みんなでつくる情報通信白書コンテスト2011 一般の部 優秀賞受賞コラム 私と宇宙をつなぐ夢空間〜ITから国際宇宙船の世界〜 執筆 増田 和恵(ますだ かずえ)さん(主婦 埼玉県熊谷市) コメント: ・25日、明け方の空に「国際宇宙ステーション」と、物資を運ぶ「無人宇宙船こうのとり2号機」を発見して感動したこと。 ・インターネットで配信されたISSのアームが、「こうのとり2号機」をしっかり掴む様子を見て、科学技術・情報通信の進歩に驚かされていること。 ・将来情報通信技術は、更に発達するだろう。家に居ながらにして宇宙空間(夢空間)に私を連れて行ってくれるかもしれない。パソコンを通して宇宙旅行が楽しめる日を待ち遠しく思っていること。  夜明けの凍てつく空気に、満点の星。ゆっくり東に向かって進んで行く青白い点。地球の周りを、国際宇宙船(ISS)が飛んでいるのだ。インターネット(IT)の情報通り、確かに肉眼でも確認できると、私は大満足で畑の真ん中から空を仰いでいた。  それから約20分後。北西の空から、小さなオレンジ色の光が、東に進んで行くのが見えた。無人宇宙船「こうのとり2号機」だ。1月22日に種子島で打ち上げられてから、地球を何周したのだろうと考えながら、オレンジ色の光が、空の彼方に消えてゆくのを見続けた。  その時、私は心の中で「こうのとり2号機さん。あなたから私が見えるかしら。ここで両手を振るおばさんを見てちょうだい。」と、叫んでいた。そして、頑張ってISSまで辿り着いてねと、両手を挙げてエールを送り続けた。  27日、午後8時41分にISSのロボットアームが、こうのとり2号機の船体を無事に捕らえたと、ラジオが伝えてきた。遠隔操作の宇宙船が、秒速7.7kmで周回するISSの60cmの所まで、どうして近づけるのか不思議でならない。どこで誰が、遠隔操作をしているのかしらと、疑問が湧いてくる。すぐさま、私はパソコン(PC)を開いて、ネットで国際宇宙船に関する情報を調べてみた。難しくて良く理解できないことばかりなのに、日本の宇宙科学技術バンザイと、誇らしい気持ちに浸っていた。  翌日、ITから配信される動画の数々は、私を宇宙の夢空間に運んでくれた。どんなふうに撮影したのか分からないが、ISSがこうのとり2号機を捕らえる映像が、鮮明に送られてきていた。宇宙船を遠隔操作する技術も卓越しているが、その様子を地球に運んでくる通信技術も実に素晴らしいものだ。  以前、私は宇宙航空研究開発機構地球観測センターを訪れた時に、人工衛星が撮影した地球の画像を見たことがあった。その美しいことは勿論だが、宇宙船にいる飛行士と、地球の人間が直接交信する映像を見て、情報通信技術の発達に驚いたものだ。以来、宇宙が身近に感ずるようになった。  情報通信技術は着実に進歩している。きっと近い将来、家に居ながら私をもっとリアルな宇宙空間に、運んでくれるに違いないと思う。もしかしたら宇宙の音も伝えてくれるかもしれない。宇宙に生きる“何か”と交信することだってできるかもしれない。よその星をPCを通して、歩くことだってできるかもしれない。私は勝手なことを想像しては、夢を膨らませている。  昨今、情報通信の功罪が問われている。どんな機械でも使い方だと考えている。パソコンなど無い時代に育った私にとって、PCは重宝な機器である。高齢になるに従って、どうしても外部との関わりが、薄れていく。そんな中で、ITを上手に活用すれば、時空を越えてネットワークを広げることができる優れものなのだ。忘れかけていた感動を、機器から与えてもらうことも可能である。  今、私は国際宇宙船に夢馳せるおばさんになっている。