3 パートナーロボット (1)注目されている背景 ロボット技術(RT)はこれまで主として工場等での産業用ロボットを中心に発展してきた。これに対し、家庭等で家事や介護、子育て等を手伝ったり、人間のコミュニケーション相手になったりする生活サービス分野のロボット(パートナーロボット)は、SF等で描かれることはあっても、商品として実用化されることは少なかった。しかし近年、こうした生活サービス分野でのロボット活用に注目が集まりつつある。その背景としては、以下の各点を挙げることができる(図表4-1-3-1)。 図表4-1-3-1 生活サービス分野でのロボット活用の背景 第1に、センサー技術、AI(人工知能)技術、情報処理技術等の、ロボットに必要な要素技術の技術革新が進んだことである。これらの技術の進歩によって、自ら学習して人と自然な対話を行うロボットの実用化が可能となりつつある。 第2に、我が国における急激な人口構造変化に伴い、新たなニーズが高まっていることである。高齢者人口の増加による医療・介護ニーズが高まる一方、生産年齢人口の減少によって、人手不足が課題となりつつある。こうした課題の解決手段として、ロボットの活用に注目が集まりつつある。 第3に、有線・モバイル双方での情報通信ネットワークの整備が進んだことである。これらの通信環境を活用することで、ロボット単独で機能させるのではなく、周辺に設置したセンサー情報の活用や、ロボット間の情報連携など、新たな形でのロボット活用が可能となりつつある。