(1)ICTを活用したグリーン化(Green by ICT) ●ICT活用により、一般家庭、オフィス・店舗、生産・流通・輸送といった社会全域でのCO2排出を削減可能  企業や一般家庭での活動に際して、ICTを用いて環境情報の計測及び予測を行いつつ、エネルギー利用効率の改善、物の生産・消費の効率化・削減、人・物の移動の削減につなげることで、CO2の排出量を削減することが可能である。このように、社会全域においてICTを活用することによりCO2排出を削減する取組を、ICTを活用したグリーン化(Green by ICT)という(図表2-1-1-1)。以下では、どのような領域でどのようにICTを活用してCO2排出を削減可能であるかを紹介する。 図表2-1-1-1 ICTを活用したグリーン化(Green by ICT)のイメージ (出典)総務省「地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会 報告書」 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ict_globalwarming/index.html ア エネルギー利用効率の改善  ビルエネルギー管理システム(BEMS1)や家庭用エネルギー管理システム(HEMS2)により、ビルや住宅の照明や空調をきめ細かく制御して、省エネルギーさらにはCO2排出削減が可能である。  他には、高度道路交通システム(ITS)を活用すると、車内でリアルタイムに渋滞情報や規制情報などの道路交通情報を知ることができ、カーナビが渋滞を避けた迂回路を再検索したりすることで、渋滞による排ガスを抑制しCO2を削減することが可能となる。 イ 物の生産・消費の効率化・削減  サプライチェーンマネジメントにより需要量についての情報が生産者側にも共有されることで、需要量に合わせた生産・流通が可能となることに伴いCO2排出量を削減可能である。  他には、電子書籍、電子出版の普及、オフィスでのペーパーレス化等による紙の消費の削減、デジタルコンテンツのダウンロード流通促進に伴う、物理メディア(DVD、CD等及びこれらの梱包物等)の削減等により、物の生産・消費に係るCO2排出量を削減することができる。 ウ 人・物の移動の削減  テレワークにより自宅等で勤務する形態にすると、業務の効率化向上に資するとともに、通勤のための自家用自動車の利用等が減少する。同様に、TV会議システムの積極的な活用により、出張移動を抑制できる。これらから、交通機関の燃料消費が少なくなり、CO2排出量が削減されると考えられる。 エ 環境計測・環境予測  センサーネットワーク、リモートセンシング、GPSによる位置情報把握などの技術を活用することで、自然環境を包括的にカバーする地球環境観測システムの構築が可能である。このシステムは、上記に掲げたエネルギー利用効率の改善、物の生産・消費の効率化・削減といった取組に際してCO2排出削減対策の成果を測定・分析し、さらなる改善を進めていくためには欠かせないと考えられる。 1 Building and Energy Management Systemの略 2 Home Energy Management Systemの略