コラム ひとり親や障がい者の在宅就業を支援する「道在宅就業支援センター」  北海道は一人で子どもを育てる親や、障がい者の在宅就業を支援する「道在宅就業支援センター」を平成22年4月に開設した。道内では、母子家庭の87%、父子家庭の44%が年収300万円未満で、かつ昼と夜に異なる仕事をする「ダブルワーク」を強いられている家庭が多いことや、授産施設(障がい者に対し、就労の場や技能取得を手助けする施設)で働く障がい者の道内平均給与も月1万8,000円にとどまっているという現状があり、こうした状況を打開すべく、ICTを活用した支援を行う。  同センターは平成23年度までに情報通信技術に関する計4回の研修を行い、基礎訓練を最長6カ月、応用訓練を最長で1年行い、基礎訓練には手当として月3万〜5万円、応用訓練には同1万5,000〜2万5,000円を支給する。これにより、訓練期間中はダブルワークをしなくてもICTスキルを身につけることができる。さらに、平成23年度までの2年間で、ICTスキルを習得した計300人に、公共団体のホームページ制作、中小企業向けのデータ入力などの仕事を紹介することで、在宅で収入増を図る仕組みを目指している。将来的には自治体が保存する文書目録のデータ化や、介護保険の給付に必要な事務処理などの発注等も想定し月収3〜5万円の確保を視野に入れている。  「教育」と「手当」だけにとどまらず、技術を習得した人が、在宅(テレワーク)で就業できるように、「業務の開拓」や「業務処理」の仕組を構築するとともに、ひとり親や障がい者はもちろん、地域に「在宅で働ける環境を構築する」という意味でも、意義ある取組といえよう。 図表 ひとり親在宅就業支援事業モデルのイメージ図