みんなでつくる情報通信白書コンテスト2011 一般の部 優秀賞受賞コラム わたしと孫の交信〜インターネットとケータイの先生〜 執筆 渡辺 勇三(わたなべ ゆうぞう)さん(無職 奈良県宇陀市) コメント:インターネットやケータイの操作方法が分からず、何度か通ったパソコン教室でも、のみこめなかったが、ふと孫に問いかけたことがきっかけで、一生懸命に教えてくれる。その甲斐あって、一定の基礎知識を得るようになった感謝の気持ちが、私を変えた。  「この歳になって機械が弱くてね」などとは言えなくなった。取り残されては大変という意識が強まったのは確か。  お年寄りの仲間入りをしたのはいいが、インターネットやケータイとは無縁の社会と言うわけにはいかない。そんな折、私には心強い助っ人が現れた。  まだ漢字もきちんとは読めないが、私にはちんぷんかんぷんのケータイをいとも簡単に操作する孫が、実はその人なのだ。  気後ればかりしておれない。先方からの受信を待てばいいとたかをくくっていたが、こちらから発信しなければいけないことも。  私と同年輩の方からの発信はうかうかできない。とはいえ、難しい文章が満載の説明書がすぐに頭に入るはずもなく、思い悩むうち、孫の助け船が入った。  せっぱ詰まった段階で孫に教えてもらうので、その場は格好がつく。するとまた、少し置き、孫に教わるという風に、孫が私の先生になった。  説明書の文字が読めない孫はよく「これ、なんて書いてあるの? 」と聞き返す。私が文字を読むと、孫は操作を続け、何とかクリアしてしまうから不思議だ。  機械が身につく今の世代と、手書き中心だった私との格差、落差を痛感する次第。  少し前、孫の母親(私の娘)に頼み込むように聞いたことがあった。  「おじいちゃん、またァ。基礎ができてないから、自分でゆっくり学ぶ気構えがないととても無理っ」といなされた。  その点、孫は違う。いつでも、何度でも、いやがらずに教えてくれる。家内や娘は「あの子は、おじいちゃんのパソコンのゲームソフトで遊ぶのがお目当てよ」とからかう。  ダウンロードやウェブサイトなど、私にはわからなかった横文字をパスした孫が、その実、操作できるのだから、やっぱり先生だ。  孫とメールを交信する今、私は超高齢社会を生きるツールを一つ手にしたようなもの。  もっと頑張ろう、そのためにも孫とのつながりが大切と感じている。