第2部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(1)デジタル・ディバイド解消に向けた取組


ア デジタル・ディバイド解消戦略会議と「デジタル・ディバイド解消戦略」
 総務省では、平成22年度をターゲットとしたブロードバンド・ゼロ地域の解消や、携帯電話不感地帯の解消を実現し、デジタル・ディバイドを解消するための具体的施策について検討を行うため、平成19年10月から「デジタル・ディバイド解消戦略会議」を開催し、同20年6月に最終報告書を取りまとめ、公表した1。また、この報告書を踏まえ、デジタル・ディバイド解消に関するマスタープランとして、「デジタル・ディバイド解消戦略」を取りまとめた2
 平成21年3月末現在で、ブロードバンドサービスエリアの世帯のカバー率(推計)は、98.8%、超高速ブロードバンドの世帯カバー率(推計)は、90.1%である(図表5-5-1-1)。

図表5-5-1-1 ブロードバンドの整備状況(平成21年3月末)
図表5-5-1-1 ブロードバンドの整備状況(平成21年3月末)

イ ブロードバンド・ゼロ地域の解消
 残ったブロードバンド・ゼロ地域(平成21年3月末で残り1.2%:約64万世帯)の解消については、民間事業者のみでは整備が進まない地域が多く存在するため、平成21年度第1次補正予算において、市町村から要望のあった約340事業(総事業費約2,300億円)について、公的整備の手法によるFTTH等の整備を実施することとし、新たに約34万世帯がブロードバンドを利用可能となる見込みとなっている。残る約30万世帯については、民間事業者の営業エリア拡大によりほぼ整備される見込みであるが、一部の地域については、整備効率が悪く、現状において市町村からの整備支援要望もないところから、当面、衛星ブロードバンドによる対応等が想定される。こうした取組により、ブロードバンド・ゼロ地域については、平成22年度末を待たずに解消される見込みとなっている。
 このようにブロードバンド基盤の整備は全国的に進んでいる一方、その十分な利活用が進んでいない(光ブロードバンドの利用率は約1/3)といった課題が残されている。

ウ 携帯電話エリア整備推進検討会
 総務省では、「デジタル・ディバイド解消戦略」(平成20年6月)を踏まえた、携帯電話のさらなるエリア整備に向けた目標の見直し・具体的方策を検討することを目的に、平成21年3月から、「携帯電話エリア整備推進検討会」を開催し3、同22年3月に最終報告書を取りまとめ、公表した。
 [1]携帯電話エリアの整備の現状・進捗、[2]地方公共団体や携帯電話事業者における取組、[3]携帯電話エリア整備における衛星の活用の在り方を主なテーマとして検討し、最終報告書においては、平成21年度終了時点で想定されるエリア外人口約10.2万人のうち、特に整備要望のある約7.4万人について、衛星等を活用した携帯電話基地局までのエントランス回線の導入等により整備効率を向上させつつ、整備可能なエリアから順次解消を図ること等とされた。


1 参考:「デジタル・ディバイド解消戦略会議」報告書の公表: http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/080624_4.html
2 参考:「デジタル・ディバイド解消戦略」の公表:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/080624_3.html
3 参考:「携帯電話エリア整備推進検討会」:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/mobi-area/index.html
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