(4)定量的効果の試算  試算においては、定量的評価が可能な各効果項目について、効果の発現経路を設計の上、受益者、想定される効果・便益、医療システム等を整理した。そして、効果の発現経路に応じて、便益算出の式を計算した上で、想定される効果・便益の試算を行った。  試算の結果をシステムごと及び費用項目別に整理し、定量的効果(億円/年)を 「医療費」 「収入/費用」 「社会便益」 の3種類の費目ごとに合計すると、それぞれ1,043.1億円(医療費)、1,292.6億円(収入/費用)、3,317.1億円(社会便益)となった(図表1-4-8-5)。今回の試算では、すべての医療システムのICT化効果を定量的に測定することはできなかったが、それでも、医療分野のICT化の効果は確認でき、今後普及率の拡大にしたがって、その効果も拡大していくことが期待されるところである。 図表1-4-8-5 医療システムごとにみたICT化の効果 注1 現在、EHRの普及率が推定できないため−としているが、仮に10%普及すると仮定すると220.3億円と試算される。 (出典)総務省「医療分野のICT化の社会経済効果に関する調査研究」(平成24年)  なお、今回の分析においては、以下の制約下での試みである点に留意が必要であり17、今後、関係方面において更なる精緻化が期待される。   ○エビデンスの制約などから、25の効果項目のすべてを定量化はしてはおらず、定性的な評価にとどまる効果項目が存在すること。   ○既存研究等からエビデンスが収集できた効果項目に限り、定量化を試みており、十分なエビデンス収集ができなかったものは定性的な評価にとどめていること。   ○試算においては、国内の事例を可能な限り抽出したが、必ずしも十分なエビデンスが確保されていない事例もあり、それらについては、諸外国における事例を基に試算を行っていること。 17 詳細な推計結果については、付注3参照。