(4)スマートICTによる日本の元気・成長の加速に向けて 従来から、我が国は通信インフラの面では世界最高水準にあるといわれてきた。図表1-1-1-15にあるように、特に品質面、性能面も加味して国際比較を行った場合、その状況は現在も変わっていないと考えられるが、他方、我が国は従来から利活用面に課題があると指摘されており、昨年の情報通信白書で分析したとおり、依然その状況に大きな変化はないといえよう。 図表1-1-1-15 我が国の通信インフラ面の国際的地位 「スマートICT」を構成するモバイル(スマートフォン・M2M)、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル等の要素について、我が国はどのような状況にあるのであろうか。ビッグデータやM2Mについては、各国においてもこれから普及が拡大する状況にあるため、ここでは既に各国で普及が進んでいるものとして、@一般消費者の利活用という観点から、スマートフォン・ソーシャルメディア活用について海外との比較データを示し、A企業の利活用という観点からクラウドネットワーク技術の利用状況について日米の比較データを示す。 まず、スマートフォン、ソーシャルメディア活用について、日本、米国、英国、フランス、韓国及びシンガポールの6か国で利用状況について、ネット比較調査 13 を行った結果が以下の図表1-1-1-16、図表1-1-1-17である。このように、現時点では、スマートフォン普及、ソーシャルメディア利用いずれの面でも、我が国は必ずしも世界最高水準にあるとまではいえない状況にあることが見て取れる。 図表1-1-1-16 スマートフォン利用率・ソーシャルメディア利用率(6か国比較) (出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う新たな課題に関する調査研究」(平成25年) 図表1-1-1-17 用途別インターネット利用率比較 (出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う新たな課題に関する調査研究」(平成25年) なお、インターネットの各種サービスの利用状況について同調査の結果を見ると、取引サービスの代表例とみることのできる商品・サービスの購入・取引については、我が国は78.3%と6か国中最も利用率が高かった。他方、電子政府・電子自治体の利用(電子申請、電子申告、電子届出)については、我が国は16.2%と次に利用率が低い米国の半分以下であり、各国と大きな格差があることがわかる。その他の項目についても、我が国は中位以下のケースが多い。 次に、クラウドネットワーク技術について日米企業の利用動向(平成25年3月)を比較すると、全体では米国が70.6%の利用率に達しているのに対し、日本では42.4%となっている(図表1-1-1-18)。企業規模別にみると、大企業(従業員数300名以上)は米国の82%に対して日本は62%、中小企業(従業員数300名未満)では米国では59%と半数を超えているのに対し、日本は23%にとどまっている。このように、ICT活用の重要な要素であるクラウドの利用において、日米企業では大きな格差が認められる。 図表1-1-1-18 企業におけるクラウドネットワーク技術の利用実態(日米比較) (出典)総務省「クラウドコンピューティング等のICT利活用に関する諸外国の政策等に係る調査研究」(平成25年) このため我が国のICTについて、世界最高水準の通信インフラを最大限活用する観点から、ICTの利活用、とりわけこのような「スマートICT」を構成する最新トレンドの利活用を推進し、ICT産業・ICT利活用部門という枠を超えた全産業・部門の成長力向上、日本にとどまらないグローバルな社会解決へのICT活用とその国際展開を図っていくため、全方面での取組の強化が求められている(図表1-1-1-19)。 図表1-1-1-19 スマートICTによる成長モデル(イメージ) 13 調査概要は第3章第1節2.(パーソナルデータの取扱いに関する利用者意識の国際比較)を参照のこと。