(2)地域のつながりの現状 ●近隣住民同士の交流は不活発、地域における町内会・自治会等の中間組織があまり機能していない  地域のつながりは様々なきっかけで生じる。例えば隣近所の付き合いから生まれるつながりに始まり、町内会や自治会などの地縁組織に参加することにより生まれるつながりや、ボランティア団体やNPO(特定非営利活動法人)など地域の課題を解決するために設立された組織に参加することにより生まれるつながりなどが挙げられる。  平成19年版国民生活白書によると、隣近所のつきあいから生まれるつながりの状況について、「生活面で協力し合う人」が「0人」と回答する割合が65.7%、「1〜4人」と回答する割合が28.0%となっており、近所に生活面で協力し合う人がいない人が多いという結果となっている(図表1-2-1-3)。 図表1-2-1-3 近所付き合いの人数 内閣府「平成19年版国民生活白書」により作成 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/index.html  また、町内会・自治会活動への参加頻度をみると、1968年の町内会・自治体の参加頻度は「だいたい参加する」が町村部では70.2%、市部では49.1%であったが、2007年には「参加していない」が51.5%、「年に数回程度」が35.8%となっており、参加頻度は1968年から2007年までの間に大幅に低下している(図表1-2-1-4)。  これらのデータをみると、近隣住民同士の交流は不活発で、地域における町内会・自治会等の中間組織があまり機能していないといえよう。 図表1-2-1-4 町内会・自治会への参加頻度 (出典)内閣府「平成19年版国民生活白書」(内閣府「住民自治組織に関する世論調査」(1968年)、 「国民生活選好度調査」(2007年)により作成) http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/index.html ●NPOやボランティアに参加したい人は5割を超えるが、きっかけや情報がないため参加まで至らないのが現状  また、NPOやボランティア、地域の活動の参加状況については、「現在参加している」人の割合は10.1%で、約9割の人が不参加となっている。しかしながら、NPOやボランティア活動等へ現在参加していないが、「今後は参加したい」と希望する人の割合は51.6%で、今後も参加したくないと考える人の38.1%を大きく上回っており、地域への貢献意識は高い結果となっている(図表1-2-1-5)。このように参加意識が高いにもかかわらず、実際の参加は低迷している理由として、「活動する時間がない(35.9%)」「参加するきっかけが得られない(14.2%)」「身近に団体や活動内容に関する情報がない(11.1%)」などが挙げられており、地域活動に関する情報不足などが制約となっているものと考えられる(図表1-2-1-6)。 図表1-2-1-5 NPOやボランティアへの参加状況 (出典)内閣府「平成19年版国民生活白書」 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/index.html 図表1-2-1-6 NPOやボランティア、地域の活動に参加しない理由 (出典)内閣府「平成19年版国民生活白書」 (内閣府「国民生活選好度調査」(2003年)により作成) http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/index.html ●人口減少と高齢化により地方の地域コミュニティは危機、都市圏では高齢化が加速し地域での見守りが課題  人口の減少による地域のつながりの希薄化も深刻である。図表1-2-1-7は、2004年と2009年の比較における三大都市圏と三大都市圏以外の地域の人口増減率と高齢化の割合をみたものであるが、三大都市圏以外の地域では、人口が1.8%減少している上に、高齢化も進んでおり、地方の地域コミュニティは危機にあるといえよう。また。都市部においては地方圏と比較して高齢化の進展が顕著であり、本章第3節3の図表1-3-3-2にあるように、一人暮らしの高齢者は年々増加する一方である。このような一人暮らしの高齢者を地域で見守っていくこともますます重要な課題となっている。 図表1-2-1-7 三大都市圏とそれ以外の道県の高齢化と人口増減率(2004年、2009年比較) 総務省「人口推計」により作成 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.htm