第4節 放送事業 1 放送市場 (1)放送市場の規模 ア 放送事業者の売上高等 ●平成21年度の放送事業者売上高は3兆8,254億円で、近年では衛星系放送事業者とケーブルテレビ放送事業者のシェアが拡大  我が国における放送は、受信料収入を経営の基盤とするNHK(日本放送協会)と、広告収入又は有料放送の料金収入を基盤とする民間放送事業者の二元体制により行われている。また、放送大学学園が、教育のための放送を行っている。  放送事業収入及び放送事業外収入を含めた放送事業者全体の売上高については、増加傾向から減少に転じた昨年に続き、平成21年度は、3兆8,254億円(対前年度比3.8%減)となった。  その内訳をみると、地上系民間基幹放送事業者売上高総計及び衛星系民間放送事業者の売上高総計はそれぞれ2兆2,574億円(対前年度比8.1%減)、3,887億円(対前年度比0.5%減)であったのに対し、ケーブルテレビ事業者の売上高総計は5,134億円(対前年度比10.0%増)、 NHKの経常事業収入は6,658億円(対前年度比0.5%増)となった。  なお、市場シェアでは、地上系民間基幹放送事業者の売上高総計が、民間放送事業者の売上高総計の71.4%を占めているが、衛星系放送事業者とケーブルテレビ放送事業者のシェアが拡大傾向にある(図表4-4-1-1)。 図表4-4-1-1 放送産業の市場規模(売上高集計)の推移と内訳 総務省資料及び「NHK年鑑」各年度版より作成  地上系民間基幹放送事業者の収入の大部分は、広告収入であり、平成21年の広告収入は、1兆8,509億円となっている。内訳は、テレビジョン放送事業に係るものが1兆7,139億円、ラジオ放送事業に係るものが1,370億円となっている(図表4-4-1-2)。 図表4-4-1-2 地上系民間基幹放送事業者の広告収入の推移 電通「日本の広告費」により作成 http://www.dentsu.co.jp/books/ad_cost/index.html イ 民間放送事業者の経営状況 ●民間放送事業者の平成21年度の営業損益は、地上系、衛星系、ケーブルテレビのいずれも黒字を確保  民間放送事業者の営業損益の状況は、次のとおりとなっている(図表4-4-1-3)。 図表4-4-1-3 民間放送事業者の売上高営業利益率の推移 社団法人日本民間放送連盟「日本民間放送連盟」及び総務省 「一般放送事業者及び有線テレビジョン放送事業者の収支状況」により作成 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu09_01000005.html (ア)地上系民間基幹放送事業者  引き続き営業黒字を確保し、平成21年度の売上高営業利益率は2.5%と昨年度より上昇している。 (イ)衛星系民間放送事業者  近年、一貫して経営状況が改善し、平成19年以降以降は黒字となっており、平成21年度の売上高営業利益率は3.4%となっている。 (ウ)ケーブルテレビ事業者  平成15年度以降、売上高営業利益率はひとけた台後半を維持していたが、平成21年度は、10.0%と利益率を伸ばしている。