3 情報活用能力の向上で不安が低下 (1)国民の情報活用能力の高低別特徴 ●家庭生活者層と高齢者層は情報活用能力の低い人が半数近くを占める  情報通信利用に対する不安は例えば利用経験や人材研修の有無等によって異なることが予想される。したがって、まず、情報活用能力に着目し、その高低と不安感の関係について分析した。  情報活用能力は、情報通信機器やサービスの利用経験を積むことで高まっていく場合もあると考えられるが、情報通信の利用方法・目的は利用者によってそれぞれ異なるため、全ての利用者について利用経験の多寡が情報活用能力の高低を表すことにはならないと考えられる。  そこで、本分析では、情報活用能力をより直接的に測る指標として、利用者のパソコンやインターネットの取り扱い能力を用いることとした。具体的には、意識調査の回答者について、[1]「パソコンやインターネットを利用する中で生じるトラブルを自分で解決でき、また困っている人へアドバイスもすることができる人」を情報活用能力の高い人、[2]「説明書やアドバイスがあれば、トラブルの解決や機器の設定等を自分でできる人」を情報活用能力が中程度の人、[3]「機器の設定はできないが、メールの送受信やホームページの閲覧等の定型的な操作はできる人」を情報活用能力の低い人とした。  情報活用能力の違う各グループにはどのような属性を持った利用者が多いのかを明らかにするため、意識調査の回答者全体を未成年者層、若年者層、勤労者層、家庭生活者層及び高齢者層に分類し6、利用者層別に情報活用能力の高低を分析した。図表3-3-3-1はその結果を示すが、勤労者層では情報活用能力の高い人が36.7%となっており、他の層に比べて情報活用能力の高い人が多い。一方、情報活用能力の低い人の割合は、家庭生活者層で47.3%、高齢者層で44.9%となっており、この2つの層については、情報活用能力の低い人が他の層に比べて多い結果となった。 図表3-3-3-1 利用者層別にみた情報活用能力レベル (出典)総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(平成21年) 6 未成年者層は10代の主婦・主夫以外の人、若年者層は20代の学生、パート・アルバイト、無職及びその他、勤労者層は20代から50代までの経営者・会社役員、会社員、自営業、専門職及び公務員、家庭生活者層は50代までの専業主婦・主夫と30代から50代までのパート・アルバイト、無職及びその他、高齢者層は60代以上の人として分類した