平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第3章 日本復活へ向けた3つの挑戦

(5)「横展開」のためには、情報通信が触媒となって関係者の「協働」を促進することが必要

 以上の利活用先進事例の特徴を総括すると、[1]公的サービスを必要とする利用者層に照準をあてたきめ細やかな情報通信システム・サービスが提供されていること、[2]利用者目線で、分野横断的なサービスがワンストップで提供されていること、[3]情報通信がプラットフォームになり、異業種の複数の関係者が連携する仕組がシステムの裏側で構築されていること、[4]情報通信の先進技術・サービスを積極的に取り入れつつ、簡単で使いやすいインターフェースが工夫されていることなどが挙げられよう。今回先進事例を紹介した4か国は、国家規模や制度も異なり、単純に比較できない面もありうるが、日本は、こうした先進事例を積極的に取り入れていくべきである。
 「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」のような公的サービスの情報化を進めるためには、単に情報通信システムを導入するだけでは意味がなく、関連する業務プロセスを見直していかないと効果が得られないことが指摘されている。しかし、この業務プロセスの改善は、データの電子化に膨大な作業を伴ったり、中間プロセスが不要になったり、内向きの慣行や裁量の透明化が求められたりするなど、困難を伴うことが少なくない。このような状況から脱するには、情報通信が触媒となって多様な関係者が相乗り可能なプラットフォームを構築し、システムの裏側で関係者が協働することによって業務プロセスを共通化し、効果を共有できるような枠組が必要となる。情報通信産業はこのような視点から、情報通信の利用産業に優しいトータルソリューションを提供していくことが求められる。また、そうしたソリューションは、利用者にとっても複数のサービスをワンストップで利用できる利便性を確保することにつながるものである。このようなコンセプトをまとめたものが図表3-2-3-8である9
 
図表3-2-3-8 情報通信産業と公的サービス提供機関等の連携による「協働」
図表3-2-3-8 情報通信産業と公的サービス提供機関等の連携による「協働」


9 IT戦略本部「デジタル新時代に向けた新たな戦略〜三か年緊急プラン」(平成21年4月)において、広い分野でのワンストップの行政サービスを提供するために、国民電子私書箱(仮称)構想を政府全体として推進していくことが位置付けられている

 第2節 Collaboration:国民的課題を克服するための「協働」

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