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第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか
第3節 ICTによるイノベーションを推進する研究開発

(7)知財戦略の遅れ

特許権をはじめとする知的財産の確保について、自社製品を提供可能とする防衛的なものが中心であり、知的財産を経営資源として活用しようという意識が薄かったと考えられる。また、その結果として、クロスライセンスの締結や知的財産の共同保有が進み第三者への実施権の付与が難しいことや、知的財産を開発された当時の目的意識とは異なる目的で活用する応用的利用への意識が低いために、知的財産の十分な活用がなされていない。

また、まずは技術を国内市場で利用することが主眼となっているため、コストや時間がかかる国際特許出願も低迷するとともに、出願するとしても、そのスピードがグローバルな研究開発の動きと比して遅いことが多い。

これらの結果として、特に大学において、米国と比較して、知的財産の活用、およびロイヤリティ収入をベースとした自己資金の確保が低迷しており、さらに自己資金が少ないが故に知的財産の確保が困難になるという悪循環に陥っている(図表3-3-1-13)。

図表3-3-1-13 発明・特許・ロイヤリティ収入の日米比較
(出典)各大学ホームページより野村證券作成

さらに、ICT分野では、国際標準化が肝要であるが、その獲得に注力するあまりにRF(royalty-free:実施権の無償許諾)ライセンスを選択してしまい競争優位性が失われたり、保有する知的財産を標準規格へ埋め込むことを重視するあまりにビジネス化に際して重要となる周辺特許の取得が疎かになったりしている。

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