第1部 特集 ICTの利活用による持続的な成長の実現
第2章 グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化

(2)林業のみえる化による生産性向上と伐採数低減の実現(I社、東京大学)


●情報システムを高度に利用したみえる化により、林業の生産性向上と環境保全・CO2排出削減を実現

 I社では、電子タグを活用した木材流通トレーサビリティシステムを開発し、林業における複雑な流通経路の情報共有を図ることにより、木材の需給の時間差の縮減による在庫の圧縮をはじめとする業務効率化、流通コスト削減等の林業における生産性向上を実現した。また、樹木管理システムとの連携により、立木の利用効率を高めて、森林伐採数をこれまでの約3/4に抑え、環境保全及びCO2排出削減に結びつけている。
 今後は、トレーサビリティシステムのデータを活用した木材動産担保金融システムの構築による変動の大きい木材関係企業の資金需要に応じた金融システムの実現、地域ごとの情報ニーズの違いを吸収できるようなシステムの汎用化による他地域への展開を計画している(図表2-2-2-3)。

図表2-2-2-3 林業のみえる化に用いている情報システム
図表2-2-2-3 林業のみえる化に用いている情報システム
複数の情報システムを連携させることにより林業をみえる化し、生産性向上と環境保全・CO2排出削減を実現
総務省「我が国のICT利活用の先進事例に関する調査研究」(平成22年)により作成

 本取組の特色としては、I社が自治体から創業資金の支援を受けたり、各システムの研究機関を連携しつつ進めたり、その際に文部科学省等からも支援を受けたりといったように、I社を中心とした連携、支援体制が充実している点があげられる。
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