第2部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(2)ICT化の今後の展開


ア 全国瞬時警報システム(J-ALERT)等の整備
 総務省では、津波警報、緊急地震速報、弾道ミサイル発射情報等といった、対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を、人工衛星を用いて送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、住民に緊急情報を瞬時に伝達する「全国瞬時警報システム(J-ALERT)」の整備に向け取り組んでおり、平成22年4月1日現在、46都道府県の288市区町村において、情報の受信、同報系防災行政無線等の自動起動が行われている。平成22年度中には、状況に応じた内容の音声放送やソフトウェアの更新、システムの稼働状況等の適切な管理等を可能とするなどのシステムの高度化を行うほか、高度化したJ-ALERTを全国に一斉に整備することとしている。
 また、国民保護法では、総務大臣及び地方公共団体の長は、武力攻撃事態等において、避難住民及び武力攻撃災害により死亡又は負傷した住民の安否に関する情報を収集・整理し、照会があった時は速やかに回答することとされている。総務省では、安否情報の収集及び提供を円滑に行うためのシステム(安否情報システム)を開発し、平成20年4月から運用している。さらに、安否情報システムにおいて登録された安否情報を検索する際に、曖昧検索可能な対象を拡大し、氏名等の入力項目についても部分一致及び表記ゆれがあっても検索できるようシステム改修を行ったところである。

イ 119番緊急通報における位置情報通知関連システムの統合
 119番緊急通報については、従来、[1]「新発信地表示システム」(NTT東西の固定電話の位置情報を消防本部に通知するシステム)、[2]「位置情報通知システム(携帯・IP)」(携帯・IP電話の位置情報を消防本部に通知するシステム)、[3]「旧位置情報通知システム(IP電話事業者)」(IP電話の位置情報を消防本部に通知するためにIP電話事業者により設置されたシステム)の3つのシステムが個々に運用されていたところである。
 位置情報通知システムに係る全国の消防機関の財政負担の軽減を図るため、消防庁では、この位置情報通知システムと従来の固定電話からの発信地表示システムとの統合について検討を進めてきたが、「新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方に関する検討会」の報告書(平成21年3月)に基づいたシステムについて、平成21年度補正予算により75消防本部を対象に実証実験を実施している。これによって、NTT東西の固定電話、携帯電話、IP電話からのすべての119番緊急通報に係る位置情報を1つの統合されたシステムで取得することが可能となる(図表5-3-4-1)。

図表5-3-4-1 新発信地表示システムと位置情報通知関連システムの統合
図表5-3-4-1 新発信地表示システムと位置情報通知関連システムの統合
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