電気通信紛争処理委員会(以下「委員会」という。)は、電気通信分野において多様化する紛争事案を迅速・公正に処理するための専門組織であり、現在、総務大臣により任命された委員5名及び特別委員8名が紛争処理にあたっている。
委員会は、①事業者間等の紛争を解決するためのあっせん・仲裁を行う、②総務大臣が命令、裁定等を行う際に諮問を受けて審議・答申を行う、③あっせん・仲裁、諮問に対する答申を行う中で、競争ルールの改善等について総務大臣に勧告を行うという3つの機能を有している(図表5-3-4-1)。
また、委員会事務局に事業者相談窓口を設けて、事業者間の紛争に関する問合せ・相談等に対応している。
あっせんは、委員会が委員・特別委員の中から3名程度を「あっせん委員」として指名し、あっせん委員が両当事者の歩み寄りを促すことにより紛争の解決を図る手続である。必要に応じ、あっせん委員があっせん案を提示する。両当事者の合意により進められる手続のため、強制されることはない。
仲裁は、原則として、両当事者の合意に基づき委員会が委員・特別委員の中から3名を「仲裁委員」として指名し、仲裁委員による仲裁判断に従うことを合意した上で行われる手続であり、仲裁判断には当事者間において確定判決と同一の効力が発生する。
なお、あっせん・仲裁の対象となる紛争内容は、次のとおりである(図表5-3-4-2)。
平成24年度において、地上テレビジョン放送の再放送同意に関する紛争についてのあっせん申請が2件、地上テレビジョン放送の再放送同意の裁定に係る総務大臣からの諮問が1件あり、委員会において処理中である(平成25年3月末現在)。また、事業者相談窓口において、相談対応7件を行った。
なお、平成13年11月の委員会設立から平成25年3月末までに、あっせん58件(図表5-3-4-3)、仲裁3件の申請を処理し、総務大臣からの諮問に対する答申8件、総務大臣への勧告3件を実施している。