第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生

(1)地域SNSの状況


ア 地域SNSの運営母体の属性と対象範囲

●運営母体も多種多様。対象とする地域の範囲は「市区町村」が最も多く、次いで「都道府県」

 回答のあった地域SNSの運営母体の属性についてみると、「民間企業(22.2%)」が最も多く、次いで複数主体の組み合わせによる「共同運営(20.0%)」「任意団体(17.8%)」「地方自治体(15.6%)」「NPO法人(11.1%)」という結果となっており(図表1-2-3-2 左図)、多種多様な主体によって運営されている。
 また、地域SNSが対象とする範囲について調査したところ、「市区町村」が最も多く53.3%、次いで「都道府県」が26.7%、「複数の市区町村」が15.6%、「町内会・校区」は2.2%であった(図表1-2-3-2 右図)。

図表1-2-3-2 地域SNSの運営母体と対象範囲
図表1-2-3-2 地域SNSの運営母体と対象範囲
民間企業、任意団体、自治体、NPO法人など多種多様な団体が運営。市区町村を対象範囲とする地域SNSが多い
(出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年)

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イ 地域SNSの平均像

●利用者平均は約1,400人、平均フレンド数8人、平均コミュニティ数215、平均月間ページビュー約36.5万が地域SNSの平均像

 回答のあった地域SNSの利用者の平均は1,455人となっており、最も多かった地域SNSで10,655人、中央値は794人であった。フレンド数19の平均は8人、コミュニティ数20の平均は215であった。月間ページビュー21の平均は約36万5,000で、最も多い地域SNSでは260万近くにのぼっている(図表1-2-3-3)。

図表1-2-3-3 地域SNSの平均像
図表1-2-3-3 地域SNSの平均像
利用者平均は約1400人、平均フレンド数8人、平均コミュニティ数215、平均月間ページビュー約36.5万
(出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年)

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ウ 地域SNSの運営の目的

●市民活動の活性化・市民交流の促進や地域内外への情報流通の重要度が特に高い

 現在運営している地域SNSの目的として、13の項目を例示し、重要度について「高い」「やや高い」「どちらでもない」「やや低い」「低い」の5件法で回答を得たところ、「高い」と回答した割合が30%以上となったのは「市民の交流の促進(75.6%)」「サークル・市民活動の活性化(75.6%)」「地域内での情報の流通・蓄積・発信(69.2%)」「新たな地域メディアやアーカイブづくり(38.6%)」「地域外への地域情報発信(38.5%)」「住民と行政の協働促進(31.8%)」であった(図表1-2-3-4)。市民活動の活性化・市民交流の促進や、地域内外への情報流通の重要度が特に高い結果となっている。

図表1-2-3-4 地域SNSの運営の目的
図表1-2-3-4 地域SNSの運営の目的
市民活動の活性化・市民交流の促進や地域内での情報流通・蓄積・発信の重要度が6割強と高い
(出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年)

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●「都市」型地域SNSは防犯や安心安全等を重視、「地方」型地域SNSは地域外への情報発信等を重視

 また、地域SNSが対象とする地域を「都市」と「地方」に分類し22、「都市」「地方」別に地域SNSの運営目的をみたのが図表1-2-3-5である。この結果をみると、「都市」では「防犯・安全安心など住民自治の促進」や「市民の交流の促進」「サークル・市民活動の活性化」が運営目的として重視される傾向にあるが、「地方」では「地域外への地域情報の発信」や「新たな地域メディアやアーカイブづくり」が重視される傾向がある。

図表1-2-3-5 地域SNSの運営の目的(「都市」「地方」別)
図表1-2-3-5 地域SNSの運営の目的(「都市」「地方」別)
「都市」では防犯や安全安心、市民交流・市民活動の活性化を重視、「地方」では地域外への情報発信を重視
(出典)総務省・国際大学GLOCOM「地域SNSに関する調査研究」(平成22年)

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 図表1-2-1-7でも示したように、「都市」は高齢化の進展とともに一人暮らしの高齢者の増加傾向が顕著であり(後述第3節3(1)図表1-3-3-2参照)、地域での見守りや安心・安全などが課題である。他方、地方は地域性豊かな情報発信と地域外交流が重要課題であり、地域SNSは対象とする地域の性質に応じて異なる課題に対応していることがわかる。


19 SNSのサービス内でつながっている「友人」の数。相互に承認するとフレンドとなり、相手の日記が自分のページに表示されたり、直接メッセージを送ったりすることができるようになる
20 SNS利用者がサービス内で開設できるグループの数。コミュニティでは、参加するメンバーで掲示板を利用したり、イベントをカレンダーに登録して共有したりすることができる
21 SNSサービスのウェブページが1ヶ月間にブラウザに表示された合計回数(アクセス数)
22 対象エリアが三大都市圏にある地域SNSを「都市」、三大都市圏以外に対象エリアがある地域SNSを「地方」という基準で分類している。ただし、地方であっても県庁所在地に位置しているなど、都市に近い地域SNSは、「都市」に分類している
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