第4節 行政情報化の推進 1 電子政府の実現 (1)政府全体としての業務・システム最適化の推進 ア 政府の情報システムの整備の在り方  電子政府の推進については、これまで「電子政府構築計画」(平成15年7月各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定1、同16年6月一部改定)等に基づき、様々な取組を実施してきた(図表5-4-1-1)。 図表5-4-1-1 我が国の行政の情報化に関する主な取組  政府の情報システムについては、各府省の業務や情報システムを最適なものとするための計画(最適化計画)を策定し、情報システムの運用コスト等の削減や業務処理時間の削減を図っている。総務省では、この最適化の取組を継続的に行うため、各府省が策定した最適化計画を確認し、必要な調整を行うとともに、最適化の実施状況及び評価状況のモニタリングを行う役割を担っている。  各府省個別の業務・システムの最適化については、これまで一定の成果を収めてきたが、今後は、これらに加え、費用対効果を踏まえつつ、政府全体として更なる全体最適化を推進することが求められている。このため、そのあるべき将来像を明確化するとともに、政府情報システムの統合・集約化やデータ連携の基盤となる政府共通プラットフォームの整備の課題、方向性等について検討することとして、平成21年6月から「政府の情報システムの整備の在り方に関する研究会」を開催し、同年8月に中間取りまとめを公表、更に、平成22年4月に最終報告書を公表した。  最終報告書では、[1]仮想化技術を活用したハードウェアの共用によるサーバマシン等の台数削減、[2]OS・ミドルウェア等の基盤ソフトウェアの共通化によるシステム動作環境の標準化、[3]運用管理の一元化による運用管理業務負担の軽減等の政府共通プラットフォームの役割及び効果について整理するとともに、同プラットフォームを活用し、より多くの政府情報システムの統合・集約化を目指すべきであるとした上で、優先的に統合・集約化を検討すべきシステムとして、[1]特定の技術・動作環境に依存しないもの、[2]極めて高い可用性が求められないもの、[3]統合・集約化に当たって大規模な構成変更等が求められないもの等をあげている(図表5-4-1-2)。 図表5-4-1-2 政府共通プラットフォームによる政府情報システムの統合・集約化イメージ イ 政府の調達情報システムの整備  調達業務(公共事業等を除く)に関し、入札・開札の事務処理に係る電子入札システムについては、各府省等において、必要に応じ個々に整備・運用を行っている状況にある。  そこで、調達業務の最適化について、「政府調達(公共事業を除く)手続の業務・システム最適化に向けた基本方針(平成20年8月、政府調達(公共事業を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定)等に基づき、平成21年8月に「調達業務の業務・システム最適化計画」(各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)が策定された。  これにより、従来、各府省等で異なる契約書等の様式及び業務処理の標準化、決裁階層の見直しを図るとともに、これまで電子入札システムで処理していた入札・開札も含め、調達手続きに係る一連の業務を電子化する「電子調達システム」を全府省等に導入することにより、以下の取組を図ることとしている。  [1] 企業等の利便性の向上  [2] 行政事務の簡素化・効率化  [3] 調達業務の信頼性の向上  今後、各府省において、現在個々に整備・運用している物品・役務の入札・開札業務に係る既存電子入札システムを廃止し、システムを集中的に管理運用する電子調達システムに順次移行するための取組を推進することとしている。 1 参考:各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html