(3)観光・地域振興×ICT ア 商店街情報発信プロジェクト「大名なう」(福岡県福岡市) ●ICTで商店街のリアルタイム情報を配信、来訪者増及びまちあるき観光を促進  「大名なう」はマイクロブログ「Twitter」、デジタルサイネージ、FMラジオといったICTを活用して、福岡市の中心市街地にある大名地区商店街のリアルタイム情報を配信し、来訪者の増加やまちあるき観光などの回遊行動を促そうとするプロジェクトである(図表1-1-2-5)。第1回目は平成22年2月12日〜14日の3日間実施され、参加した51店舗のアンケート結果では「売り上げ増」「新規顧客増」「販売促進」の効果があり、回答者の9割が「今後もやりたい」と好評を博した。そのため、第2回(3月19日〜22日の4日間)も実施され、同プロジェクトは参加店舗を増やしつつ活動を展開している。携帯電話での入力、限定メニューや旬の商品説明といった日常の商売の延長線上のコンテンツ登録など、参加する商店主に負担なく情報配信を行えるような環境を整えている点がポイントである。 図表1-1-2-5 マイクロブログによる商店街情報発信プロジェクト「大名なう」 (出典)総務省「我が国のICT利活用の先進事例に関する調査研究」(平成22年)  「大名なう」は産学官の参画の下、地元のICT人材育成を目的に活動するNPO法人内に有志によって設置された「天神・大名WiFi化協議会」が運営主体となっている。協議会事務局は、商店主に参加を促す、内外へ情報を発信するなどのコーディネータの役割を担っている。また、中心人物X氏は地域外居住者であり、外部の視点から客観的に地域を評価、活性化に取り組み、地元企業のY氏を中心としたメンバーが商店主との関係構築を行っており、役割分担を上手に行っている点も活動が活性化するポイントとなっている。 イ まちおこしプロジェクト「ヨコッター」(秋田県横手市) ●地元を元気にしたい若者のアイデアを発端に、ICTで地域情報を内外に発信。地域活動に展開  自分の出身地・地元である秋田県横手市を元気にしたいとの想いを持つ30代の若者2名のアイデアが発端となって生まれたのが、マイクロブログ「Twitter」によるまちおこしプロジェクト「ヨコッター」である(図表1-1-2-6)。活動主体は「Yokotter Project 実行委員会」であり、幹部約15名、書き込みに協力するWeb上のスタッフ約40名がおり、その他、横手市役所、観光協会及び市内外企業が協力している。同市に興味を持つ人、ゆかりのある人、同市で起業をしたい人向けに参加者が様々な情報を発信しており、来訪者やネットからの参加も増えているという。 図表1-1-2-6 マイクロブログを利用したまちおこしプロジェクト「ヨコッター」(秋田県横手市) (出典)総務省「我が国のICT利活用の先進事例に関する調査研究」(平成22年)  代表のX氏は仙台市在住の同市出身者で、仙台市と横手市を往復しつつ活動しており、X氏は「Twitter」を利用する利点について、簡単・気軽に発信できる、携帯電話のカメラを利用することでテキスト・静止画・動画を一体的に発信できる、専用システムが不要で低コストで活動が維持できることが大きいとしている。  「ヨコッター」では、地域内外への情報発信のほか、市役所への再開発広場の活用策の提言、観光協会と連携したフォトコンテストの開催などを行っており、ネット上のアイデアを地域のまちづくり関連の団体等に提供することによって地域活動に展開している点が特徴である。