(2)アフリカ諸国での携帯電話の急速な普及 携帯電話の普及は、今やアフリカ等の低所得国へも及んでいる。2014年末時点でのアフリカ全体での携帯電話加入者数は8億9,100万加入である。2003年末時点では5,200万加入であったことから、11年の間に約17倍も増加したことになる。アフリカ全体での人口普及率は2014年末で84.7%となっており、こちらも2003年末の8.6%と比較すると約10倍に成長している(図表2-3-1-4)。 GSMAによると、2014年6月時点で、サブサハラアフリカ地域(46か国)における携帯電話のユニークユーザー数は3億2,900万人で、同地域の人口普及率としては38%である 3 。2020年までにはサブサハラアフリカ地域で携帯電話は5億人にまで普及する(人口普及率49%)と予測されている(図表2-3-1-5)。現在、サブサハラアフリカ地域は平均年齢が10代という国がほとんどであり(例:ナイジェリア18.2歳、コンゴ民主共和国17.9歳)、25歳以上の人口に占める割合は30〜40%にとどまる(例:ナイジェリアでは25歳以上は人口の37.5%、コンゴ民主共和国では35.6%) 4 。このため、サブサハラアフリカ地域の国においては、成人の多くが携帯電話を所有していると考えてよい。 アフリカ諸国での携帯電話のこのような急速な普及の背景としては、「線」によるネットワーク整備が必要な固定電話と異なり、携帯電話は基地局という「点」による整備が可能であっため、ネットワーク整備にかかる投資コストや維持管理コストが相対的に低かったことや、携帯電話は文字が読めない層でも利用可能であり、識字率の低さが普及の障壁とならなかったことなどが指摘されている 5 。また、欧州で利用されていた2Gの携帯端末が中古端末としてアフリカに大量に流入し、安価で流通したことも、アフリカ諸国での携帯電話の爆発的普及の一因となった。 3 GSMA(2014)6th Nov 2014, “NEW GSMA REPORT FORECASTS HALF A BILLION MOBILE SUBSCRIBERS IN SUB-SAHARAN AFRICA BY 2020”<http://www.gsma.com/newsroom/press-release/gsma-report-forecasts-half-a-billion-mobile-subscribers-ssa-2020/> 4 CIA The World Factbook(2015)  https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/ni.html  https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/cg.html 5 篠ア彰彦、田原大輔「ICTの普及が経済の発展と格差に及ぼすグローバルな影響の分析―国際的議論の変遷と実態変化のデータ観察―」内閣府経済社会総合研究所 ESRI Discussion Paper Series, 2012年8月