(2)ビッグデータ流通量の推計結果 今回のデータ流通量推計で採用した17種のデータを対象に、ビッグデータ流通量の推計を行った結果、2012年のビッグデータ流通量は、9産業(サービス業、情報通信業、運輸業、不動産業、金融・保険業、商業、電気・ガス・水道業、建設業、製造業)の合計で、約2.2エクサバイトとなった 24 。 データ流通量の経年推移をみると、2005年の約0.4エクサバイトから2012年には約2.2エクサバイトとなり、2005年から2012年の7年間でデータ流通量は約5.2倍(同期間の年平均伸び率は26.6%)に拡大している(図表1-3-2-8) 25 。 図表1-3-2-8 ビッグデータ流通量の推移(産業計) (出典)総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年) データ流通量メディア別内訳をみると、2012年時点の水準で、POSデータが約0.8エクサバイトともっとも大きく、次いで、RFIDデータ(約0.6エクサバイト)、GPSデータ(約0.3エクサバイト)となった。また、各メディアの伸びの程度をみるために、2005年時点の各メディアの流通量水準を100に指数化の上、データ流通量の経年推移をメディア別にみると、電子カルテデータ、画像診断データといった医療系データの他、GPSデータやRFIDデータといったM2M系データが大きく伸びていることがみてとれる(図表1-3-2-9)。 図表1-3-2-9 ビッグデータ流通量推移(メディア別) (出典)総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年) 次に、データ流通量の産業間比較を行うために、2005年時点の各産業のデータ流通量水準を100に指数化し、その経年推移をみたものが図表1-3-2-10である。そこからは、すべての産業においてデータ流通量が伸びていることがみてとれる。とりわけ、2011年から2012年にかけての伸び率が高いこと、不動産業のデータ流通量の伸びが顕著に大きい。不動産業では、2000年後半以降、集合住宅の入退出管理や駐車場のセキュリティシステム等でのRFIDデータ活用が進展しており、当該データ活用の興隆とも相まって、データ流通量が伸長しているものと推察される。 図表1-3-2-10 ビッグデータ流通量の推移(産業別) (出典)総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年) 24 アンケート調査で過去データの取得が難しい数値については、情報流通インデックスデータの伸び率を用いて過去へ遡及した値を利用した。(情報流通インデックスは、我が国の情報流通の規模、構造等の現状や変化を定量的に把握する総合指標として、2009年〜2011年に調査したもの。) 25 IDC『The 2011 IDC Degital Universe Study』によれば2011年に全世界で生成・複製されたデジタル情報の総量は約1.8ゼタバイトである。経済規模とデータ流通量が連動すると想定の上、1.8ゼタバイトに世界全体の名目GDPに占める我が国の名目GDPの割合(約8%)を乗じると、我が国の仮想的なデータ量は、約100エクサバイトとなり、今回のデータ流通量の推計値の約50倍となる。ただし、IDCの推計は、デジタルカメラ、デジタルテレビ等のデバイスを対象にしていること、及び、データの生成量に加え、データ複製量も推計対象となっている点が、今回の分析とは大きく異なる点に留意する必要がある。