第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生

1 地域のつながりの変化と現状


(1)つながりの変化


●核家族化や個々人のライフステージの変化や多様化が、触れ合いの機会や関係を希薄化

 「家族や地域の絆が希薄化した」あるいは「職場の人間関係が希薄になった」とよくいわれるが、「家族」「地域」「職場」のつながりに対する人々の意識はどのように変化しているのであろうか。少し古いデータであるが、平成16年の内閣府「安全・安心に関する特別世論調査」によると、「人間関係」が「難しくなった」との回答が6割強存在し(図表1-2-1-1)、人間関係が難しくなった要因として、「人々のモラルの低下(55.6%)」、「地域のつながりの希薄化(54.3%)」「人間関係を作る力の低下(44.5%)」、「核家族化(41.8%)」などが上位に挙がっている。そのほかにも「親子関係の希薄化(32.3%)」や「職場関係の悪化(11.6%)」「兄弟姉妹の不在(11.3%)」など、つながりの変化を挙げる割合が高かった(図表1-2-1-2)。

図表1-2-1-1 人間関係について感じること
図表1-2-1-1 人間関係について感じること
「人間関係」が「難しくなった」と感じる者が6割強
内閣府「安全・安心に関する特別世論調査」(平成16年)により作成


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図表1-2-1-2 人間関係が難しくなった要因
図表1-2-1-2 人間関係が難しくなった要因
人間関係が難しくなった要因として「つながりの変化」を挙げる割合が高い
内閣府「安全・安心に関する特別世論調査」(平成16年)により作成


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 このように、本調査は核家族化や個々人のライフステージの変化や多様化が、個々人間の触れ合いの機会や関係を希薄にしていることを明らかにした結果となっている。家族内や地域内で若い世代が上の世代から生活の知恵や人生経験を受け継いだり、隣近所で醤油や味噌の貸し借りをしたり、子どもの面倒を近隣住民でみるといった、かつての日本で見られた風景は失われつつあるといえよう。
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