第3節 パーソナルデータの利用流通の円滑化 パーソナルデータの利活用については、世界経済フォーラムが2011年(平成23年)1月に公表した報告「パーソナルデータ:新たな資産カテゴリーの出現 1 」において、「パーソナルデータは、インターネットにおける新しい石油であり、デジタル世界における新たな通貨である」としている。現在、国内外の様々な分野で急速にデータの利活用が進展してきており、今後も技術の発達等とともに、パーソナルデータを活用した新たな利便性の高いサービスが誕生する可能性が極めて高いと考えられる一方、ICTの普及により、ビッグデータがネットワークを通じ流通する社会を迎える中、個人情報保護法制定当時には想定されなかった利活用も行われてきている。個人に関する大量の情報が集積・利用されることに伴う個人情報及びプライバシーの保護に係る不安も顕在化しており、中には事業者が社会的な批判を受けるケースも見られるところである。 さらに、企業活動がグローバル化する中、ICTの普及により、クラウドサービス等国境を越えた情報の流通が極めて容易になってきており、国際的な調和のとれた、自由な情報の流通とプライバシー保護の双方を確保する必要が高まっている。 現在、政府では、パーソナルデータの利活用を円滑に進めるため、個人情報及びプライバシーの保護との両立を可能とする事業環境整備を進めるべく、IT総合戦略本部の下に「パーソナルデータに関する検討会」を設置し、パーソナルデータの利活用ルールの明確化と制度の見直しに係る検討を進めているところである。 本節では、パーソナルデータを活用している事例を紹介した後、国内外におけるパーソナルデータの取扱いに関する最近の政策動向について紹介する。続いて、我が国の利用者に対して行った、パーソナルデータの取扱いに係る利用者意識に関するアンケートの結果を紹介する 2 。 1 http://www.weforum.org/reports/personal-data-emergence-new-asset-class 2 本節の執筆にあたっては、慶應義塾大学総合政策学部 新保史生教授の協力を得た。