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第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第3節 ビッグデータの活用が促す成長の可能性

(5)我が国におけるビッグデータの実態把握に向けて

ア ビッグデータのライフサイクル

ビッグデータが生成されてから実際に活用されるまでの間のプロセスを図式化したのが、図表1-3-1-13である。ビッグデータは生成された後、流通、蓄積、分析可能化といった過程を経て、実際に分析・活用に供することとなるが、その過程で多くのデータが消滅したり死蔵されたりするものと考えられ、現時点で実際に分析・活用されているデータは、生成されたデータの中のごく一部に過ぎないと考えられる。

図表1-3-1-13 ビッグデータのライフサイクル(イメージ)
(出典)総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」(平成25年)

なお、蓄積されたデータの中には再度流通し、別の用途で蓄積され、分析・活用に供するデータも存在するものと考えられる。

イ ビッグデータに係る分析のスキーム

本来であれば、図表1-3-1-13にあるライフサイクルの各段階におけるビッグデータ量を計測できることが望ましいが、世界的にもビッグデータの計測スキームは確立されていないことから、ビッグデータ時代における我が国の情報流通量等の計測手法を検討し、将来的には計測手法を確立させ、定点的な計測につなげていく観点から、今回は以下のマクロ・ミクロの2つの手法に分けて、計測手法を検討するとともに、実際にデータ量や発現効果の推計を試行した。なお、いずれの分析においても、今回の分析は第一次の試算であり、今後、計測手法等については、さらなる精緻化を図っていく予定である。

まず、(ア)ビッグデータの流通・蓄積量の推計(マクロ調査)では、ビッグデータのライフサイクルのうち、本源的なデータが生成され流通・蓄積されるまでのデータ量の推計を、マクロレベル、産業レベルで実施した。次に(イ)ビッグデータの活用による発現効果の計測(ミクロ調査)では、一旦蓄積され、ビッグデータ解析等を通じて分析可能となったビッグデータが実際のビジネス戦略の策定や組織内の意思決定等に対し、いかなる効果を発現させているのかについての企業レベルでの分析を実施した(図表1-3-1-14)。

図表1-3-1-14 ビッグデータ分析のスキーム図(マクロ調査とミクロ調査)
(出典)総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」(平成25年)
(ア)ビッグデータの流通・蓄積量の計測(マクロ調査)

ビッグデータの流通・蓄積量の計測では、上記のライフサイクルのうち、どの程度の量のビッグデータが生成され、それが流通・蓄積されているのかについて、公表データや企業アンケート調査データ等を用いつつ、定量的な計測を行った。なお、流通量の計測にあたっては、ビッグデータを活用して社会・経済的価値を創出している主体は主に企業であると考えられることから、今回の計測では、企業が内外から受信したデータ量(流通量)の推計を実施した。 

なお、ビッグデータの特性の1つとして、一度蓄積されたデータが再加工され新たなデータとして再流通するといったような多段階・多層的な流通構造が存在し得るが、今回の流通量の推計においては、本源的に生成されたデータの流通量の計測を行った。

(イ)ビッグデータの活用による発現効果の計測(ミクロ調査)

ビッグデータの活用による発現効果の計測では、上記のライフサイクルのうち、実際にどのようなデータがどの業務において活用され、そのことによって、どの程度の効果を得ているのかについて、実際にビッグデータを活用している企業等が公表しているデータや企業等へのヒアリング等を行い、その結果に基づき、ビッグデータの活用によって発現される効果について、その発現経路を業種ごとに整理を行うとともに、得られたデータを基に各業種における発現効果について、推計を実施したものである。

続く本節第2項においてはマクロ調査、本節第3項においてはミクロ調査について、それぞれの計測手法の詳細及び結果について記載する18



18 マクロ調査・ミクロ調査ともに、時間的制約やデータの入手状況等の事情により、全業種を網羅した調査の実施は困難であったため、今回は、一部の業種に調査対象を限定している。また、海外においても、ビッグデータの量や効果の計測に関する方法論は確立されておらず、今回の調査では、海外の先行研究を参考に、試行錯誤を繰り返しながら実施した。今後、計測方法等の見直しを行いつつ、未調査の業種にも範囲を拡げていく予定である。

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