(4)すべての国民がICTの恩恵を享受する社会を実現するための課題 ●さらなるネット環境の価格の低廉化と抵抗感のない利用環境実現が、国民のさらなるICT利用へとつながっていく  前記アのアンケート結果より、固定インターネット未利用者([3]インターネット自宅外利用者及び[4]インターネット未利用者層)が固定インターネットを利用しない理由について示したのが図表1-1-3-8上図である。まず、[3]インターネット自宅外利用者層についてみると、一番多く回答されているのは、「パソコンを所有していない、価格が高い」(60.3%)であり、続いて「通信料金が高い」(42.1%)、「自宅外や携帯電話の利用で十分」(39.7%)、「初期費用が高い」(27.1%)といった理由が比較的多くなっている。これらの理由について年収別の回答をみると(図表1-1-3-8 左図)、「パソコンを所有していない、価格が高い」「通信料金が高い」「初期費用が高い」については年収が低いほど回答数が多くなる傾向が認められた。  次に[4]インターネット未利用者層についてみると、最も高いのは[3]インターネット自宅外利用者と同様「パソコンを所有していない、価格が高い」(53.9%)であるが、それに続くのは「きっと使いこなせない、使いきれないから」(51.5%)、「パソコンの使い方がわからない」(44.8%)といったリテラシー面の理由であり、さらに「興味はあるが、利用する必要性がない」(38.0%)、「情報を調べてもらう等、お願いできる人がいる」(36.5%)というような「あえて利用しない」といった理由が続いている。これらの理由について年齢別の回答をみると(図表1-1-3-8 右図)、いずれも年齢が高くなるほど回答数が多くなる傾向がみられている。 図表1-1-3-8 固定インターネット未利用者が固定インターネットを利用しない理由 (出典)総務省「情報格差是正に関する調査研究」(平成22年)  このような課題に対してのブロードバンドサービスの利用を促進する対策や支援策について、アのアンケート結果から同様に示したのが図表1-1-3-9である。基本的には先ほどの利用しない理由に対応している傾向があり、例えば、[3]インターネット自宅外利用者層については、「パソコン平均価格の低廉化」(57.5%)、「初期費用の無料化」(54.7%)、「携帯電話とセットでお得な料金メニュー」(40.6%)と金額面での導入障壁を下げる意見が多くなっている。 図表1-1-3-9 ブロードバンドサービス利用を促進させる対策や支援策 (出典)総務省「情報格差是正に関する調査研究」(平成22年)  同様に[4]インターネット未利用者層についてみると、[3]インターネット自宅外利用者層と同様に「万全なセキュリティ対策」(42.4%)、「パソコン平均価格の低廉化」(34.6%)などが高くなっているほか、「テレビなどの簡単な機器での利用」(29.3%)、「パソコンやインターネットに関する無料説明会」(19.4%)については、[3]よりも高くなっており、図表1-1-3-8でみたとおりリテラシー面での課題に対応して安心かつ容易に利用できる環境を望む意見も多いことがうかがえる。ICTは国民のコミュニケーションを保障し、社会生活におけるさまざまな効用を高めるものであり、インターネット未利用者の障壁を下げるような施策について検討が必要であろう。