コラム ネットワーク型サービスの背後にある考え方 ○ネットワーク外部性  ネットワーク外部性とは、電話、SNS等のネットワーク型サービスにおいて、加入者数が増えれば増えるほど、1加入者の便益が増加し、ますます加入者が増えるという現象である。ネットワーク外部性が存在する場合、新規加入者にとっての便益は既存加入者の数に依存するために、加入者数の少ない間はなかなか普及しないが、加入者数がある閾値(クリティカルマス)を超えると一気に普及するといった現象が発生する。 ○六次の隔たり  社会心理学者スタンレー・ミルグラムは、知り合い関係を辿っていけば比較的簡単に世界中の誰にでもいきつくという仮説を検証するため、1967年にスモールワールド実験(small world experiment)を行った。この実験ではネブラスカ州オマハの住人160人を無作為に選び、「同封した写真の人物はボストン在住の株式仲買人です。この顔と名前の人物をご存知でしたらその人の元へこの手紙をお送り下さい。この人を知らない場合は貴方の住所と氏名を書き加えた上で、貴方の友人の中で知っていそうな人にこの手紙を送って下さい」という文面の手紙をそれぞれに送った。その結果42通(26.25%)が実際に届き、42通が届くまでに経た人数は平均5.83人であった。この実験を契機に、知り合い関係を芋蔓式に辿っていけば比較的簡単に世界中の誰にでもいきつくというスモール・ワールド現象(small world phenomenon)の仮説が検証され、のちの研究者によって実験方法にも多くの洗練が加えられ、六次の隔たり(Six Degrees of Separation)との表現が生まれた。SNSに代表されるネットワーク型サービスはこの仮説が下地になっているといわれる。