第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生

1 公的サービス分野でのICT利活用の徹底による国民のメリット


(1)公的サービス分野における我が国のICT利活用状況


●ICT利活用の遅れが顕著。利用者の利便性に配意したICTシステム・サービスの提供をめざすことが重要課題

 平成21年版情報通信白書の第2章第2節(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h21/html/l2222000.html)では、我が国を含むICT先進7か国の国際比較により、10分野のICTシステム・サービスの利活用状況について把握したところ、我が国は「電子商取引」や「交通・物流」「文化・芸術」などの民間サービス分野での利用は高いものの、「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」といった公的サービス分野での国民のICT利活用が特に遅れていることが明らかとなった(図表1-1-1-1)。また、高齢者に必要な「医療・福祉」分野についてみると、我が国では年代が上がるにつれて利用率が下がり、山型になる傾向があるのに対し、ICT利活用先進国であるデンマークでは、年代が上がるにつれて利用率が高くなる右上がりの傾向がみられた。我が国における情報通信サービスが、真に必要な国民に利用されていないという問題点が顕著な結果となっている。

図表1-1-1-1 「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」における年代別の情報通信利用率 (日本・デンマーク)
図表1-1-1-1 「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」における年代別の情報通信利用率 (日本・デンマーク)
デンマークでは高齢者の利用率が高いが、日本は高齢者の利用率が低い
(出典)総務省「平成21年版情報通信白書」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h21.html

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 これらの分野におけるICTの利活用が進まない主な理由は、「ICTシステム・サービスが身近に提供されていない」「使い勝手が悪い」「ニーズに合っていない」などが高い割合を占めており、国民本位のICTシステム・サービスが提供されていないという課題が浮き彫りになった(図表1-1-1-2)。特に、「医療」「教育」「行政サービス」は国民の地域社会生活にもっとも密接に関連しており、提供する側の関係者が業界横断的に協働して利用者のニーズをくみ取り、利用者の利便性に配意したICTシステム・サービスの提供をめざすことが重要課題となっている。

図表1-1-1-2 我が国の「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」における情報通信利活用の課題
図表1-1-1-2 我が国の「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」における情報通信利活用の課題
「医療・福祉」「教育・人材」ではICTシステム/ICTサービスの未整備が、「行政サービス」では操作性や使い勝手の面で、それぞれ課題となっている
(出典)総務省「平成21年版情報通信白書」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h21.html
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