(2)就業者のテレワーク利用意向 テレワークの認知度の低さに加えて、テレワークの様々なメリットが就業者に認識されていないことが、テレワークの普及がなかなか進まない要因となっている可能性もある。そこで次に、就業者のテレワークへの利用意向を調査した。その際、テレワークについて知らなかった人には、内容を説明した上で利用意向を尋ねた。また、現在、勤務先でテレワークを行える環境にない人には、仮に行える環境にあった場合に、テレワークを利用したいかどうかを尋ねた。 ア 就業者の5割以上がテレワークの利用を希望 テレワークを「既に利用している」「積極的に利用したい」「利用してみたい」と回答した人の合計は、全体の5割以上に達した(図表4-3-3-5)。少なくとも潜在的には、多くの人々がテレワークを利用したいと考えていることがわかる。 前問でテレワークを「知らない」と回答した人であっても、その4割以上がテレワークを「積極的に利用したい」あるいは「利用してみたい」と回答している(図表4-3-3-6)。テレワークという新たな働き方が一般に広く知られるようになれば、多くの人がテレワークでの勤務を希望するであろうことがうかがえる。 イ テレワークを利用したい理由1位は「自分にあった環境で仕事ができるから」 テレワークを「利用したい」又は「利用してみたい」と回答した人を対象に、利用したい理由を尋ねた。その結果は、「自分にあった環境で仕事ができるから」が最も高く、次いで「通勤時間の短縮化のため」、「家事のやりくりや分担がしやすくなるため」の順となった(図表4-3-3-7)。 ウ 30代女性では「子育てと仕事の両立」がテレワークを利用したい理由1位 テレワークを利用したい理由を男女別にみると、男性では、年代に共通して「自分にあった環境で仕事ができるから」や「通勤時間の短縮化のため」を理由として挙げる人が多い。しかし、「子育てと自身の仕事との両立のため」を理由として挙げる人も一定割合存在し、特に30代と40代では高くなっている。テレワークの利用が進むことで、家庭において子育てに参画する男性が増える可能性を示唆している。 女性の場合も、男性と同様、大半の世代で「自分にあった環境で仕事ができるから」を理由にあげる人が最も多くなっているが、30代では「子育てと自身の仕事との両立のため」を理由に挙げる人が最も多い(図表4-3-3-8)。先に述べたように、30代女性には、出産や育児を理由に離職する人や求職活動を行えない人が多く(図表4-3-1-6、図表4-3-1-8)、テレワークが、働きたい女性にとっての有効な手段として期待されていることがわかる。また、50代女性では、「親の介護と自身の仕事との両立のため」を理由として挙げる人も約3割に達している。 エ テレワークを利用したくない理由1位は「必要性を感じない」、2位は「操作スキルが不十分」 テレワークを「利用したくない」と回答した人に、その理由を尋ねた。「そもそも必要性を感じないから」が4割強で最も多いが、次いで「パソコン等の機器操作スキルが十分ではないから」が2割強であった(図表4-3-3-9)。テレワークの様々なメリットが十分に認識されていない可能性が示唆されるとともに、ICT機器の操作スキルに不安があることがテレワーク普及の阻害要因の一つとなっていることがわかる。