第6節 行政情報化の推進 1 電子政府の推進 (1)電子行政の実現 ア 企業コードを用いた行政機関間情報連携の推進 現在、民間企業が行う国や地方公共団体向けの行政手続においては、公的証明書類の添付が義務付けられているものが多く存在する。一方、行政機関ごとに様々な企業コードが割り付けられていることから、行政機関間での情報連携が難しく、申請企業に負担が生じているなど、従来のオンライン行政手続は必ずしも利用者にとって利便性の高いものとは言えない状況にある。 総務省では、企業コード導入に係る課題抽出のために、平成22年度に「国の物品・役務入札参加資格審査手続」を対象とし、平成23年度には、「国の測量・建設コンサルタント等業務に係る入札参加資格審査手続」及び「地方公共団体(県)の物品・役務業務に係る入札参加資格審査手続」を対象に広げ、関係省庁・地方公共団体と協力して、共通企業コードを用いて行政機関間の情報連携を行うことで登記事項証明書の添付を省略することについて、技術的検証、制度・運営面等における課題抽出を目的とした実証実験を行った 1 。これにより、利用者本位の電子行政の実現を目指している。 イ バックオフィス連携事業の推進 地方公共団体等の行政機関が保有する情報をバックオフィスで連携することにより、これまで申請・届出の際に添付していた証明書等の添付資料の不要化、複数の手続を1つの窓口で処理できるワンストップサービスの実現及び一人ひとりの国民に応じた情報を提供することが可能となる。総務省では、平成20年度から、地域情報プラットフォーム標準仕様を活用しつつ、組織の枠を超えて円滑な情報連携を行うための連携データ項目、連携インターフェイス機能等について検討してきた。今後も、これまでの検討の成果を踏まえつつ、円滑な業務間の情報連携を行うための自治体業務プロセス及び自治体業務システムの改革モデルの構築に取組、国民の利便性向上と行政事務の効率化を図ることにより、国民本位の電子行政の実現を目指していく。また、地方公共団体において、バックオフィス連携や自治体クラウドに円滑に対応するため研修用教材を開発し公表している。 2 ウ 行政サービスへのアクセス手段の多様化の推進 NFC(近距離無線通信:Near Field Communication)機能を実装したスマートフォン端末を用いて、電子行政サービスなどを簡単かつ安全に利用できる仕組を実現するため、総務省では、平成23年度に、行政をはじめとする各種サービスの利用者がスマートフォンから簡単かつ安全にID、チケット、証明書等のサービスに関連した利用者情報を利用できる仕組を実現するための技術的検証、制度・運営面等における課題抽出を目的とした実証実験を行った 1 。この成果をガイドラインにまとめ、普及させること等により、利用者本位の電子行政の実現を目指している。 1 行政業務システム連携推進事業:http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/gyousei_system.html 2 自治体クラウド・情報連携推進のための研修教材 :http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/lg-cloud/02ryutsu06_00000001.html