(2) 企業のデータ流通量の推計結果 ア 推計アプローチ データ流通量の推計に関しては、その対象産業を9産業(サービス業、情報通信業、運輸業、不動産業、金融・保険業、商業、電気・ガス・水道業、建設業、製造業)、計量対象データを図表3-1-2-2に示された21種のデータとした上で、次の推計モデルを用いて個別産業ごとの合計データ流通量を推計し、それらを積み上げることでマクロ全体のデータ流通量を計測した。 データ流通量の推計に用いたモデルは、下記の式に示す通り、企業数に利用企業の割合を乗じ、1企業当たりデータ流通量を乗じることによって情報流通量を9産業別21メディア別に算出し総計した 9 。1企業当たりデータ流通量は、1企業当たり従業員数に従業員1人あたりデータ受信頻度(回数)、1回当り情報量を乗じ求めたものである。 情報流通量=企業数×利用企業の割合×1企業当たりデータ流通量 今回は、2012年及び2013年の2時点のアンケートデータおよび公知情報を使用し推計した。また、2011年以前は一部推計値の補正を行い、2012年を新たに確定値とし、2013年の推計値は見込み値とした。 さらにこれまで欠損値となっていた2006、2007年および2009年、2010年の流通量データについても推計された4ポイントの流通量データを参考に推計している 10 (図表3-1-2-3)。 図表3-1-2-3 ビッグデータ流通量の推計モデル (出典)総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」(平成26年) イ 推計の結果 今回のデータ流通量推計で採用した21種のデータを対象に、データ流通量の推計を行った結果、2013年のデータ流通量は、9産業(サービス業、情報通信業、運輸業、不動産業、金融・保険業、商業、電気・ガス・水道業、建設業、製造業)の合計で、約13.5エクサバイトとなる見込みとの結果になった。 データ流通量の経年推移をみると、2005年(約1.6エクサバイト)から2013年の8年間で、データ流通量は約8.7倍(同期間の年平均伸び率は27.1%)に拡大している(図表3-1-2-4)。 図表3-1-2-4 データ流通量の推移(産業計) (出典)総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」 (平成26年) 次に、データ流通量の産業間比較を行うために、2005年時点の各産業のデータ流通量水準を100に指数化し、その経年推移をみたものが図表3-1-2-5である。そこからは、すべての産業においてデータ流通量が伸びていることがみてとれる。特に建設業や運輸業での伸びは著しく、2013年のデータ流通量(見込値)は2005年の10倍以上との結果になっている。他方、最も伸びが低い商業においても2013年のデータ流通量(見込値)は2005年の5倍以上との結果になっている。 図表3-1-2-5 データ流通量の推移(業種別) (出典)総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」 (平成26年) さらに、データ流通量のメディア別推移をみると、2013年時点の水準で、防犯・遠隔監視カメラデータが約7.8エクサバイトともっとも大きく、次いで、センサーログデータ(約3.2エクサバイト)、POSデータ(約1.0エクサバイト)となった。また、各メディアの伸びの程度をみるために、2005年時点の各メディアの流通量水準を100に指数化の上、データ流通量の経年推移をメディア別にみると、動画・映像視聴ログデータ、画像診断データ、防犯・遠隔監視カメラデータといった動画系データの他、センサーログデータやGPSデータといったM2M系データが10倍以上と大きく伸びていることがみてとれる(図表3-1-2-6)。 図表3-1-2-6 データ流通量の推移(メディア別) (出典)総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」(平成26年) なお、平成25年版白書に掲載したデータ流通量の推計結果と今回の推計結果を比較したのが図表3-1-2-7である。平成25年版白書に掲載した推計結果は、2012年時点で約2.2エクサバイト(17種のメディア合計)という結果であったが、今回、推計に活用する公的統計の数値を最新のものに更新したほか、推計方法を変更したことによって、2012年時点のデータ流通量(17種のメディア合計)は約2.0エクサバイトに修正された。そして、4種のメディアを追加した上で2013年までの推計を行った結果、追加された4種のメディア、特に防犯・遠隔監視カメラデータの流通量の伸びが非常に大きく、2012年時点では全体(約8.0エクサバイト)の4分の3(約6.0エクサバイト)を、2013年(見込)では全体(約13.5エクサバイト)の80%強(約11.1エクサバイト)を占める結果となった。 図表3-1-2-7 データ流通量の昨年度調査結果との比較 (出典)総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」(平成26年) 9 推計方法の詳細については付注3-2を参照のこと。 10 2006、2007年および2009、2010年の利用率はアンケートデータの平均変化率を用いて推計した(2005年の利用率がゼロの場合は2006〜2007年もゼロとした)。またアンケート調査だけでは過去データの取得が難しいため、情報流通インデックスデータの伸び率を用いて過去へ遡及した値を利用した。具体的には1企業あたりのデータ流通量の変化率が情報流通インデックスにおける流通情報量の変化率と同じだと仮定し、2012年の流通情報量(2005〜2009年の平均成長率を用いて推計)を100%とした場合の各年の比率を補正比率とした。(情報流通インデックスは、我が国の情報流通の規模、構造等の現状や変化を定量的に把握する総合指標として、2009年〜2011年に調査したもの。)