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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第11節 海外の動向

(4)韓国の情報通信政策の動向

2013年2月に新政権が発足した韓国では省庁再編が実施された。朴槿恵政権は、科学技術と産業、文化と産業の融合を進める「創造経済」を主導する省庁として、科学技術分野と情報通信分野を所掌する未来創造科学部(「部」は省に相当)を新設し、前政権よりもICT分野を重視する姿勢を見せている。

ア 李明博政権までのICT政策

1995〜2008年までは、情報通信部がICT政策の司令塔の役割を果たしたため、韓国ではブロードバンドインフラ整備、電子政府、CDMA携帯電話サービス等、政府の主導力を生かして短期間でICT分野が発展した。しかし、放送政策は放送委員会が所掌したため、通信・放送融合分野では省庁間の管轄争いで、IPTV等の融合サービス開始が大きく遅れるという弊害があった。また、情報通信部が機能を拡大するにつれ、他省庁との管轄を巡る摩擦も増えていた。李明博政権はICT分野を重要視しなかったとの指摘もあるところ、政権発足時に情報通信部を解体して放送通信委員会に再編し、情報通信部のICT機能を4省庁に分散した。

イ ICT政策機能の未来創造科学部への移管

今回の省庁再編で朴槿恵大統領が最もこだわりを見せたのが、未来創造科学部の新設である。未来創造科学部は、李明博政権発足時に廃止された科学技術部と情報通信部を合わせた大型省庁で、5省庁から科学技術とICT関連の機能を未来創造科学部に移管することになった。

省庁再編は新政権発足と同時に実施の予定であったが、未来創造科学部への放送政策機能移管をめぐって国会での論議が難航を極めたため、政権発足から1か月後の3月後半まで大幅にずれ込んだ。なお、未来創造科学部の機能は与野党間合意により、周波数政策は未来創造科学部が総括するが、通信周波数管理は未来創造科学部、放送周波数管理は放送通信委員会の所掌とされたために、原案よりも縮小された。

未来創造科学部が4月に発表した2013年度政策方針には、新政権の国政課題に沿った内容が盛り込まれた。主な政策として、2017年までに科学技術とICT融合(衛星映像ビッグデータ処理等)の10プロジェクト推進による新産業創出、クラウド法制定、ビッグデータ分析・活用センター構築、M2M試験事業推進を通じたインターネット新産業育成等がある。また、国家情報化のため、文化・医療等民間の活用度が高いDB構築、社会各分野でのICT実装、伝統産業のICT化も推進する。世界進出を視野に入れたコンテンツ育成のためのファンドも設定する。通信インフラ政策では、2017年までに全国90%の地域にギガビット級ブロードバンドを普及する計画である。一方、通信料金引き下げ政策として、2015年までに携帯電話加入費を段階的に廃止する計画も盛り込まれた。

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