第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第2章 グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化

(2)ICT自体のグリーン化(Green of ICT)


●ICTを活用したグリーン化に際してのICT自体の電力消費量及びCO2排出量増加を抑制

 前項でみたICTを活用したグリーン化(Green by ICT)が進展すると、活用先の分野・領域でのCO2排出を大幅に削減できる一方、環境計測・環境予測のために従来以上にデータ及びトラヒックが増大し、それに連れてICT自体3の消費電力量及びCO2も従来に比べると加速的に増加することが見込まれる。また、今後クラウドコンピューティングの進展により、従来個々の企業等に設置されていた情報機器、通信機器がデータセンターに一層集約されることになる。この際にデータセンターの設備(照明、空調等)の電力消費及びCO2排出量が飛躍的に増加することが見込まれる4。このような事態を避けるためには、技術革新の成果を活かし、情報通信産業が生産するICTそのものの省電力・グリーン化(Green of ICT)によりCO2排出量増加を抑制することが必要である。
 技術革新による情報通信産業の省電力・グリーン化の例としては、メモリ、CPU、HDD(ストレージ)、電源ユニット等の技術進化による単位あたり消費電力の抑制及び集約化や、ブレードサーバ及び仮想化技術の採用によるサーバの飛躍的な集約化等があげられる(図表2-1-1-2)。

図表2-1-1-2 技術革新によるICTの省電力・グリーン化(Green of ICT)の例
図表2-1-1-2 技術革新によるICTの省電力・グリーン化(Green of ICT)の例
ICTを構成する個々の部品について、単位あたり消費電力の抑制と集約化等により大幅な省電力・グリーン化が実現
(出典)社団法人 電子情報技術産業協会「サーバグリーンITハンドブック2009」
http://home.jeita.or.jp/is/committee/server/sgit/

 また、総務省において開催した「情報通信分野におけるエコロジー対応に関する研究会」の提言(平成21年6月公表)を踏まえ、電気通信事業者団体等の自主的取組として、ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会が、電気通信事業者が省電力の観点から装置やデータセンターサービスの調達基準を策定できるよう評価基準を示すとともに、各事業者が適切にCO2排出削減に取り組んでいる旨を表示できるよう基準を示す、「ICT分野におけるエコロジーガイドライン」5を平成22年2月に策定・公表している。
 本ガイドラインに従い、ICT機器ベンダーやデータセンター事業者は、省エネ性能の評価結果を協議会ホームページ等に公表することで、電気通信事業者による調達基準の策定、実際の調達の参考に資するとともに、電気通信事業者は、CO2排出削減の取組をチェックリストに従って自主評価した結果を公表することで「エコICTマーク」を表示できることにより、CO2排出削減に取り組んでいる旨を示すことができる。


3 Green of ICTの対象となる機器等固定電話、FAX、携帯電話、ルータ、LANスイッチ、サーバ、メインフレーム、PC、ストレージ、プリンタ、データセンター空調などがあげられる
4 Uptime Institute Symposium向けMcKinseyレポート「データセンターの効率革命」によると、全世界のデータセンターのCO2年間排出量(170メートルトン)はマレーシア1国分(178メートルトン)に匹敵するとのことである
5 http://www.tca.or.jp/information/pdf/ecoguideline/ictecoguideline.pdfからダウンロード可能
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