総務省トップ > 政策 > 白書 > 25年版 > 変わる高齢者像 -アクティブシニアの出現-
第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第3節 超高齢社会におけるICT活用の在り方

2 超高齢社会における新たな潮流

(1)変わる高齢者像 -アクティブシニアの出現-

一般的に、高齢者は加齢とともに、その身体機能や認知機能が低下するといわれるが、身体機能や認知機能に若干の衰えがあったとしても、逆に向上する能力もあるとの指摘もある。

認知能力については、その加齢による変化について、短期記憶能力は50歳を境に急激に衰える一方日常問題解決能力や言語能力は経験や知識の習得に伴ってむしろ向上するとの研究成果3があり、身体機能についても、1992年時点での高齢者の歩行速度に比べて2002年の高齢者の歩行速度は速くなっており、男女とも11歳若返っているとの研究成果4がある。

他方、高齢者の加齢による自立度の観点からは、2030年時点では約8割の高齢者は介護不要で自立的に暮らしているという予測データがある(図表2-3-2-1)とともに、介護が必要になる年齢についても個人差があるとの研究成果もある(図表2-3-2-2

図表2-3-2-1 要介護者の割合の推移
(出典)総務省「ICT超高齢社会構想会議報告書」(みずほコーポレート銀行産業調査部「みずほ産業調査vol.39 日本産業の中期展望」(平成24年5月)より)
図表2-3-2-2 高齢者の加齢による自立度
(出典)総務省「ICT超高齢社会構想会議報告書」(秋山弘子「長寿時代の科学と社会の構想」より)

このように、65歳以上の高齢者を「高齢者は身体機能や認知機能が低下する」といった既成概念で括ることは適切ではなく、個々人によって状況は異なっている。また、高齢者の社会参加意識についても、「働けるうちはいつまでも働きたい」と考える高齢者が30%を超える(60歳以上の有職者)という調査結果5もある。今後の活力ある超高齢社会の実現にあたっては、知恵やノウハウを豊富に有する「アクティブシニア」が多く存在するようになることを念頭におき、多くの高齢者が可能な限り長く自立して暮らし、年齢を問わず、その知恵や経験を活かして積極的に社会参加できるよう、「健康寿命の延伸」を図ることが重要といえよう。



3 Cornelius and Caspi(1987)

4 鈴木隆雄他「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(第53巻第4号「厚生の指標」平成18年4月,p1-10)

5 内閣府 高齢者の健康に関する意識調査(平成24年)https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h24/sougou/gaiyo/index.html別ウィンドウで開きます

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