第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生

(1)ソーシャルメディアごとの利用実態


ア これまでに利用したことのあるソーシャルメディア

●ブログ、動画共有、掲示板、SNSの利用率が高く、若年層の利用率は他の世代より高い傾向

 ソーシャルメディアとして、「ブログ」「動画共有サイト」「掲示板」「SNS」「情報共有サイト」「マイクロブログ」「ソーシャルゲーム」「コミュニティ放送」「メタバース」「拡張現実」の10種類を例示し、これまでに利用したことがあるものを複数回答を得たところ、ブログの利用率は77.3%、動画共有サイトと掲示板は62.8%、SNSは53.6%の順に5割を超える高い結果となった(図表1-2-2-1)。また、情報共有サイトが37.1%、マイクロブログが30.9%、ソーシャルゲームが24.0%となっており、コミュニティ放送、メタバース、拡張現実の利用率は10%未満であった。

図表1-2-2-1 これまでに利用したことのあるソーシャルメディア
図表1-2-2-1 これまでに利用したことのあるソーシャルメディア
ブログの利用率は77.3%と高く、動画共有、掲示板、SNSの利用率も5割以上。マイクロブログも約3割
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

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 性別でみると、ブログは女性の利用率が男性の利用率よりも高いが、それ以外のソーシャルメディアは男性の利用率が女性の利用率よりも高い傾向がある(図表1-2-2-2)。「若年層」「中年層」「高齢層」9の世代別では、若年層の利用率はいずれのソーシャルメディアでも高いが、特に動画共有サイト、SNS、ソーシャルゲームの利用率が他の世代に比べて高い傾向があり、若年層に人気の高いことがわかる(図表1-2-2-2)。

図表1-2-2-2 これまでに利用したことのあるソーシャルメディア(性別・世代別)
図表1-2-2-2 これまでに利用したことのあるソーシャルメディア(性別・世代別)
ブログ以外のソーシャルメディアは男性の利用率が高く、世代別でいずれも若年層の利用率が高い傾向
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

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 以下では、利用率が3割を超えている「ブログ」「動画共有サイト」「掲示板」「SNS」「情報共有サイト」「マイクロブログ」の6つのソーシャルメディアを中心に、利用者の利用状況やもたらされた効用などについて分析した結果を紹介する。

イ 利用頻度

●SNS、ブログ、マイクロブログは「ほとんど毎日利用」と回答した割合は3割

 利用頻度について、「ほとんど毎日利用」と回答した割合が最も高かったのがSNSで34.5%、以下、ブログが28.5%、マイクロブログが27.7%、掲示板が22.6%、情報共有サイトが20.4%、動画共有サイト18.3%の順となっている。週に1回以上は利用している(「ほとんど毎日利用」「週に3〜4回くらい利用」「週に1〜2回くらい利用」と回答した利用者の合計)と回答した割合をみると、どのソーシャルメディアも6割以上、あるいは6割近い割合となっており、利用者にとってソーシャルメディアは日常生活において身近な存在となっているといえよう。

図表1-2-2-3 ソーシャルメディアの利用頻度
図表1-2-2-3 ソーシャルメディアの利用頻度
ほとんど毎日利用するソーシャルメディアで多いのはSNS、ブログ、マイクロブログ
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

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●利用頻度が上がるにつれてオフ会などの経験も高くなる傾向

 ソーシャルメディアを通じて知り合った人とオフ会などを開催したり、オフラインで実際に会った経験があるかについて調査したところ、SNSは45.9%、ブログは36.2%、マイクロブログは29.7%の利用者がオフ会などの経験があると回答した(図表1-2-2-4 左図)。この結果を上記ソーシャルメディアの利用頻度(図表1-2-2-3)との関係でみると、SNSを「ほとんど毎日利用」している人の62.2%、ブログを「ほとんど毎日利用」している人の48.0%がオフ会などを経験したことがあり、利用頻度が上がるにつれてオフ会などの経験も高くなる傾向がみられる(図表1-2-2-4 右図)。ソーシャルメディアのオンラインコミュニケーションが活発になるほど、オフラインでのコミュニケーションも積極的に行われるといえよう。

図表1-2-2-4 ソーシャルメディアの利用頻度とオフ会参加経験の関係
図表1-2-2-4 ソーシャルメディアの利用頻度とオフ会参加経験の関係
ソーシャルメディアの利用頻度が上がるにつれてオフ会などの経験も高くなる傾向
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

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ウ ソーシャルメディアの利用テーマ

●趣味分野のテーマが最も多いが、利用者の世代・世帯構成・性別により、利用テーマにも特徴

 ソーシャルメディアの利用分野として、「趣味」「ライフイベント」「学校」「ビジネス」「社会活動」「政治・宗教等」の6つの分野から33のテーマ10を例示し、よく利用するテーマをソーシャルメディアごとに上位5つまで回答を得て、その回答の多かったテーマについて、「若年層」「中年層」「高齢層」の3つの世代グループに、世帯構成と性別を加味した「若年層一人暮らし」「若年層共同生活者あり(男性)」「若年者共同生活者あり(女性)」「中年層一人暮らし」「中年層共同生活者あり(男性)」「中年層共同生活者あり(女性)」「高齢層」の7つのグループ11で分析した結果を示したのが図表1-2-2-5である。

図表1-2-2-5 ソーシャルメディアの利用テーマ(7つのグループ別)
図表1-2-2-5 ソーシャルメディアの利用テーマ(7つのグループ別)
趣味分野のテーマがどのグループでも最も多いが、グループにより利用するテーマにも特徴
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

 これによると、趣味分野のテーマがいずれのグループにおいても多いが、特に「若年層共同生活者あり(男性)」と「中年層共同生活者あり(男性)」のグループではほぼ趣味分野が占めている。
 「若年層一人暮らし」のグループは、「料理」「会社・アルバイト」といったテーマが挙がっており、「若年層共同生活者あり(女性)」は「料理」のテーマの利用も多い。「中年層共同生活者あり(女性)」のグループは「料理」「育児/教育」「医療/健康」での利用が多い。
 「中年1人暮らし」のグループは、「地域情報」が上位に挙がっているのが特徴的であり、そのほか「医療/健康」「会社/アルバイト」「同業者交流/異業種交流」などのテーマを利用している。
 「高齢層」のグループでは、「医療/健康」「料理」「地域情報」の利用が高いほか、「ボランティア」「地域活動」といった他の世代では見られなかった社会活動へのテーマの利用が挙がっているのが特徴的である。

エ ソーシャルメディアで得られた効用

●ブログ、SNSは情報の受発信やオンライン・オフラインのコミュニケーションと総合的に高い効用

 図表1-2-2-6は、ソーシャルメディアごとに「実現したこと」について、[1]情報の受発信、[2]オンラインコミュニケーション、[3]オフラインコミュニケーション(対面でのつながり)の補完、[4]絆の構築に関する9つの効用を例示して12、「非常にあてはまる」「あてはまる」と回答した割合の合計を図示したものである。ブログは「知りたいことについて、情報を探すことができた(76.1%)」「自分の情報や作品を発表することができた(46.9%)」などの情報の受発信を効用とする回答が特に高いが、「同じ趣味、嗜好を持つ人を探すことができた(60.2%)」などのオンラインコミュニケーション効用を挙げる回答も高い。また「知り合った人と実際に会うことができた(25.7%)」「疎遠になっていた知人と連絡が取れた(25.7%)」や、ビジネスパートナーや趣味友達などの「新たな絆が生まれた(23.9%)」とする回答も多く、情報の受発信とともにオンラインコミュニケーションだけでなく、オフラインのコミュニケーションの効用が高いメディアであるといえよう。

図表1-2-2-6 ソーシャルメディアで実現したこと
図表1-2-2-6 ソーシャルメディアで実現したこと
ブログ、SNSは情報の受発信、オンライン・オフラインのコミュニケーションと総合的に効用が高い
(出典)総務省「ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究」(平成22年)

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 SNSは、「知りたいことについて、情報を探すことができた(63.1%)」などの情報の受発信の効用の他、「同じ趣味、嗜好を持つ人を探すことができた(55.9%)」「不特定多数とコミュニケーションをとることができた(45.6%)」「疎遠になっていた知人と連絡が取れた(29.8%)」などの回答も高い。また「新たな絆が生まれた」とする回答も20.0%となっており、オンラインコミュニケーションやオフラインコミュニケーションによる効用も高く、ブログ同様に各効用がバランスよくもたらされている。
 動画共有サイトと情報共有サイトは、「知りたいことについて、情報を探すことができた」の割合がそれぞれ72.6%、82.1%と他の効用に比べて突出して高く、コミュニケーション効用の項目については2割未満のものが多い。
 掲示板も「知りたいことについて、情報を探すことができた」が75.3%と突出して高いが、「同じ趣味、嗜好を持つ人を探すことができた(35.5%)」「自分の周囲にいない人を探すことができた(30.5%)」「不特定多数とコミュニケーションをとることができた(35.0%)」などのオンラインコミュニケーション効用も比較的高い。
 マイクロブログは、「知りたいことについて情報を探すことができた(50.7%)」「自分の情報や作品を発表することができた(33.3%)」という情報の受発信効用と「同じ趣味、嗜好を持つ人を探すことができた(39.8%)」「自分の周囲にいない人を探すことができた(34.1%)」「不特定多数とコミュニケーションをとることができた(36.6%)」の割合が高く、情報の受発信とオンラインコミュニケーションの効用が高い。


9 「若年層」は10代〜30代、「中年層」は40代・50代、「高齢層」は60歳以上の人として分類した
10 詳細については付注6参照
11 グループの詳細については付注6参照
12 具体的には、1.「知りたいことについて、情報を探すことができた」「自分の情報や作品を発表することができた」、2.「同じ趣味、嗜好を持つ人を探すことができた」「自分の周囲にいない人を探すことができた」「不特定多数とコミュニケーションをとることができた」、3.「知り合った人と実際に会うことができた」「疎遠になっていた知人と連絡が取れた」「家族・親戚とのコミュニケーションの機会が増えた」、4.「ビジネスパートナーや趣味友達などの新たな絆が生まれた」の9つである
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