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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第8節 国際戦略の推進

(2)二国間関係における国際政策の展開

ア 米国との政策協力
(ア)インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話

インターネットエコノミーに関する幅広い政策課題について意見交換し、ICT分野の発展に向けた認識の共有化と地球的規模での課題における具体的連携を推進する観点から、2010年(平成22年)6月に日米両国の間で、「インターネットエコノミーに関する政策協力対話」を行うことで一致した10。同年11月に第1回を開催して以来、総務省の局長級をヘッドとし、内閣官房情報セキュリティセンター、外務省、経済産業省など関係省庁と連携して、米国と意見交換を行っている。

2012年(平成24年)10月には、第4回局長級会合がワシントンD.C.で開催され、クラウドコンピューティングサービス、サイバーセキュリティ、電子政府・オープンガバメント戦略・オープンデータ戦略、プライバシーなどについての議論が行われた。また、日米の産業界から、両政府に対して、クラウドコンピューティングの推進に係る課題を整理した「日米クラウドコンピューティング民間作業部会報告書」が提出された。政府間の対話においては、同年初頭に設置された「日米クラウドコンピューティング作業部会」における検討状況の報告がなされ、引き続き検討を進めることで一致した。また、サイバーセキュリティにおいては、第3回会合で一致したサイバー攻撃への対応に関する研究開発協力として、日米間でサイバーセキュリティ研究開発に関するネットワーク運用のデータ共有が開始されたことを確認した。これにより、サイバー攻撃予知・即応技術等の研究分野における協力関係が深まるとともに、今般急増しているサイバー攻撃への取組に資することが期待される。また、両国は、スマートフォンやクラウドコンピューティングサービスのセキュリティの確保の重要性を認識し、ベストプラクティスと現状のアップデートについて情報共有を継続していくことで一致した。この他の議題に関しても継続的に連携していくことで一致し、会合の最後には政府間で共同記者発表をとりまとめた11

(イ)日米ICTサービス通商原則の策定

成長著しいICTサービス分野において、日本企業の海外展開を支援するためには、各国における規制の透明性、オープンなネットワークの維持、国境を越えた自由な情報流通の確保等の環境整備が必要不可欠である。このため、日米間で、2010年(平成22年)11月の日米首脳会談において発表された「新たなイニシアティブに関するファクトシート」で立ち上げられた「日米経済調和対話」の枠組において、規制の透明性の確保をはじめ、ICTサービス分野における貿易の促進に係る考え方を共有し、共同して他国にその内容を働きかけるべく、2012年(平成24年)1月に「日米ICTサービス通商原則」が策定された12。これは、先行して策定されていた、米EU ICTサービス通商原則も参考としながら、日米両国の高い自由化レベルを踏まえて策定された。今後は、第三国に多国間会議等を通じ同原則の内容を働きかけていくこととしている。

イ 欧州との協力

総務省は、欧州の情報通信担当省庁等との間で、情報通信に関する政策協議を開催している。

(ア)欧州連合(EU)との協力

2012年(平成24年)11月に日本(東京)で開催した日EU・ICT政策対話(第19回)において、欧州委員会との間で、インターネットに係る政策課題、クラウドコンピューティングサービス、ICT分野における研究開発協力、ICTを活用した超高齢社会への対応等について意見交換を行い、今後も日EU間で情報共有等を継続していくことで一致した。また、併せて開催した日EUインターネット・セキュリティフォーラムでは、冒頭、日本の産業界からセキュリティ政策等に関する提言がなされたほか、インターネットにおけるセキュリティに関する政策動向、日EUにおける意識啓発活動、EUにおけるオンライン上のプライバシー等についての意見交換や、日EUのグッド・プラクティス、重要インフラ防護・官民の情報共有の在り方等についての情報共有を行い、日EUの双方において、インターネットにおけるセキュリティ確保に向けた国際的な連携を推進することの重要性を再確認した13

(イ)欧州諸国との二国間協力

2013年(平成25年)2月にフランス(パリ)で開催した日仏ICT政策協議(第16回)では、フランス生産復興省(フランスの情報通信政策担当省)等との間で、インターネット政策課題、ICT総合政策、オンライン上の青少年保護、ICTサービスにおける利用者情報・プライバシー、放送サービスの高度化、電気通信市場に関する政策動向等について、意見交換を実施した14

2013年(平成25年)6月に日本(東京)で開催した日フィンランドICT政策協議(第13回)では、フィンランド運輸通信省(フィンランドの情報通信政策担当省)との間で、ICT総合政策、電気通信市場に関する政策動向、情報・ネットワークセキュリティ、ICTサービスにおける利用者情報・プライバシー、周波数政策、放送政策について、意見交換を実施した。

ウ アジア諸国との協力

総務省では、1(1)イのASEAN諸国へのICTプロジェクトの展開に加えて、アジア各国の情報通信担当省庁等との間でも、ICT分野に関する協力を行っている。

中国については、同国の市場に対する我が国通信事業者等の関心が高いことを踏まえ、貿易・投資を中心とする日中経済関係の今後の在り方について総合的な見地から議論を行い、両国間経済分野における紛争の未然防止を図ること等を目的として開催されている「日中経済パートナーシップ協議」に、積極的に参加しているところである。また、閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」では、グリーンICT、IPv6及び物聯網15分野等における協力について議論を行い、今後、人材交流や物聯網技術に関するプロジェクトに関する具体的な取組を進めることとしている。

インドについては、2013年(平成25年)2月にシバル通信IT大臣が来訪し、新藤大臣との間でICT分野での協力を推進することで一致した。具体的には、①サイバーセキュリティに関する協力、②ICT国際標準化に関する協力、③新規ビジネスの創造に繋がる日印企業間の対話促進等に関して、両国間で具体的な協力を推進することとしている。

タイについては、総務省は、2012年(平成24年)3月の日タイ首脳会談合意に基づき設置された、日タイインフラWGに参加する等、ICTインフラに関する具体的な協力を進めていくこととしている。また、2013年(平成25年)1月の日タイ首脳会談では、タイの社会経済のICTの活用について確認したところ、今後もICT分野の協力を進めることとしている。



10 インターネットエコノミーに関する日米政策協力:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin06_02000027.html別ウィンドウで開きます

11 インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話(第4回局長級会合)の結果:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000039.html別ウィンドウで開きます

12 日米ICTサービス通商原則の公表:
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000023.html別ウィンドウで開きます

13 日EU・ICT政策対話(第19回)及び日EUインターネット・セキュリティフォーラムの結果:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000041.html別ウィンドウで開きます

14 日仏ICT政策協議(第16回)の結果:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000044.html別ウィンドウで開きます

15 物聯網(ぶつれんもう):「人」と「人」だけでなく、「人」と「モノ」、「モノ」と「モノ」をつなぐことにより、生活の様々な場面でICTの利便性を享受することのできる社会を目指す、中国における戦略の総称。ユビキタスネットワークに相当する。

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