(1)ICT利活用における連携の状況 ●全分野平均すると約6割で他団体からの参加がみられる  自治体におけるICT利活用事業に対する他団体からの参画状況については、全分野平均すると約6割で他団体からの参画がみられる(図表2-3-7-1)。地域におけるICT利活用を進めるにあたり、他団体との連携がある程度広まっていることがわかる。  分野別にみると、産業振興(79.6%)、農林水産(74.3%)、医療・介護(72.3%)、観光(70.1%)の分野で参画率が高く、一方、教育(37.8%)、防犯(41.4%)、防災(42.6%)の分野で参画率が低い。また、参画者は、医療・介護については大学等専門機関や医師会等の職能団体、防災については自治体等地域ごとの団体組織、観光については地域の企業・経営者等の参画率が高くなっており、分野によって関わりの高い団体と協働していることがわかる。 図表2-3-7-1 他団体からの参画状況(実施自治体) (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年) ●参画の内容は、初期段階での参加や計画作りへの参加、運営など  自治体におけるICT利活用事業に対する他団体からの参画の内容については、全分野平均で、「事業へのニーズ・アイディア・専門知識等の提案等、初期段階の参加・協力(18.1%)」、「各種プランニング・事業案の作成など企画〜計画作りへの参加・協力(16.3%)」、「事業運営全般(13.7%)」等、初期段階での参加や計画作りへの参加、運営等、資金面以外での参画の割合が高い(図表2-3-7-2)。 図表2-3-7-2 他団体からの参画内容(実施自治体) (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年) ●他団体参画のメリットは、利用者のニーズ把握やノウハウ等の「情報」  自治体において、他団体からの参画によるメリットとしては、ほぼ全分野において「対象者のニーズのきめ細やかな把握・柔軟な対応(平均18.0%)」が挙げられており、「ICT・その他の事業に関係する経験・専門知識・ノウハウ(平均16.3%)」も比較的高い(図表2-3-7-3)。ここでも自治体が利用者のニーズの把握、ノウハウ等の情報を求めていることがわかる。分野によっては、「地域におけるキーパーソン等との人脈・ネットワーク」、「組織力、動員力」、「行政の制度的な枠を超えた事業が可能」等のメリットを挙げる率が高い。  一方で、「財政・資金調達(平均3.1%)」、「公的な負担・利用者の負担が少ない運営(平均7.8%)」となっており、他団体の参画のみでは、資金面での課題解決は難しいこともうかがえる。 図表2-3-7-3 他団体からの参画のメリット(実施自治体) (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年) ●他団体参加の問題点は、相手方の体制・能力  自治体の実施するICT利活用事業への他団体の参加による問題点について、当該事業導入自治体と、未実施自治体で比較する。  実施自治体においては、「特にない」が全分野平均で42.5%と最も多い。ただし、問題点の中では、「人員・財政・事務処理・永続性・責任等相手方の体制・能力」が、19.1%と最も高く、ほぼ全分野において問題点として挙げられている(図表2-3-7-4)。 図表2-3-7-4 他団体からの参画における問題点(実施自治体) (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)  未実施自治体においては、「特にない」は全分野平均で17.4%であり、導入自治体と比較して全般的に問題点を挙げる自治体が多い(図表2-3-7-5)。問題点の中では、「人員・財政・事務処理・永続性・責任等相手方の体制・能力」が、実施自治体同様、15.2%と最も高い。また、「NPO・団体等がない、見つけにくい(9.6%)」が、実施自治体(4.6%)と比較して約2倍と高く、未実施団体においては、特に連携を行う団体探しも課題となっていることがうかがえる。 図表2-3-7-5 他団体からの参画における問題点(未実施自治体) (出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)