第3節 ICTによる新たなワークスタイル―テレワークの可能性 ICTは私たちの働き方も大きく変える可能性をもっている。仕事と生活の調和(ワークライフ・バランス)の重要性が強調されるようになって久しいが、現実には、仕事に追われて心身の疲労から健康を害する人や、仕事と子育てや老親の介護との両立に悩む人が後を絶たない。また、社会全体に目を向ければ、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少を背景に、多くの産業で労働力不足が深刻化しつつある一方、様々な理由により働く意欲はあるが就業に結びついていない人々が多く存在している。 テレワークのようなICTを活用した新しい働き方は、人々が多様で柔軟な働き方を選択することを可能にし、こうした課題の解決に寄与すると期待されている。未来の暮らしを魅力あるものにしていくためには、ICTの活用によるワークスタイルの革新を、積極的に進めていく必要がある。 そこで本節では、就業者と企業へのアンケート調査の分析等を通じて、テレワークの現状と課題等を整理するとともに、テレワークの導入を進めている企業・自治体の事例や、テレワークを実践している人たちへのインタビュー調査の結果を紹介することにより、テレワークの持つ可能性を具体的に提示する。