3 電波政策の展開 (1)電波政策概況 ア 電波の有効利用の推進  新たな電波利用システムやサービスが進展していく中で、地域コミュニティの情報発信手段等に電波を活用することにより地域再生など諸問題の解決を図っていくことが期待されている。一方、電波は有限希少な資源であることから、これを国民の利便性向上につなげるためには、ホワイトスペースの活用など新たな電波の有効利用を促進することが必要である。また、このような電波の有効利用によって、新たな産業と雇用を生み出す内需主導型の経済成長の実現にも寄与していくものと考えられる(図表5-2-3-1)。 図表5-2-3-1 新たな電波の有効利用の促進  このことから、総務省では、平成21年12月より「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」を設置し、ホワイトスペースの活用など新たな電波の有効利用の促進に向けて検討を行っている11。具体的には、ホワイトスペース等の活用方策に関する提案募集や電波利用状況の実施調査を実施したほか、国際シンポジウムや提案者から直接提案を伺う場としてヒアリングを開催した。  今後、これらを踏まえ、新たな電波の有効利用を実現するための制度的・技術的課題について検討を行い、平成22年夏頃を目途に提言の取りまとめを行う予定である。 イ 周波数再編及び利用環境整備の推進 (ア)2010年代の電波システム・サービスの実現に向けて  総務省では、2010年代の電波利用システム・サービスの将来像と電波有効利用方策について検討を行うため、平成20年10月より電波政策懇談会を開催し、同21年7月に「電波新産業創出戦略〜電波政策懇談会報告書〜」を取りまとめた12。  この中では、「ぶつからない車」や「コードのいらない快適生活環境」等、新しい無線通信技術を利用したシステムやサービスの実現により、2020年には新たに50兆円の電波関連市場が創出されるものと試算されたほか、少子高齢化問題、環境・エネルギー問題といった我が国が抱える諸問題の解決への貢献が期待されている(図表5-2-3-2)。 図表5-2-3-2 新たな電波関連市場の創出  また、これらの2010年代の新たな電波利用の実現に向け、システムごとに適切な周波数配分と不可欠な研究開発の推進とを連動させることが適当とし、これらを円滑かつ着実に実現するため、政府、産業界、学術界などの関係者が取り組む施策として、国際展開を念頭においた産学官一体のブロードバンドワイヤレスフォーラムを設置すべき等の提言が取りまとめられた。  総務省では、これらについて、産学官が一体となって早急かつ強力に取り組むことが重要と考え、施策を展開していくこととしている。 (イ)周波数の移行・再編に向けた取組  総務省では、有限希少な電波資源の有効利用を促進するとともに、新たな電波利用システムの導入や周波数の需要増加に対応するため、毎年、電波の利用状況の調査・評価を行っている。また、この利用状況調査の評価結果等にも基づき、周波数の移行・再編の方向性を示す「周波数再編アクションプラン」を策定・公表・見直しをすることにより、周波数の円滑かつ着実な移行・再編を推進している。さらに、利用状況調査及び周波数アクションプランの進捗状況に基づき、周波数割当計画を改定し、周波数の再編・移行を行っている。このため、「周波数再編アクションプラン(平成20年11月改定版)」の見直しに当たっては、平成20年度電波の利用状況調査(770MHz以下の周波数帯を対象)の評価結果(同21年7月)、電波新産業創出戦略や電波利用サービスの高度化、研究開発動向等を踏まえ、周波数再編の取組方針及び周波数有効利用のため国が実施する研究開発項目等を示すこととし、「周波数再編アクションプラン(平成22年2月改定版)」を公表した13。 11 参考:新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/denpa_katsuyou/index.html 12 参考:電波新産業創出戦略:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban09_090713_1.html 13 参考:「周波数再編アクションプラン(平成22年2月改定版)」の公表:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban09_000031.html