(4)情報通信分野における標準化政策  情報通信分野は、放送のデジタル化や通信ネットワークのブロードバンド化・IP化等、基盤技術の革新がグローバルな規模で進展しており、諸外国においても標準化に関する様々な施策が講じられている。我が国においても、消費者・利用者の利便性向上や産業の国際競争力強化等の実現に向け、中長期的な研究開発戦略を視野に入れつつ、戦略的に標準化活動を推進することが喫緊の課題となっている。  総務省では、これまで、平成21年8月、「通信・放送の融合・連携環境における標準化政策の在り方」について情報通信審議会に諮問するとともに、標準化を推進する際の基本方針等について検討を実施してきた。ここでは、標準化のプロセス及び標準化機関の位置付けが変化していることやITU等のデジュール標準に加え、フォーラム標準も支援の対象とすべきなどの指摘がなされた。  こうした指摘を踏まえて、情報通信審議会は、標準化の検討体制の見直しを行い、2部会・17委員会から1部会・6委員会に再編した。その後、総務省は、平成23年2月に、標準化活動を取り巻く環境変化に応じた情報通信分野における総合的な標準化政策の在り方について、新たに情報通信審議会に諮問した。  これを受け、情報通信審議会では、情報通信政策部会に「情報通信分野における標準化政策検討委員会」を設置し、同委員会において調査検討を行っている。また、同委員会には、中長期的な研究開発戦略や諸外国の研究開発動向等を踏まえた標準化重点分野及び政策支援の在り方について検討を行う「中長期的戦略ワーキンググループ」と、当面の重点分野における標準化活動の取組状況のフォローアップやこれらに関する政策支援の在り方について検討を行う「標準化活動対応ワーキンググループ」が設置されている。  一方、平成21年10月からは、総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」(以下「ICTタスクフォース」という。)において、標準化を推進すべき個別分野に関する検討体制の在り方や個別分野ごとの今後の進め方等について検討が行われた。我が国が今後重点的に国際標準化を進めていく分野として、「ホームネットワーク」、「3Dテレビ」、「クラウドサービス」、「次世代ブラウザ」、「デジタルサイネージ」が挙げられている。また、ICTタスクフォースにおいて指摘された産学官共同で標準化戦略を検討する場として、平成23年1月に、「ICT国際標準化推進会議」が設立された。ここでは、ICTタスクフォースで提言された5分野等について、対応方針の検討、情報共有等が行われている。  なお、ICTタスクフォースが提言した5分野は、政府全体の取組としても、知的財産推進計画2010(平成22年5月知的財産戦略本部決定)において「国際標準化特定戦略分野」として取組強化の重要性が指摘されている。