随時の請求により特定される端末系伝送路設備を介して提供する電気通信役務)を提供するための新規の電気通信番号060番号の規定を整備
[2] FMCサービスを提供するために、携帯電話の電気通信番号(080又は090)、PHSの電気通信番号(070)及びIP電話の電気通信番号(050)を用いることができる旨の規定を追加
[3] FMCサービスに利用可能な電気通信番号の指定等の要件の整備
[4] その他、指定を受けた電気通信番号(080又は090、070、050)をFMCサービスに用いるために必要となる手続等について規定の整備

ウ IPアドレス・ドメイン名の適切な管理
 インターネット利用に必要不可欠なIPアドレスやドメイン名については、重複割当の防止等全世界的な管理・調整を適切に行うことが極めて重要である。現在、インターネット資源の国際的管理・調整は、民間の非営利組織であるICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が行っており、総務省は、ICANNの政府諮問委員会(各国政府の代表者等から構成)の正式登録メンバーとして、国際的な協力体制の確立に取り組んでいる。また、国別ドメインとして我が国に割り当てられている「.jp」ドメインについて、「.jp」ドメインを管理している株式会社日本レジストリサービス(JPRS)と連携して、政府機関のドメインであることが保証されるドメイン名の利用環境整備に取り組んでいる。

 第2節 情報通信政策の展開

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