総務省トップ > 政策 > 白書 > 25年版 > パーソナルデータの取扱いに係る認識
第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第1節 ビッグデータ活用とパーソナルデータ

(1)パーソナルデータの取扱いに係る認識

保護されるべきパーソナルデータの範囲については、現行の個人情報保護法では「特定の個人を識別することができるもの」と定義しているところであるが、その中には氏名のように通常公にされている情報から、人に知られたくない情報まで、プライバシー性には違いがあるものと考えられる。

本アンケートでは、保護されるパーソナルデータについて利用者の意識を尋ね、その結果に関し、①一般パーソナルデータ(プライバシー性が高くないパーソナルデータ)、②慎重な取扱いが求められるパーソナルデータ(プライバシー性が高いパーソナルデータ)、③センシティブデータ(プライバシー性が極めて高いパーソナルデータ)の3つに区分し34、それぞれのデータの取扱いに係る利用者意識の比較を行った。

ア 一般パーソナルデータ

一般パーソナルデータとなる可能性があるものとして、ここでは、氏名、性別、会社名、役職及び国籍の5項目について、「当該情報をどんな場合でも提供・公開したくない」と回答した利用者がどの程度存在するか、図表3-1-2-1としてまとめた。

図表3-1-2-1 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(一般パーソナルデータ)
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う新たな課題に関する調査研究」(平成25年)
「図表3-1-2-1 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(一般パーソナルデータ)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

これらの情報は、全般的に「どんな場合でも提供・公開したくない」と回答した割合は低く出ているが、フランスは他国と比較した場合、「どんな場合でも提供・公開したくない」との回答が高く出る結果となっている。

特徴的な点は、レーダーチャートの形状が各国とも類似している点である。米国や英国では「提供・公開したくない」との回答がいずれのデータでも低く出ているのに対し、日本やフランスではいずれのデータでも高く出る結果となっている。つまり、特定のデータについて、ある国では極端に高いまたは低いという結果にはなっていない。

イ 慎重な取扱いが求められるパーソナルデータ

続いて、慎重な取扱いが求められるパーソナルデータとなる可能性があるものとして、ここではメールアドレス、電話番号、位置情報、行動履歴及び趣味の5項目について、「当該情報をどんな場合でも提供・公開したくない」と回答した利用者がどの程度存在するかについて比較を行った(図表3-1-2-2)。

図表3-1-2-2 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(慎重な取扱いが求められるデータ)
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う新たな課題に関する調査研究」(平成25年)
「図表3-1-2-2 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(慎重な取扱いが求められるデータ)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

いずれの国でもメールアドレスや趣味については、「どんな場合でも提供・公開したくない」との回答は比較的低く出ているのに対し、位置情報、行動履歴については、比較的高く出る結果となった。

国別で比較した場合、日本、フランス及び韓国では、「どんな場合でも提供・公開したくない」との回答が他の3か国より高く出る結果となっている。また、レーダーチャートの形状が各国とも類似している点についても、一般パーソナルデータの結果と同様である。

ウ センシティブデータ

さらに、センシティブデータと考えられるものとして、ここでは思想信条、宗教、性癖、労組加入事実及び病歴・病状の5項目について、「当該情報をどんな場合でも提供・公開したくない」と回答した利用者がどの程度存在するかについて比較を行った(図表3-1-2-3)。

図表3-1-2-3 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(センシティブデータ)
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う新たな課題に関する調査研究」(平成25年)
「図表3-1-2-3 どのような場合でも提供・公開したくないデータ(センシティブデータ)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

センシティブデータは他のデータに比べて、どの国でも「どんな場合でも提供・公開したくない」と回答した割合は高めに出ている。また、米国や英国ではいずれの項目も比較的低く出ているのに対し、フランスではいずれの項目も比較的高く出る傾向は、一般パーソナルデータ及び慎重な取扱いが求められるパーソナルデータの場合と同様である。

5項目の中で比較すると、米国、英国及びフランスでは病歴・病状を「どんな場合でも提供・公開したくない」と回答した割合が他の項目と比べて高いのに対し、日本、韓国及びシンガポールでは性癖が最も高い結果となった。

なお、レーダーチャートの形状がいずれの国も近似している点は、一般パーソナルデータ及び慎重な取扱いが求められるパーソナルデータの場合と同様である。



34 データの区分に際しては、「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」における区分を参考にした。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る